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DeepSeekによるNvidiaパニック売りは絶好の買い場とWedbushのダン・アイブス氏
1. 「中国がOpenAIを500万ドルで複製した」という見出しは間違い
最初に飛び交った見出しや反応では、「DeepSeekが推論モデルを500万ドルで訓練したわけではない」のです。それが不可能な理由について話すこともできますが、この主張自体が誤りです。
2. DeepSeekが効率性を向上させた理由は「奇跡」ではない
DeepSeekが達成した効率性の向上は非常に優れていますが、それは「奇跡」ではなく、既存の技術や概念を効果的に活用した結果です。たとえば、「専門家の混成モデル(Mixture of Experts)」や、「マルチヘッドアテンション」、さらに「低精度計算」などの手法が挙げられます。これらはAI業界で知られており、他のラボも同様の技術を研究・導入しています。したがって、DeepSeekが使用した技術は他の研究者にとって未知のものではありません。
3. 今日のパニックは過剰反応である可能性が高い
市場の反応は「これらのモデルが非常に効率的で、もはや大規模な投資が必要ないのでは?」という恐怖によるものですが、現時点では、彼らが推論モデルの訓練にいくら費やしたのか、正確にはわかっていません。
私の推測では、ベースモデルの訓練に比べてかなりのコストがかかった可能性があります。また、半導体業界にいる私から見ると、コスト削減は「良いこと」です。半導体業界では、過去50年間、コストが2年ごとに半減し、それが産業全体にとって非常にプラスの影響を与えました。同様に、AIでも効率化が進むことで需要が増え、最終的に業界全体の成長につながるでしょう。
しかし、NVIDIAの株価急落が示すように、市場は現時点ではこの進展をネガティブに捉えています。投資家は、NVIDIAの成功が「競争優位性」や「独占性」に基づいていると考えており、DeepSeekのような効率的なモデルの出現によって、それが脅かされるのではないかという懸念があります。
DeepSeekとNVIDIAの関係に関するポイント
NVIDIAの広報担当者は、DeepSeekのモデルが「既存の広く利用可能なモデルや計算資源を活用し、輸出管理規制に完全に準拠している」と述べています。この発言は、DeepSeekが最先端の高価なNVIDIAチップを使用しなくても成功できることを示唆しているようにも読めますが、実際にはその逆です。
DeepSeekが現在使用しているとされる「H100チップが5万個」という話もあり、輸出規制に違反している可能性が議論されています。
さらに、NVIDIAのチーフサイエンティスト、Bill Dally氏が以前「GPU性能を過去10年間で1,000倍向上させた」と述べていたように、AIとGPUの進化にはさらなる飛躍が期待されています。この観点から見ても、AIにおける計算需要はまだ飽和しておらず、効率化が進むことでむしろ需要が増える可能性が高いです。
投資家の視点からの結論
市場全体で起きた今日の混乱について、Wedbushのテクノロジー調査責任者Dan Ives氏は、「過去10年間で見た中で、テクノロジー分野におけるトップ3の買い時」と述べています。彼は週末を通じて技術責任者やCIOたちと議論を重ねましたが、DeepSeekのニュースが彼らのAIへの投資計画を変える兆候は一切なかったといいます。むしろ、彼らの多くは引き続き7~8桁規模の予算をAIに投じる見込みです。
特にNVIDIAについて、Ives氏は「NVIDIAは依然としてAIを支える主要なGPUメーカーであり、その地位は揺るがない」と強調しています。彼は、NVIDIA株が現在の混乱の中で売られていることについて、12か月後には「この状況がゴールデンな買いのチャンスだった」と振り返ることになるだろうと述べています。
一方で、他の半導体株やAI関連株の下落も見逃せません。たとえば、Arista NetworksやMarvell Technologiesのような企業も大きく売られましたが、これらは長期的には回復する可能性があります。さらに、MetaやSalesforceのようなソフトウェア企業は、AIコストの削減が収益性にプラスになるとの見方から、逆に株価を上げています。
結論
DeepSeekの進展は、AI業界にとって重要な分岐点を示しています。しかし、現時点では過剰反応が見られ、市場はこの技術革新を完全に理解していない可能性があります。長期的には、効率化が需要を押し上げ、AI分野全体の成長につながると考えられます。そのため、NVIDIAや関連企業の株価下落は、むしろ買い時と捉えることもできるでしょう。