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I live in Tokyoを過去形にしなさい

ミスターベースボールこと長嶋茂雄、彼ほどエピソードに事欠かない人物はいない。
あることないこと尾鰭背鰭がついて物語が一人歩きしていくのは、ミスターがこれでもかと親しまれていた証左である。
天才・長嶋茂雄、スーパースター・長嶋茂雄、昭和の偉人・長嶋茂雄、元祖動物的勘の男・長嶋茂雄、日本プロ野球の大功労者・長嶋茂雄。

今日はミスターこと長嶋茂雄を語る上で外せないインフラ的な逸話を紹介しよう。

立教大学、緊急事態宣言

長嶋茂雄は六大学野球の立教大学野球部で破天荒とも言える成績を残し、鳴物入りでプロ野球・讀賣巨人軍への入団を決めた。
だがここで大問題が発生したのだ。
ミスターは単位が圧倒的に、単位が破天荒的に足らなかったのである。

立教大学上層部は苦悩した。
このままでは長嶋は留年し、読売巨人軍にも留年してしまう。
そうした事態だけは避けたい。

立教大学上層部は苦悩の末、なんとなんと、
「卒業試験」なる緊急事態宣言を発令したのだ。


卒業試験という名の卒業儀式

とは云え、立教大学上層部の狙いはただ一つ。
長嶋茂雄に気持ちよく卒業してもらい、読売巨人軍で立教大学の宣伝塔になってもらいたいというもの。
だから試験とはいえあくまで儀式。
問題は標準的大学生ならば、いや中高生であっても目を瞑って解けるものが用意された。


I live in Tokyo.を過去形にしなさい


ミスターの前には、試験官の皮を被った立教大学上層部が、、固唾を呑んでズラリ立ち並んでいた。
対峙するミスターとの間に、全ての運命を託され、うつ伏せになった問題用紙がソッとその時を待っていたのだ。

試験開始、
どこからともなくその声が響き、ついに運命の試験が開始された。
刹那にして仰向けになった答案用紙。
確認になるが、
そこにはこう書いてあった。


I live in Tokyo.を過去形にしなさい


コペルニクス的天才

よく発想を根源的な部分で変えることを、「コペルニクス的転回」と言うが、
長嶋茂雄ほどコペルニクス的転回に長けた人物は歴史的文脈においても、およそ見当たらない。

この卒業試験でも、ミスターのコペルニクス的転回が冴えに冴えることとなる。


長嶋、絶対に正答しろ、、そのために、、、究極的に根源的な問題を用意したんだ、、、、

立教大学上層部の心の声に応える形で、ミスターは答案用紙に答えをつづり始めた。




問題 I live in Tokyo.を過去形にしなさい

解答 I live



そう長嶋、そうだ、そこでアレするだけで、、、、読売巨人軍は永遠に不滅となる。
「d」と過去形にするだけで、お前は宇宙のすべてを手にすることができるんだ。

上層部の願いは最高潮に達し、ミスターは神妙な面持ちで筆を進めた。


問題 I live in Tokyo.を過去形にしなさい

解答 I live in


終わった・・・・・・・・・・・・・
上層部は天を仰いだ。
上り坂、下り坂、そしてまさか、
その、
まさかが、まさかこんな時にこんな所で起こってしまったのだ。
試験室が第二の敗戦に打ちひしがれる中、
ただ1人だけ諦めてはいない男がいた。



伝説の開国

ミスターベースボールこと長嶋茂雄だけは、

解答 I live in  
の先にある宙空に希望を見出していたのだ。

ミスターは静かにだが、確実に筆を進めた。


問題 I live in Tokyo.を過去形にしなさい

解答 I live in E


え??
立教大学上層部はマリオが落ちた谷を見やる面持ちで、
海馬に、、??、、を打った。

ミスターは意を決したといった体で、おもむろに筆を滑らした。






問題 I live in Tokyo.を過去形にしなさい

解答 I live in Edo.


ここに長嶋茂雄伝説の幕は切って落とされた。

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