ヒグマを捕獲しても使い道もない

 釣りをしているとターゲット以外のものが釣れることがあり、だいたいそれは例えば海だとウグイ(アカハラ)とかドンコとかそういうものなのだけど、だいたい釣られたそれはリリースもされず、釣り場にそのまま放棄される。カラスやキツネのエサになってそのうちなくなる。以前そのウグイを「こうやってああやってあれをしてこれをして、そうすれば食べられる」と解説していた老人がいたが、「そこまで手間かけて食べないわ、その手間かけてやっと食べられる魚より美味しい魚がもっとずっと安く売られておるわ」と雑談してたのを耳にして、実際そうなのだスーパーの魚売り場にアカハラが並んでいるのなんか見たことがない。ただ一度だけ子どもの頃に、漁港の朝市でアカハラの刺身用柵が売られてたのを目にしただけ。
 
 たいそうな美味であったら捕獲しにくくても見た目がグロくても触ったらなんかヌルヌルしてて気持ち悪くても、とても採集しにくいところにある山菜だって年寄りどもはわざわざ車で数時間かけて採集しにいったりする。
 
 そんなものお構いなしに通常の食材になるのは、アンコウやウナギその他ですでに証明済みであって、そこらにやまほどいるけどそれをわざわざ食わないわというのは、毎度煙突から落ちてきてしまうスズメを代表として(スズメを以前食うてみた。太宰が美味いと書いていたから。食うてみたらちっとも美味くない。二度と食わん。だいたい肉より骨の方が多いし。)、冬になると海岸近くまで寄ってくるトドやアザラシもそう、それほど美味しいものだったら害獣駆除なんかじゃなくて、みんなすすんで山の中に入り込んでヒグマを捕獲しつづけて、いまごろは絶滅危惧種になってるだろうが、そうなってないあたりも考えると、いや別に食えないことはないんだけどそこまで手間かけて捕獲するより牛豚鶏羊の方が安くて美味だわ、であるからのヒグマ出没ニュースで、イノシシもその類だろう。そこまで美味しいのならいつもスーパーに常駐しているはずなのだ、というか、あれを常駐させるまでに美味しいものに品種改良したものが豚ではないか。

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