見出し画像

”環境に優しい” 仮想通貨 Chia で儲かるまであと5年…本当にエコなの?

”環境に優しい”という触れ込みの新興仮想通貨 Chia チアを試してみました。

トランザクションのために多くの計算が必要になるビットコイン等とは異なり、HDD/SSD の余っているディスク容量を流用して仮想通貨を運用できる Chia は低消費電力で省エネとされています。ネタかと思ったら、テスラ社がビットコインから撤退して、チアの注目が高まりそうです。

5月17日現在、世界中から約 5.8 EB エクサバイト(=5,800,000,000 GB ギガバイト)の HDD/SSD が Chia のネットワークに参加しています。先日5月13日には約 4.0 EB でしたから、毎日7〜8%程度のスピードで成長しています。(後述)

Chia の仮想通貨(単位:XCH)を購入できる日本で大手取引所はまだないものの、取引せずに自前で報酬を目指す分には、Electron ベースの Windows・Mac の GUI クライアントがリリースされているので、手元でも試しやすいです。

先に結論

・最速 GPU 不要で、少し古くても既存マシンを流用できる。エコ。
・HDD は、古い録画用の外付 USB HDD の再利用も可能。エコ。
・SSD を使った方が速いが、やりすぎると寿命で壊れる。エコではない。
・データ構築段階の plotting には高速な CPU が必要そう。エコではない。
・データ構築後の運用段階 farming は低速な CPU でも OK。エコ。
・ストックが効くので、後から私物流用レベルで追いかけるのは無理。
・世界はエクサスケールの爆速で成長中。常に成長し続けないと負ける。
・初回の報酬が得られるまでの期間が年単位なので、心が折れそう。

Chia の仕組みザックリ

Chia では、容量 101GB の拡張子 .plot のファイルに、計算して並べたデータを詰め込んで、これを1単位(1 plot)として扱います。

この plot ファイルを作成することを plotting(区画作成する、悪巧みする)と呼びます。1つ作成するのに半日から1日くらいかかります。plotting 自体では、まだマイニング報酬のようなものは支払われません。

plot したファイルを用意して Chia Network に接続して待ち受けることを farming(耕作する、農場を経営する)と呼びます。mining 掘るのではない。

farmer には、10分ごとに 64 XCH の報酬が支払われます。Chia Network に参加する世界中の約 5,000万 plot のうちの誰かの plot ファイルが採用されて、報酬として 1 plot あたり 2XCH ずつ得ることになる、たぶん。

簡単に書くと、いまは 1 XCH (Chia Network) が $1,600 くらいなので、18.75秒ごとに 5,000万分の1の確率の抽選があって、1発当たれば 35万円をゲットできる! 参加口数を増やせばそのぶん当選確率もアップ!

試してみた

100GB の plot ファイルを作るために、plot 作成中は中間データ 350GB くらいの容量が必要になります。TB 単位のデータの読み書きを行います。ブロックに分割してソート処理しているようです。

SSD には書き込みデータ量の寿命があるので、数百 plot 作ると SSD が寿命に至って壊れるそうです。私は、手元に以前にテレビに繋げて使っていた(今はもう使っていない)録画用の USB 接続の HDD があったので、これを繋げて試します。

また、作成時はそれなりに高速な CPU が必要なようです。私は手元に、ディスプレイが壊れた(今はもう使っていない)Macbook 12インチ機があり、こちらは SSD なので合わせて試したものの、CPU がボトルネックになった模様。(Macbook は Skylake=第6世代の Core m5 チップです。いまの最新は第11世代なので5世代ぶんだけ古い)

古い CPU+SSD 機よりも、最新 CPU+HDD 機の方が速かったので、機材を流用して始める場合の初期コストは低いものの、plotting には高速な CPU を使う必要がありそう。ただし farming 時の CPU 負荷は軽いそうです。

Day 1(5月13日)

半年前に出たばかりの Ryzen 7 5800X 搭載の検証用 PC に、余っていた古いテレビ録画用 USB HDD を接続して約1日。記念すべき最初の 1 plot 目ができました 🎉
このとき世界は 4.025 EB。Win(予想報酬受取日)まであと 25年。

画像2

Day 2(5月14日)

次の 2 plot 目ができました。Win まであと 14年に近づきました。
世界は 4.444 EB まで成長しているので、期間が半分にはならない。

画像2

Day 3(5月15日)

昔使っていた外付 USB HDD を追加投入して、並列で試してみた。
6 plot に到達。Win まであと5年です。
その間に、世界は 5.002 EB まで成長していました…。道のりは遠い。

画像3

「マイニングプール」のように複数のマイナーが参加する仕組みは、Chia にはまだありません。このため「当たる」までは、ずっと報酬0円のままです。

Reddit をみると「500 plot あるのにまだ 0 だ」のような嘆きコメントが多く見られます。100万円以上かけて機材を調達した人もいる。なかには数十 plot で当たったラッキーなコメントもあるので、当たる人もいるようです。これから5年間、どうやって待とうか。

メモ・TIPS

1.
Windows でやる場合の外付け HDD のフォーマットは exFAT よりも NTFS が良いそうです。データ破損の信頼性の関係かな。

2.
plot ファイルの容量はパラメタで指定できて、いまは k32 というサイズ(=100GB)で運用開始となっています。近くない将来的には k33 へのアップグレードも計画されているそうです。当面は k32 で固定と考えて OK そう。

3.
今のバージョン1のプログラムでは、plotting 中の pause・resume ができません。途中でプログラムを終了したり、OS を再起動すると、100GB の作成を最初からやり直しになります。ちっともエコではない。
とはいえ、この pause・resume 機能の提案(要求あるいは悲鳴)は GitHub に issue が複数上がっているので、そのうち対応されるかと思います。処理は4ステージに別れていて、さらにサブステージがあるようなので、ステージ単位で途中からやり直すことも、実現できそうに思われます。

4.
GUI クライアントは、いちど開始した plotting を途中で pause どころかキャンセルもうまくできません。たぶんバグです。そのうちキャンセル機能くらいは動くようになりそう。

5.
GUI クライアントは、plotting のパラレル実行機能があるものの、使えるドライブは1つだけ。複数のドライブを使って並列実行する UI はまだ提供されていない模様。Windows の場合は PowerShell で CUI を使って以下のようなコマンドで plot 作成できる。F ドライブで作成して、E ドライブに保管する場合。↓

cd .\AppData\Local\chia-blockchain\app-1.1.5\resources\app.asar.unpacked\daemon

.\chia -h

.\chia plots create -k 32 -t F:\TEMP -d E:\PLOTS -r 2 -n 5

PowerShell 初めて使ったわ。マウスでテキスト選択モードに入ると、処理が止まってしまうんですね。すわシングルタスクか。数時間は損した。また、CUI だと進捗状況%が分かりにくいので、心細くなります。

6.
CUI で作ったり、他のマシンで作って移動した .plot ファイルも、GUI でも認識してくれるので、『ログインや Farm の管理は GUI』で『plotting は CUI』という使い分けも、当面は現実的かもしれない。

リンク


画像4

もはや使いもしない年代物 PC パーツが押入れを専有しているのを家族から指摘され続けている世の中のお父さん各位は、Chia で年代物パーツに再び命を吹き込んで、この新しい仮想通貨を通じて世界の環境問題に貢献できる。(と言い訳できるかもしれない)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?