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マンションのダン襖を本襖に替えますプロジェクト!その3

(2020/1/23の記事です)

 その2から随分と時が経ってしまいました・・・皆さま覚えておいででしょうか。時の流れはほんに速いものでございます(違)。
 あれは師走も半ばに差しかかった頃でございました。わし太夫から
「出来たよー表具屋さんに送ったよー」
とメッセージ。え?今?
「作業は年明け、納品20日前後になっちゃうけどいいですか?年末で色々立て込んでて」
とご連絡くださった塚田さん。すみませんね、って謝るのはこっちですううう。誠に申し訳ありませんです。全部わし太夫が悪い。うん。

 というわけで、このたび。
 ついに、ついに完成いたしました…!
 うちのマンションのダン襖が、この通り立派な本襖に!
 諸事情あって部屋全体はお見せできませんが(お察しください)まるで別の部屋のようです!わーい!

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わし太夫渾身のシャープなラインと繊細なカラー。画面だとちょっと色がわかりづらいかもしれませんが、ふんわりした優しい色合いで落ち着きます。

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手間かかってますよー

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入り口側はシンプルなホワイトの縦ライン。清潔感あります。

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ここだけ映すとマンションとは思えませんねー

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本襖をいちから作り、わし太夫の和紙を張ってくださったのは以前ご紹介したとおり「山下表具店」の塚田さんです。
 例によって横で写真撮りーの喋くりーのウザイ私をものともせず、手は止めずに懇切丁寧な説明をしてくださる塚田さん。相変わらず(←)散らかった部屋で、すいすいーと軽やかに襖を取りまわす。

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 ところが思わぬ事態が!
「あれ、幅が…」
 洋間の一枚を入れる桟の溝の幅が何だか狭い。隣の和室に比べるとその違いは歴然。

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「入らないねこれ。削らないと」
 あんまり削りたくないんだけどなーと言いつつ、サクサクと襖の枠の端を削る塚田さん。通常、溝の幅は規定サイズのはずだが、多種多様な業者が入り一辺に多くの部屋をつくっていくマンションの場合、この程度のズレはままあることだという。
「単に部品を組み合わせていくだけで、一つ一つ作っていくって感じじゃないんだよね」
 規定通りのサイズになってるかどうかなんて誰も気にしていないんだろう。とにかく速くとにかく沢山、で突っ走るだけ。結果、些細な作業を怠って後にしわ寄せがくる。
 塚田さんの仰ることは全く難しい話ではなく、当たり前のことを当たり前に考えて、その都度必要なことを実行してらっしゃるだけだ。
「自分がどう、じゃなくてお客さんがどう思うかなんだよね。お客さん第一で一生懸命考えてやってくのが、結局は自分のためにもなるんだよね」
 首がもげるほど頷くわたくし。
 日本のものづくりの原点ここにあり。職人って本当に凄い。
 昨今、和室のあるマンションは売れないっていうし、もう職人もいらねえんじゃないかなあと寂しげに呟く塚田さんに
「いやいや、必要ですよ!でも、片方だけじゃダメなんですよね。普通のサラリーマン的な人たちと職人と、両方いないと!」
 と思わず力説する私。

 何とか、この先人の知見と積み上げた経験の塊のような「技」を、暮らしていけるだけの生業として継承していく策はないものかしらん。フローリングは確かに便利だけど、結局ラグとか敷くのであれば畳の方が実は掃除しやすいし長持ちする。引き戸の方がドアよりスペース有効に使えるし、襖ならば軽くて湿気も吸ってくれる。というわけで声を大にして叫んでみる。
 皆さまもお部屋を丁寧に調えてみませんか?何も和室でなくてもいいんです。マンションでも本襖ライフは楽しめます。思いのほか変わりますよ!
 
※次回は、塚田さんよりご提供いただきました
「本襖を作る工程写真」
を掲載します。お楽しみに。

「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。