NTT光通信技術「アイオン」に社運を賭ける
海外事業は失敗の歴史
NTTの海外事業は失敗の歴史です。
NTTコミュニケーションズは
2000年にネット会社ベリオを買収しましたが、1年後の2001年9月中間期に5000億円の減損損失を計上し、買収額6000億円をドブに捨てました。
NTTドコモは
海外携帯事業者に2兆円を注ぎ込み、株式評価損1兆6000億円もの巨額損失を出しました。
南アフリカのディメンション・データも
NTTが約3000億円で買収したにもかかわらず、業績が低迷しています。
2020年度の海外売上高は
前年同期比6%減の138億ドル(約1.4兆円)で、NTT全社の営業収益8兆7380億円の16%に過ぎません。
海外の営業利益率は3.0%で、23年度(24年3月期)の目標7%からほど遠い状況です。
全社平均の営業利益率は17.2%ですが、NTTデータの海外事業はマイナスです。
競合他社と比較すると、
米アクセンチュアや印タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCM)は2ケタの営業利益率を確保しており、雲泥の差があります。
国際競争力への危機感
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの巨大IT企業が市場支配力を強めています。
澤田社長はNTTグループの国際競争力の低さに危機感を抱き、再結集に動き出しました。
NTTドコモを完全子会社にした後、NTT東日本、西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTデータの統合が見込まれていましたが、接待問題が明るみに出たことで再編の動きはストップしました。それでもNTTの拡大路線は止まりません。
光通信技術「アイオン」に社運を賭ける
NTTと富士通は2024年4月26日、次世代通信規格「6G」の技術開発で業務提携しました。
この提携では、6G向け基盤技術として期待される光通信技術「IOWN」の開発が進められます。
富士通はスーパーコンピュータ富岳など、高度なデータ処理技術を持ち、NTTはこれを消費電力を抑えた通信網構築に活かす考えです。
また、NTTは光信号と電気信号を融合する「光電融合技術」の実用化も進めています。
重要な提携と活動
2019年5月: アイオン構想を発表し、大幅な消費電力削減を目指す。
2020年1月: ソニーや米インテルと「アイオングローバルフォーラム」を設立。
2020年5月: 米インテルとの光通信技術共同研究。
2020年6月: NECとの資本業務提携。
このようにNTTは次世代通信技術で関連企業と幅広く提携し、自前技術にこだわっていては競争に勝てないとの危機感が底流にあります。
結論
NTTの前身は日本電信電話公社であり、通信機器供給企業としてNECや富士通との連携が「電電ファミリー」と呼ばれました。
現在も通信インフラ市場ではファーウェイやエリクソンなどがシェアを独占しています。
澤田社長は接待問題について謝罪し、中長期戦略への影響を懸念しています。
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