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川の思い出

熱中症になるなんて、子どもの頃は考えたこともなかった。
(ただし、子どもの頃は「熱中症」ではなく「熱射病」と言う言い方がメジャーだった。)

ここ2〜3年、熱中症が癖になってしまった。
一度ひどい熱中症になってから、ちょっと気温が急に上がっただけで、頭痛で動けなくなってしまう。
厄介だと思うけど、だからと言って夏が嫌いな訳ではなくて。
今年の夏も、何とかかんとか、熱中症をやり過ごすのだろうと思っている。



「子ども時代」というテーマをあれこれ考えていたけど、私は子どもの頃からあまり外遊びが好きではなかった。だけど小学校の時、ママ友同士の集まりがあり、同級生も来るからと、母に連れられて、川に行ったことをふと思い出した。

川といっても、大井川みたいな川ではない。
川の幅は狭く、10歩、いや10歩もかからずに、歩けば、向こう岸に行けるほどだったのではないだろうか。
私にとって川とは、ただ、端から端までいっぱい、時に穏やかに、時に激しく、水が流れているものだった。

その場所は、眼鏡橋と呼ばれる石積みで出来た橋があった。
私と同じように、その場に連れてこられた同級生男子(と、その弟達)は既に、あろうことか橋の上から川に思い切り、飛び込んで遊んでいた。

水飛沫の量、その高さ、私からしたら、恐怖でしかなかった。
やってみればと誘われたけど、最後まで飛び込めなかった。

今でも飛び込みに対して少し憧れはあるけれど、頭をかち割るんじゃないかと言う恐怖が勝つ。まぁ、この先挑戦することもないと思う。

ただ、飛び込みはできなかったけど、仕事やプライベートでは、ここ数年、何かしら川に入ったり遊んだりしている。
川の音を聴いて過ごすその時間は結構好きだ。

初めて大井川を見た時、私が知っている日本の川のイメージが崩れた。
教科書で見たのかもしれないが、こんなに河川が広いんだという雄大さにまず驚いた。そして、水の量が釣り合っていない不思議さも感じた。



仕事で、今日は4か所の、大井川の河川を歩いた。
鳥博士と一緒に行ったので、じっとしている間に聴こえる鳴き声、見えた鳥を教えてもらった。鳥は、声を覚えちゃえば分かるようになるそうだ。ヒヨドリ、アオゲラ、キセキレイ、トンビ、ツバメ‥

そうそう、初めて河原でイカルチドリも見つけた。この時期は足元に気をつけないと、イカルチドリの卵を踏み潰してしまうかもしれないと教えてもらっていた。彼らは石だらけの河原に巣を作るのだ。

あとカジカガエル。鳴き声を聞いたけど、思っていた声と違った。ずっと全然美しくて、カエルよりも鳥の声に近かった。

今日は新しい発見もあった。
動物の足跡かと思っていた窪み、めちゃくちゃたくさんある。
なんと蟻地獄だった。

蟻地獄って、子どもの時は、家の床下でよく見つけていたから、こんなところで出会うなんて思いもしなかった。


無数の蟻地獄の巣



子ども時代の思い出に、大人になってから出会うのも面白いね。



◼︎書き手:綿津実(ワタツミ)
鹿児島県出身。2017年〜本格的に川根本町へ移住。細々と物語を書いています。

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