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「征服されざるもの」モーム

モームの短編集の中でもスリルのある作品だった。タイトルの意味を最後のページで知った。勝利したドイツ軍のハンスと敗北したフランスの農家の娘アネット。戦争していた国同士のこういう婚姻関係って実際どれくらいあったのかはわからないけども、現実的な生活面を考えて「征服」されちゃう人が多いと思う。小説には描かれていなかったけれど、その後のアネットは生活面は貧困で両親にも嫌われ、短命に終わるにせよ精神は自由のまま終わるんだろうな。こんなに強い自分を持っていることが素晴らしい。

とはいえ、冷静にハンスは「自国が勝った」「家が裕福」であることを全面にアピールして、立場が劣勢な農家の娘に対してこれ以上ない屈辱を与えているのは確か。そこに屈しなかったというのは素晴らしい。


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