「ブックオフのせどり転売の利益で買った家を売却処分した話」
2000年あたりから2007年くらいまではブックオフで安い値段で売られている本を拾って、ヤフオクやAmazonマーケットプレイスで転売して利益を出すのがとても楽だった期間で、そのころのブックオフは古ければ人気がなければ定価の高い学術書も叢書揃いも機械的に100円の値札をつけていた時代だったから、需要がありそうな本を簡単に拾う事が出来、短期間ですぐに転売することが出来た。昔から出版社他に馴染みのあった人間なら、同じようなタイトルでもA出版のはダメでB社のなら売れるみたいなのは簡単に把握できたが、その蓄積のないせどり転売屋の出る幕はなかった。元からの本好きがいい商売できていた
そのころは仕事が終わるとそのままブックオフに向かい、数店舗巡回して本を詰め込んだ黄色い袋で車の中を埋めて帰宅するという毎日であった。見込んだ本は楽に売れた。発送作業がまた面倒で、入金確認あて名書き梱包でかなりの時間を使った。だいたい月商30~40万円ほど。そのころは仕事場からの給料は振り込まれても手つかずのまま、書籍の転売で(私の場合はよいブランド古着の仕入れ場所もあったのでそれもやっていた)得た利益だけでかなりの年収になった。一切申告してないので入った金額がそのまま自分のものであった。札幌で私とツートップくらいで転売していた仲のよかったK氏はバイトを雇ってその作業を効率よくしていたので年商1000万くらいはあったようだが、ちょっと目立ち過ぎたのか、ヤフオクあたりから追っかけられて税務署がきて、かなりもっていかれたがそれでも痛くもかゆくもないほどの利益があったようだ。彼も本に詳しい人だったので、出版社とタイトルだけで棚から本を抜ける人だ
そういう参入が楽なところには素人もがんがん入ってき始めるのだけど、彼らは売れそうな本がよくわからないので何を買っていいかわからない。そのうち、そういうやつ向けに商売指南の情報商材を売る連中が出てきた。バカのそいつらはすぐそれに飛びついた。実際、そんなバカにそういう商材を売る方が本を転売するより楽に儲かったのだろう。ブックオフは次第にその手のやつと私らのようなやつで溢れかえるようになったが、連中に先に本を抜かれるようなことはまだなかった。
そのうち、書籍のISBNコードを携帯端末に入力してAmazonのマケプレ価格を調べるというソフトが開発された。それでも私らの方が楽に先にそいつらより本を抜くことが出来た。当然だ、あいつらはバカなのでどの本をISBN検索したら効率がいいかもわからんレベルなのだ。そしてISBNのついていない本にあいつらバカのせどりは手を出せないwwwただ、徐々に昔からの本好きもせどり転売に参加してくる、そのうち、バーコードリーダーで読みこんでひたすらかごにいれて送料差分だけで利益を出すという連中も出てきた。
だいたい2006~7年あたりでブックオフ仕入れせどりのうま味は無くなりはじめた。そんなゴミみたいなせどり転売屋でも多ければ多いほど、それまでレアにみえていた本はそこら中にあり登録されていくので、いい利益を出せるような本を探すのが難しくなった。私は梱包とあて名書きと発送に追われるのもかったるく苦痛になってきていたのでブックオフ転売をやめてしまった。だいたいそのあたりからブックオフの値付けもうま味のあるものではなくなってきた。それまでは月イチで帯広遠征して山ほど仕入れて転売していたがそれもしなくなった。ブックオフに通うこともなくなった。
その最初の三年くらいで貯まったお金で買ったのがこの前売却した家で、そこは転売用の古本の倉庫にしていた。家に積んでいたのだがまだ生きていた父が「邪魔だなおい」と言い出したので買ったのだった。あと10年は楽勝でいけるかと思ったが、せどり転売のブームの終わりは早かった。スマホがはいってきたらどんな素人でもバーコードかざせばマケプレ価格がわかるようになった。あいつらは目利きができないので、全頭検査を棚の端から始める。そういうやつの上流にいってさくさく本を抜くのはとても小気味よく痛快だった。
私は本業も忙しくなり、その家は売れ残った在庫の本の置き場になったが、無人の家は腐るのがはやい。雪解け時の屋根の溶けた雪がオーバーフローして室内にはいってきて、在庫の積んである本を腐らせていった。もう十分利益を出していたのでそれらはゴミで捨ててもいいのだが、面倒なので放置していた。そのうち、その手の水漏れがひどくなり、内壁や天井が腐って落ちてきた。外壁もはがれて猫が勝手にでいりするようになった。隣家から「そちらの壁がうちのクーラー(業務用)の室外機に崩れてきそうで、崩れると機械すごい値段するのでなんとかしたほうがいいです」みたいな連絡がきたのが去年。
何軒かの解体業者に見積もりを出してもらうがやはりかなり高い。家の中のゴミ処理と解体の産廃処分でかなりもっていかれる。そんなときに地域の物件を扱う不動産業者とつながることができて無事建物取り壊し更地渡し売却が終わった。
「ブックオフのせどり転売の利益で買った家を売却処分した話」おわり
全てで損はしてない。利益の方がはるかに大きい。今回の発掘で濡れを奇跡的に受けなかったやつらの中のそこそこいい本は持ち帰った。あとはブックオフも呼ばず全部ゴミでだした。もうブックオフでせどり転売屋をみることはほぼない。
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