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うたのはじまり、舞台挨拶ツアー&ミニシアターの現状

こんばんは。河合宏樹です。

映画「うたのはじまり」は、2020年7月11日よりコロナ禍で延期していた3つの映画館で上映をスタートさせることができました。

横浜のシネマ・ジャック&ベティ、藤沢市鵠沼海岸のシネコヤ、下高井戸シネマの3館です。

初日に、舞台挨拶を主演の齋藤陽道さんと行いました。彼と一緒に映画館に行ったのは、2月22日のイメージフォーラム初日振りかな。約半年?いやあ時間かかったもんです。(実際には関西ツアーなども決まっていたのですが中止に)

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午前中、横浜・ジャック&ベティさんから伺いました。私も学生時代よく通いましたが、今でもポップコーンが匂ってきそうな、あのアメリカンな”ザ”映画館の外装内装は10年経っても健在で、ここで自作品が鑑賞されてると思うと感慨深いです。

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登壇では、しっかりとフェイスシールド着用でコロナ対策を。いやあ、マイクが当たるわ、手話しにくいわでさんざんの形状でしたので改善しないとなあと思いました。しかし、その奇妙な見た目にお客さんの掴みはOKで笑いも起きた、暖かい挨拶となりました。

帰りには同日初日を迎えた、豊田利晃監督の新作「プラネティスト」チームと遭遇。

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学生時代から大好きな俳優・渋川清彦さんと。

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奇遇な縁で、GOMAさんと陽道さんは、「プラネティスト」の舞台、小笠原諸島で一度お会いしていたそうな、、。うたのはじまりのプロデューサーや陽道さんの妹さんとも縁があり、なんだか導かれるべくしてこの日があったような気がして嬉しかったです。

急ぎつつも懐かしい雰囲気に誘われて、近所の老舗パン屋でピザトーストを齧りながら小田急線で鵠沼海岸へ。道中写真撮るの忘れたけど、海の匂いに降っていた小雨の匂いが混ざり、風通しも人通りも丁度良い商店街を突き抜けたところに映画館はありました。

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当初挨拶予定の無かったこのシネコヤですが、澤野さんという知り合いから連絡を頂いたり、上記のHPのコンセプトをみて、無理矢理駆けつけました。大正解。

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何度も言うようですが、映画監督にとって各館独自の取り組みで作品を紹介してくださることの有難みといったらありません。

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この映画館では、フリースペースにて多くの興味深い映画書籍、小説などを読みながらコーヒーとパンを楽しめ、そして洋館のような2階でゆったりとくつろぎゴージャスな気持ちで映画を楽しめます。私たちも挨拶までゆっくり楽しんでいると、突然ドカーン!!!と雷が2発近くに落ちた様子。鑑賞中のお客様もさぞや驚いたことでしょう。どのシーンだったのかな。

ちなみに、この日の模様は、館主の竹中翔子さんがコラムに書いてくださいました。

【シネコヤが薦める映画と本】〔第24回〕“コミュニティ”を作りたいと初めて思った~『うたのはじまり』から生まれたもの~

ぜひ読んでみてください。とても愛に満ちたコラムで大切な出会いを頂きました。

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みんなでバイバイした後、急いで電車に駆け込もうとしたのですが、なんと先ほどの大きな雷で電車が止まっている、、次の挨拶が間に合わなかったらどうしよう、、シネコヤに戻ってみると、スーパーピンチヒッターの澤野さんが車で送ってくださることに、、本当に助かりました。この縁も忘れません。

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そうだ、その澤野さんからは、なんと「うたのはじまり」の点字ver.フライヤーをプレゼントいただいたんだ、、これも一生の宝物です。

次に向かうは下高井戸シネマ、1時間ほどこっくりこっくりと眠りにつきながら電車に揺られ、2両の世田線に乗り換え、無事に間に合いました。

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ここは名作を何度も上映くださったり、面白い特集も組んでくれる文芸座的映画館。うたのはじまり→音楽なんて上映の流れも最高ですね。この日は映画館のスタッフやお客様に知り合いが多く再会に満ちた時間となりました。

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フェイスシールドの着用も板についてきたところで、トークも順調に進みました。挨拶をいくつかこなしわかったことは、自分が一番作品について知らなくて、お客様の顔や、齋藤さんと話して、ようやく(もっと)見えてくることがたくさんあるなあと実感したことです。この作品は絵字幕版作成といい、コロナ禍の作品宣伝といい、今まで予想もできない事態によって自分を成長させてくれる映画だなあとつくづく思います。これからもあると嬉しいとなあと。

そんな一日だったのですが、今日、やはり思ったのはミニシアターの集客状況です。全部の回ほぼ満席で嬉しい限りなのですが現状あけられている席数は50%(隔席対応の為)、ま、そりゃ埋まるわなという感じでもあるのですが、映画館の売り上げは単純にどんなに頑張っても半分以下なのです。

こうした状況は、政府の感染対策レギュレーションというよりは、映画協会から映画館で1人もコロナを出すな!という号令がかかっているため、どの映画館も守らざるおえない状況になっているようです。政府より休館にまた追い込まれることに怯えている状態です。

ちいさな映画館では、もはや客席数の減数で感染対策の意味が果たしてあるのかは、正直疑問が募ります。スクリーンを向き、マスクをし喋らず会場を出る分には感染リスクはそもそも少ないと思われます。それなのにちいさな映画館での客数減は映画館の負担でしかないようにも思います。特にシネコヤやユニバーサルシアターのチュプキなど独自コンセプトを掲げる映画館ほど、常連客の分断は厳しさを感じます。

解除してほしいと思う反面、もちろん、まだ隣に座られることが怖いお客さんもいるでしょう。そうしたお客様の心の回復、客足の回復がいつになるのか、、そうしたことは忌々しき問題だなと考えています。

このような状態なのに、挨拶に呼んでくださる映画館、会いに来てくださるお客様に大変感謝しています。直接目を見てお礼を言える時間こそ、コロナ禍では貴重な時間です。終演後のサイン会では大切にお話しをさせて頂くことができました。リピーターの方や、涙を浮かべて語ってくださる方、そして、ろうの陽道さんの為に透明のマスクで、覚えたての手話をしてくださる方、そうした真摯なコミュニケーションの豊饒さがそこにはあって、これがこの映画でも伝えたい大事なテーマであったこと、僕はコロナ禍の挨拶でより強く実感させて頂きました。今まで当たり前だったこのコミュニケーションがコロナ禍により、さらに貴重な時間となることで、とても重みの増した、人間のやりとりが生まれているなあと思います。

こうした大切なお客様とのやりとりや映画館を守るには、長い時間と地道な努力が必要ですが、私も映画館上映以外にも、支援を一番の目的とした仮設の映画館の取り組みを続けています。

正直、将来的なオンデマンド配信の前に、既にオンライン上映するということは一定のリスクがあるのですが、今の感染状況を鑑みるに、いつまた緊急事態宣言になるかもわからないので、まだ仮説の映画館は必要だと思っています。

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こちらでは収益の50%が劇場に入ります。オンラインは座席の制限はありません。たくさん密になってください。ぜひご都合の良い時に、映画館の支援とも思ってご参加いただけたら大変嬉しく思います。

最後に、実は、この日に回った映画館は全て絵字幕版の上映だったのですが(話題をよんだので映画館で絞った上映に)この映画の基本となっているのは通常版で、こちらにもたくさんの得られるものがあります。絵字幕版は情報量が多いのですが、通常版は僕の意図で、あえて想像力を喚起させるつくりとなっています。みなさんそれぞれの”うた”を見つけ出してみてください。ぜひ、通常版、絵字幕版、音声ガイド版、のリピート鑑賞お待ちしております。

次回は、陽道さんと過ごした2年間から、映画に使用していない出来事を少しづづ、お蔵出ししていこうと思っています。

引き続き、読んでくださいね。

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河合宏樹






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