自家用車の悲しいところ(言葉足らずのところを修正しました)

 デンマーク/スウェーデン合作のテレビドラマ「The Bridge」(翻案されて『トンネル』という派生ドラマもある)、特徴のある女性主人公の刑事が、たまに自分の口に指を突っ込んでぐりぐりしている。
 私はそれをみながら「なにをしているんだろう」と不思議に思い、ドラマを一旦とめ、検索する。噛みタバコというもので、唇と歯茎に挟むものだとある。

 鼻から吸いこむ粉上のタバコ(所謂、嗅ぎタバコ)は数十年前に体験した。いまもたしなんでいる。ただ、噛みタバコの経験はなかった。
 ドラマの筋はそれほど上手でもない。ところどころ破綻しているが、その主人公の乗る古いポルシェと噛みタバコが気に入って全話みた。ポルシェも欲しくなったがあんなもん買ったところで前の車より維持が大変だ。しかも自家用車をそのポルシェにしても悲しいところは、外側から見てかっこいいのだけど、所有して自分が運転席に乗ってしまうと、それがみられないのであった。私の場合、たまにでかい車屋のガラス張りのショールームに映る自分の車の姿に満足していた。そんな時ぐらいしか見られない。

 今日のお出かけ先は、札幌で数少ない、その噛みタバコが買える場所で、そこで「目指して客がきてくれる店はつぶれないな絶対」と思った。無人餃子の店、店というかガラス戸の物置、どこにでもあるようだ、しかもちょっと値段も高い。そのうち全部つぶれるだろう。変な名前のパン屋のように、変な名前の餃子屋になれ。私が面白がるから。

 何を着ていこうかと思って目についたB-3を十数年ぶりに着る。暖かい。そして車に乗って出かける。不都合もない。そこでわかった。
 私がこの十数年、車による運転外出で絶対に厚手のダウンジャケットばかり着ていた理由は、前の車の風通しがよすぎて寒いからなのだなあとわかった。
 前に乗ってた車は密閉性がまるでない。運転席側助手席側のドアに鍵もない。下半分だけ鉄で、上が幌。キャンバス。窓はぶ厚いビニール状のもの。経年劣化で割れたりする。
 その、もう後ろの窓代わりの透明スクリーンも割れて破れて窓があいた状態になってた。冬は雪が吹き込む。よくそんなもんを十年以上乗ってたものだ。新しい別の中古車になり、今後は冬の外出のアウター選択もいろいろできる。
 
 無事に噛みタバコを購入し、帰宅する。帰りにブックオフに立ち寄る。100円棚だったところにはもう100円の本なんかない。全部200円になってる。しかもたいしたものもない。立ち寄らなきゃよかった、と毎回思うのだけど、あの看板があって体力に余裕があると、「もしかしたら」で立ち寄ってしまう。もう立ち寄らないようにしたい。あそこの本、全部合わせても、私の本棚の1本分より価値がない。ゴミを飾ってるんだろう。大事に飾っておけ。

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