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#3【触るグリフその前に】夫の事・気付いた日

「俺って字が読めんから〜」

「あっそうなんや〜」

「俺もそろそろ字の勉強しようかな〜」

「そうなんや〜練習してみる?」

めちゃくちゃ苦しそう…やめよか。

今日は2022年7月。
1年半前の2021年の初め、夫が43歳の触読学習シート「触るグリフ」を始めて、読み書きがかなりできるようになりました。このnoteはその簡単な記録です。

夫の読めなさを観察していました

読み書きの練習はやめ!

と決めてからも相変わらず普通に楽しく暮らしていました。夫が読み書きできなくて困る場面ってそんなにないし。というか次々子供を産んで、夫も私も近くに親が住んでいないので、もう、必死の毎日。

でも、なんとなく、私は夫の読めなさを観察していました。

*テレビのテロップ全然見てない
夫がテレビを見ていて「さっきのニュース、何県って書いてあった?」と聞いても絶対に読んでいません。自然と視界に入るやろ?と思って不思議でした。


*外国映画は絶対に吹き替え版
外国映画は字幕派だった私は何回か説得しましたが駄目でした。

*カラオケ出来ない
カラオケは歌詞が読めないので歌えません。15歳くらいから丸暗記してる曲が3曲くらいあってそれを歌うだけ。よく聴いてる曲でも2番は歌えないので途中で消したり。。カラオケは好きではありませんでした。

でもお調子者で、飲み会などでは1番にカラオケの名乗りをあげたいタイプ。毎年1曲だけ、流行りの曲をリピートで千回、いや1万回以上聴いて覚えてました。涙ぐましい努力!

*店の看板とか一切見てない
車で移動中に「あ!ほら!あそこに〇〇って店あったやん?」と言っても読んでいた事はありません。飲み会で新しいお店に行った話をしてくれても、店の名前はいつも「知らない」と言ってました。


*お菓子の名前をしょっちゅう読み間違える
普段は自発的に文字を読む事はほとんどないんですが、一緒にスーパーに行くと「あ、これ買お!〇〇」とお菓子の名前を読むんです。で、しょっちゅう読み間違えしてました。

こういうの「ちょっとパッピーターン」って言ったり。

しょっちゅうお菓子の名前を読み間違えるのが不思議なんですけど、よく考えたらお菓子の名前以外を読まないからかも知れません。あと、お菓子選んでる時油断してるか。

そんな感じで段々と、読めないだけじゃなくて 読まない 読みたくない 文字が目に入らないとかもあるのね…と分かるようになってきました。

こりゃ、なんかあるな。と気付いた日

多分結婚して3年後ぐらい。車で出かけてた時に交差点に大きな看板の果物屋さんがありました。

「あー、ここ前も通ったの覚えてるわ〜。あの『大久保果物店』を真っ直ぐやろ?」

「何?何?」

「だから〜、あそこの果物屋さん。大きい看板あるやん」

「お?、、、、、
  、、、、、くぼくぼ?
  、、、あぁ? おく?
  、、、、ぼく?
  、、、、、、、おく? あれ?
  、、、、、、、お? くぼた?
  、、、、はぁ〜もうっ!
  読めんわっ!」

夫は読めませんでした。確かに読みにくくはある。けど、時間をかけても夫は読めません。私は衝撃でした。

こりゃ、なんかあるな。
(脳の問題的なもの)

3年くらい夫の読めなさを観察してきて、謎が解けてスッキリした気持ちでした。字を書く練習するとか、漢字の勉強するとか、そんな問題ちゃうわ〜って思いました。その時に有名なトム・クルーズの事を思い出して「おんなじやな」と確信しました。

『おおくぼくだもの店』

この店の事、一生忘れません!


ネットで検索

私の「トム・クルーズの事」の知識は

トム・クルーズは字が読めない難読症で、アシスタントに台本を録音してもらって、それを聴いてセリフを覚えている

というもの。どこで知ったのか覚えてないけど雑学的な、豆知識的な感じで知ってました。不思議な事に「おおくぼくだもの」までトム・クルーズの事は思い浮かばなかったんですよ。

そして、その時インターネットで

難読症

と検索し、ディスレクシアって言葉を知りました。そしてディスレクシアで検索したけど、、、、サラッと見てやめた。ほとんど記憶にありませんが、薄〜い記憶を引っ張り出すと、

ディスレクシアとは
神経生物学的要因による特異的学習障害である
知的能力や教育に見合わない読みの困難さがある
単語認識の不正確さ・流暢性の困難さがある
デコーディング能力の障害がみられる
綴り(書字)の弱さも併存する
これらのことは音韻認識の障害の結果として生ずる
一般社団法人日本ディスレクシア協会

私が検索で見た情報が何か覚えてませんが↑これみたいなのとか。こんなの書いてあっても「ふぅ〜ん」ぐらいにしか思いませんでした。なんか「知ってるわ!」という感じ。


あと有名なこんなイメージ図↓

認定NPO法人EDGE

夫に確認はしなかったけど「こういう風には見えてなさそう」って思ってこっちもスルー。(ちょっと前に夫に確認したら全くこういう風には見えてないそうです。)

今から14〜5年前の2008年前後、インターネットで検索してどんな情報があったかは分かりませんが、私は「脳の仕組みの何かで読み書きできないんだ」って事が分かっただけで満足して、深掘りはしませんでした。

今思い出した!そう言えば、宮崎県に1軒だけディスレクシアの診断ができる病院があるような事も情報としてありました。でも、もう大人やし、仕事もあるし、病院行って治るわけでもないのに診断してもらう意味ないわ。って思った。それと、、、、、

私、この手の不安ビジネスに警戒心強いんですよ。だからその病院自体怪しんでました。(良い病院だったらごめんなさいっ!)

結局この時から13〜14年後くらいに触るグリフに出会うまで、ディスレクシアの事を調べたりもしませんでした。夫にもわざわざ話した事はないけど、いつの間にか会話の中で「脳のなんかで練習するとかと違うんやで」って言っていたと思います。


「私の夫は字が読めない」それが普通

それ以降も相変わらず、色んな手続きは付いて行って、眼科に付いて行って、仕事して、子育てしてという生活。

触るグリフを始めてから夫が読み書きできない事について考えるようになったけど、それまではほとんど意識してないというか、「私の夫は字が読めない」それが普通。

長女が小学校に入学して、リビングで音読の宿題を始めました。

「てぶくろをかいに。にいみなんきち。さむいふゆがほっぽうから、きたきつねのおやこのすんでいるもりへやってきました。」

たまたまリビングにいた夫はそれを聞いて

「えーーーーーーーーー!字、読むの上手いなぁ!」

とめっちゃくちゃ驚いていました。(ちなみにこの場面は4人の子供全員で繰り返してます。)

その時に初めて夫に「ちょっと読んでみて」と1年生の国語の教科書を読んでもらったら、つっかえてスラスラと読めませんでした。長女はあまり意味が分からずポカンとしてて、夫は笑って「俺も毎日音読しよっかな〜」と言ったりして。もちろんしませんでしたけど。

夫は小中学校でもまともに勉強してなくて、高校も行ってません。勉強嫌いで、わざわざ学校に行くより、働いてお金もらう方が得やんと思ってたそうです。思ってたって言うか今もそう思ってると思います。仕事大好きですし。

とにかく子供が音読したり、読書したり、テストの点が良かったりするとその度にめちゃくちゃ驚いてて可笑しかった。

こんな感じで結婚から17〜18年くらい、2021年まで過ごしました。


終わりに

こんな風に夫が読み書きできなくても、すっごく困るって事もなく暮らせるのに、なんで触るグリフをしよう(させよう)と思ったのか?

それは、夫の事で気になる点が1つあったからです。読み書きできない事それ自体ではなくて酷い読み書きコンプレックスがあった事。それをなんとかしたいなぁと私なりに考えてはいました。それはまた次かその次に。

触読学習シート『触るグリフ』はこちら

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