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瞳には、

わたしの瞳には、君が、
君の瞳には、、
あなたの瞳には、瞼を閉じてる僕が、


いつもと変わらない帰り道だと思った。

そう思っていた。

目を閉じると海のさざ波の音が聞こえ、
信号機の音が心臓のリズムを変えていく。
次第に鳥肌が立つような気もしなくもない。

その時の空気はなぜか、
なんとなく あたたかかった。

視界が変わった瞬間に人が一人見えた。

コンクリートの上に力ずよく立ってる君の後ろ姿。握りしめすぎなほどの手を見た。
これから叫ぶのだろうか、
なんて、宣言するんだろうとかちょっと思った。

ちょっとだけ、君のことが気になって、近づいて、くるっと顔を覗き込んだ。

やっぱり、怖かったかな、もし私が君の立場だったら結構怖い。焦って遠くに逃げるかも…。そんなことをこの一瞬で考えた。君は、私の存在に気がついたのか、私と同じ方角に顔を傾けた。
ありゃ、
しつこいかもだけど、もう1回…
君の顔へ近づいた。また、君は顔をそらした。
今度は体ごと向きを変えた。
相当嫌だったんだろ、
わたしは、君が今、向いている方向とは真逆の方向へ行った。夕焼けの素敵な海に目がけてゆっくり歩いた。砂の上を走ってみたくて、ローファー、くつ下まで手に持って走り出したよ。その音を聞いて、君はゆっくり振り返って、わたしの走る後ろ姿を見ていた。どんな表情かは確かめられなかったけど、一瞬微笑んだ形跡があった。
まるで、わたしを最初から知っていたみたいに、

その光景を見ていたあなた。
あなたの瞳には、くるくるはしゃいでいるわたしの姿が流れていた。目をスクロールしすぎて、おかしくなっちゃわないようにね、
はしゃぎ終わったキミが言う。
これは、 瞼を閉じてから始まる物語 だと、
確かにはっきり見えた景色には、美しすぎる夕焼けの光に包まれてる空間だった。忘れないように記録したいほどの、
でも、瞳の中には君が、
君の瞳には、、
あなたの瞳には、瞼を閉じている僕だけだった。

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