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安用寺孝功 パン屋の二代目は対抗型好き

安用寺孝功
日本将棋連盟にあって関西所属の将棋棋士。
森信雄門下、1974年生まれ25歳にしてプロ入り。
74年生まれ??
ということはジャンプ黄金期を良く知る人物であって北斗の拳、風魔の小次郎、キン肉マン、キャッツアイからシティーハンター、穴狙いならばコスモストライカーないし男塾を幼少期に愛読して内在的論理が形成されたのではと、筆者の中の怪物がそう云っている。
ひいては25歳にしてプロ入りということは「月下の棋士」(ビッグコミックスピリッツ連載)をこっそりと、だが確実にコンビニで立ち読みして、滝川幸次の描写にコンプレックスを抱きながらもそれを糧にして奨励会を年齢制限が迫るなかにあって見事に突破した苦労人のはずだ。

年齢からいって森信雄門下の番頭格といえよう。

森信雄門下とは何か?
大切なことだから一度だけ説明しよう。

いいか一度しかいえないから良く聞いて欲しい。


森信雄門下とはざっくりといえば将棋界の山○組である。

もう一度云え?

寝言は寝てから云えっ。この記事投稿した二時間後に二度ほど沈んでまうわっ。

西の森信雄門下、東の所司和晴門下


つい5年ほど前まで、将棋界の最大勢力といえば所司和晴一門だと相場が決まっていた。
だがコロナ事変下にあって勢力地図が急変。
いまや西の森信雄門下が最大勢力だといえる。
その人数たるや両掌の指でも数えきれない程だ。より正確を記すならば森信雄をはじめ総勢およそ20名ぐらいだがって、全然正確ではないが、とにかく最大勢力になったことはまず間違いがない。


なぜ所司和晴は本を潤沢に出版できたのか?

一昔前まで所司和晴の将棋本がところ狭しと書籍コーナーに並んでいた。
非常に高度であったが、惜しむらくはレイアウトに難があったため一筋縄ではいかない棋書である。
それに対し高いニーズがあるとは到底思えない代物だった。


ではなぜ所司和晴はそれほどまでに将棋書籍を出版できたのだろうか?


将を射んと欲すればまず馬を射よといったものだ。
所司和晴門下は渡辺明をはじめとして多士棋士済済百花繚乱。
売れっ子たる渡辺明の原稿を欲すれば、まず将たる所司和晴を射るのが定跡となる。
だから所司和晴には出版依頼が次々に舞い込んだのだ。

その後は、
いわゆる一つの社長命令である。


パン屋の二代目・安用寺孝功

安用寺孝功はパン屋の二代目といった風貌であり、見るからに人が良さそうにみえる。
実際、指導対局を受けてみれば安用寺孝功の人柄がよくわかる。
指導対局は妥協の産物にして可能性の芸術であるといったもので、棋士の真実を知りたければ、何をおいても指導対局を受けるべきだ。
付言が許されるならば、無料でペーペーの指導対局ではなく2500円ないし3500円ぐらいする正規の指導対局を受けなければ真実には到底届かない。



谷川浩司を撃破、その衝撃

 指導対局は真理へのプラチナチケットである 

実際、指導対局を受けてみれば安用寺孝功の人柄がよくよくわかる。
柔和であり温和でありウソのつけない好人物であることが手に取るようにわかる。

筆者が5年ほど前に指導対局を受けた時の話しだ。
NHK杯というあまり知られていないTV棋戦があるのだが、安用寺孝功はNHK杯の予選を見事に勝ち上がり本選に名乗りを上げたのだった。
そこで待ち受けていたのは谷川浩司永世名人。
下馬評では安用寺孝功必敗。なんたって相手は光速の谷川永世名人だ。
滝川幸次のモデルになっちまったからといって強いことに変わりはない。
1974年生まれから見れば立志伝中の人物であり世にいうレジェンドである。


筆者が無料でペーペーの指導対局を授かったのはNHK杯で対谷川戦の収録があった後だった。

  2019年NHK杯の流れ
谷川浩司 対 安用寺孝功○ NHK杯収録
         ↓
  ペーペーの指導対局を筆者が受ける
         ↓
谷川浩司 対 安用寺孝功○ NHK杯放送

時系列で並べると上図のようになる。
棋士はNHK杯の対局終了後も放送までは誰にも、誰であろうとその結果を話してはならないという鉄の掟を背負っている。


 棋士の二律背反ジレンマ

だから筆者が安用寺孝功の指導対局を受けた時点においては、

「勝ったんだけど話せないっ、でもあの谷川浩司に勝ったことを本当はところ構わずベラベラしゃべりたいっ」

という相剋状態だった訳だ。

  2019年NHK杯の流れ(再掲)
谷川浩司 対 安用寺孝功○ NHK杯収録
         ↓
  ペーペーの指導対局を筆者が受ける
         ↓
谷川浩司 対 安用寺孝功○ NHK杯放送

なぜわかるのか??
説明しよう。

それは安用寺孝功の顔にそう書いてあったからだ。
「勝ったんだけど話せないっ、でもあの谷川浩司に勝ったことを本当はベラベラしゃべりたいっ」
という二律背反オーラをまといながら指導対局に励んでいた安用寺孝功は輝いていた。
ただでさえお釈迦様のようなご尊顔に後光がかかり神様仏様のように輝いておられた。
ちょっとはにかみ続け、薄笑いすら浮かべていた。

これだけのエビデンスが揃ってなぜNHK杯にて谷川浩司に敗れた可能性が残っていただろうか。


 指導対局は妥協の産物にして可能性の芸術

このように指導対局を受ければ、棋士の知られざる素顔に近接できる。
棋士の知られざる素顔それはすなわち真理である。
だから指導対局は真理へのプラチナチケットたり得るのだ。
確かに指導対局とはガチではなく、盤上においては妥協の産物に過ぎない。
しかしガチではないからこそ、盤外において大切なものを得られる。
それを人は真理というのだ。


四十九年、一睡の夢、一期の栄華、一盃の酒

1974年生まれの安用寺孝功は順位戦でC2に在籍しており今年50歳となる。
49歳で没した上杉謙信の辞世を引けば「四十九年、一睡の夢、一期の栄華、一盃の酒」である。

ここから類推するに、
安用寺孝功の50歳という齢は、一期の栄華ならぬ「一後の栄華」ワンチャン」と換言できる。
つまり「一後の栄華ワンチャン」はまだ残されている。
だから、
安用寺孝功には、もう一花咲かせてほしい。

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