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ギフデット 言霊編 その4

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「男の名前は石川龍斗、23歳大学生。大学での友達は少なく交流があったのはクラスの一名と、バイト先の同僚2人のみ。そして依頼してきた彼女は、バイトの同僚だった。別の男と付き合っていたらしい。」
「それがもう一人の同僚なのね。」
「そ、でその同僚が行方不明になったのが14日前」で、他の情報は、と所長は続ける。事務所では、情報収集を頼んでいた高倉が報告をどうでもよさそうにおこなっている。
「100パーセント彼がギフテッドで間違いないよ。言葉で催眠をかけているという証言もあるしね。もっともこれは、行方不明者の捜索をおこなっていた別の部署からの情報だからね。」
「あ、君の手柄にならないからそんな感じなの。」
ソファに体をあずけて、休日でだらけきっている人のような体制で話しを続けてくる。
「今頃、制圧部隊が捕らえているんで。しかし、催眠のかけきらないとか雑魚過ぎでしょ。」
「かけきらなかったんだ。」
「ああ、かっかってないほうが多かったな。まずとある場所、行方不明者が最後にいたとされる場所にいた何人かが記憶を消失。次にスマホで死体を運んでいる石川龍斗を取ったやつがスマホを投げて死ねと言われてスマホは投げたが死なず、記憶も残ったまま。同じように何人もの目撃者が証拠物を破棄と死ぬことを言われたが死なずにいる。最後に彼の友人が、俺は犯罪者になる。君に迷惑はかけたくない忘れてくれと言われた記憶をもっていた。なあ、かかってないだろ。」
「なるほど。じゃ、いってくるわ。」
所長は、スマホで戦闘を観ていた中で違和感を感じていた。それが確信にかわった。
「外出許可は、出さんぞ。私疲れたから。」
「大丈夫、制圧部隊さんがいるんでしょ。彼らに監視任せればいいでしょ。」
「え、なんで場所わかんの。てか、しょうちゃんたちは、どこいってんのさ。」
所長は、スマホの画面を高倉に見せながら言った。
「今、催眠くらって負けたとこ。そろそろ電話がかかってくるよ。」
「てんとう虫型ドローンで撮影してるのか。あ、石川だな。逃げるために荷物まとめてるのか。」
と、スマホから音が聞こえてくる。彼の意思が変わったかどうかの確認をするためにも、電話にでなくてはならないと所長はスマホを耳にあてる。
「細田を車で轢いちゃったっす。いきなり出せって言ってくるから車出したら、前に急に出てきて、」
わかったから細田は、死んでるのと所長は聞き返す。
「いや、全然生きてますよ。こんな怪我で死なないっすよ。」
「心臓とか、脳とかは、大丈夫なんだ。即死になりそうな怪我はないの。」
「ないっすよ。それよりこれ警察とか呼んだほうがいいんすかね。一様人を引いてるわけなんすから。」
自分も警官では、という高倉のツッコミをよそに電話をきる。確認したいことは聞けたので所長は満足していた。
「ところでさ、本当に寝てる人とうそ寝してる人ってどう見分けるかしってる。」
なんで今その質問と高倉は首をかしげる。答えを知らないとわかると、所長は満足そうにわらって、
「じゃ、報告よろしくね。」
その言葉を最後に光となって消えた。残された高山は、電話を本部にかけるしかなかった。
「もしもし、本部。制圧部隊に連絡。特1級監視対象がそっちにいった。妙なことしたら殺してでも止めろ。形が変わらないのがやつの能力だ。え、もう一つのほうはなにかって、わかんねぇよ。何をどうしたら瞬間移動だの、手からビームが撃てるんだろうな。ん、そうだよ、厄災を単独で殺せる、あの化け物だよ。」
そんなの制圧部隊の武装で抑えられるわけ無いだろという悲鳴が本部からあげる。
「今は、味方なんだから心配すんなよ。睡眠弾と毒は有効だから、操られて暴走したらお見舞いしてやんな。」
確実に勝てるという勝算があるのだろうから、大丈夫なんだろうけど、何があっても対象できるようにするのが私たちの仕事だろと付け加える。私の仕事は、これでしまいと、ソファに横になりながら電話をきろうとする。
「え、針タイプの麻酔銃しかないの。」
じゃあ私がいかなきゃだめかと急いで現場へ向かう。形が変わらないやつにハリなんて刺さらない。今度、武装するときにはガスタイプの麻酔弾をもたせるように言っておこう。とそう考えた。何があっても対象できるようにするため彼女の残業は40時間を超えようとしていた。

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