若返るのを断る

 学生時代の不安には、来週の提出物どうしようレベルの末端不勉強学生どものそれとは次元の違う、このまま卒業して就職するにしても進学するにしても、どっちも私の知らん世界だわい、入ったばかりの今は何もできんのだけど、これからなんかできるようにでもなっていくのか結構不安だなあでも神保町巡りはとても楽しいなあみたいに生活していたそんなのが東京時代十年だったのだけど、その不安ったって、この先はよくなる一方だ悪くなる兆しなんかかけらもないわいという中での将来に対する不安であったので些かのん気な不安ではあった。たまに寝起きに学生時代中の夢を見たりして、当時の将来への不安を思い出したりするのだけど、これから書くことはこの世に絶対存在しないことなのでそんなもん想像したところで何の意味もないのだけど、つまり、

 「もし私が40年は若返って当時の若い衆世代に今になって学生生活を営み、その分の寿命は延びるぞおいどうするやってみるか?」

のお誘いがきたら即答で断る。あの当時の不安のもう一度味わいたくないどころか、あの不安感はもう一度味わいたい、しかし、あの当時だったからあの夢見がちな不安程度で済んでいたのだろう。いま二十代になって、収入それほどなし預貯金なしの若さに戻ったところで、この先この将来、よいことなどないのがほぼ確定なのだ。いまの私はもうそこそこ安泰なのだ、老衰分くらいまでは安泰だ、私が安泰じゃなくなるレベルになったとすれば、それは比喩としては、この国の8割が路上で死体となって転がってからようやく私の順番になるレベルで安泰なのだ、誰が好き好んで若さだけ取り戻して今の時代でもう一度生きる選択などするものかwww

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