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蓮華文様

蓮華をかたどった文様は洋の東西を問わず、古代より使われてきたようです。古代エジプト・メソポタミアからギリシャ、イラン、さらにインド、東アジアまで広く見られます。仏教では蓮華を尊び、正面真上からみた満開の蓮華が放射状に並んだ花弁が円をなすイメージは、曼荼羅の図象としても多用されています。

筆者が最近執筆した書籍「直観と論理-未来をひらく思考法-」(海青社,2020)にも蓮華文様を表紙に用いました。共著者の塩田洋三氏が直観的思考から得たイメージを描いたものです。本書では、ひらめきや着想を分析につなげて、グローバル化社会の課題解決、学問や芸術分野の創造、社会やビジネスのイノベーションを先導する思考法を提案しています。

さて、この蓮華文のイメージをみなさんはどのように理解されたでしょうか。
蓮華文様の曼荼羅は美しく、見飽きません。見ているとさまざまな想が拡がり、いろんな感じ方、捉え方が成り立つように思われます。筆者の見解は次のようなものです。

青と白の蓮華文は、左旋りの「表まんじ卍」と右旋りの「裏まんじ卐」を組み合わせた文様で、千変万化する森羅万象を表します。卍は「諸行無常(実・ものの世界)」を、また卐は「諸法無我(虚・こころの世界)」を表し、蓮華文の中心は無始無終の空の世界(涅槃寂静)を示します。ゆえに、蓮華文は仏法の三法印を表しているのではないでしょうか。

さらに、上記書籍の「直観と論理」に関連してイメージを膨らませれば、図中の緑は外界の領域、オレンジは自己の顕在意識の領域、赤は潜在意識の領域を示しています。他方、緑は情報・知識の領域、オレンジは感情・感性の領域、赤は顕在および潜在意識の領域を表すとの解釈もできます。つまり、人間のこころのあり様や万物との関係性を表すものと理解されます。したがって、図は全体として、青と白の蓮華文様が諸領域を結び、知性と顕在意識(論理的思考)および感性と潜在意識(直観的思考)の連携統合を表象していると理解されます。

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