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NISA亡国論

NISAが日本を滅ぼす。

皆がぼんやりと感じている「この感覚」を理路だてて言語化してみよう。

株式売買は経済成長に寄与しない

GDPという言葉がある。
これは国内総生産のこと。
国内で1年間に生産された富の総量のことをGDPという。
「富」とは「豊かさ」だ。
この「GDP=豊かさ」が増加することが経済成長である。

実はNISAをはじめとする有価証券の売買はほぼほぼ経済成長に寄与しないのだ。
(厳密には証券会社の手数料分だけGDPは増加するが誤差の範囲として割愛)

まず、なぜ有価証券の売買が経済成長に寄与しないのかを説明しよう。

デイトレーダーの人々をイメージして欲しい。
毎日株式をネットトレードして日銭を稼いでいる人々だ。

彼らはいったいどんな豊かさを世の中に生産しているのだろうか?

実はネットトレーダーは何一つ世の中に豊かさを生産提供していない。
だからネットトレーダーがどれだけ株式売買で儲けても日本は経済成長しない。

確かにうまくいけばネットトレーダー自身は豊かになるかもしれない。
だがそのネットトレーダーが株式で儲けたということは、裏側に株式で損をした御仁が必ずいる。
だからプラスマイナスで豊かさはゼロになるのだ。

このように株式売買がどんなに盛んになっても、それだけで日本経済が豊かになることはない。
個々人の豊かさと日本経済の豊かさを混同してはならないのだ。



NISAで貧しくなる日本

ここまではデイトレードの場合だった。
ではNISAはどうなのか?

NISAとは株式をはじめとする有価証券売買で儲けるスキームだ。
ひいては売却益が出た時に20パーセントの税金が免除される特典付きである。

これは酷い。
あまりに酷い。


なぜ酷いのか?


NISAは経済成長にまったく寄与しないスキームだ。
老人がNISAで大儲けしても日本経済はまったく成長しない。
しかも大儲けした老人は20%の税金が免除されるのだ。

仮に、老人達1000万人がNISAで都合1000億円儲けたとしよう。
老人たちの財布は1000億円膨らんだ。
だが老人達は税金を一銭たりとも納めない。
NISAで大儲けしても日本経済は成長しいないのだから、当然国の税金収入は増えるはずがない

さらに輪をかけて老人達はこれまでなら払っていたはずの税金を払わなくなる。

すると、どうなったか?

老人達が豊かになったが、その分、国家政府は貧しくなった。
だからNISAで日本は貧しくなるのだ。



高齢層限定の減税政策

このようにNISAは税収を確実に減少させる。

NISAのメインターゲットは高齢層だ。
高齢層は税金を大量に消費している。
しかしNISAは高齢層の支払う税金を減少させていくのだ。
差し詰め高齢者限定の減税政策である。

これは滑稽ではないだろうか。

財務省や日本の大手メディアによれば、国家政府の税収は不足していることになっている。
下手を打つと、
国債が債務不履行を起こすことになっている。

ならば、減税なんてしている場合ではないだろう。

ましてや最も税金を必要としている高齢層だけを減税対象にするのはいかがなものか。
ましてや最も資産ストックの多い高齢層だけ減税対象にするのはいかがなものか。



若者と老人の主客転倒

本来、若者をこそ税制で優遇すべきだ。
言葉は悪いが若者はカネがない。
カネがない若者は節制を強いられる。
節制すると消費しなくなる。
若者が消費しなければその分経済は滞る。
これが現状だ。

翻って老人はどうか?
言葉は悪いが老人はもうすぐお迎えが来る。
だから老人はカネがさほどいらない。
しかも必要にして十分な資産を溜め込んでいる老人がほとんどだ。
なのに国家政府はNISAにて老人の富をさらに増す道を選んだ。
国家政府は自分たちの税収を犠牲にして老人の富を増やす道を選択した。
繰り返しになるが、NISAではどう転んでも日本は経済成長しない。
つまり、
日本政府は経済成長を犠牲にして、老人の富を増やす道を選択したのだ。


これらは「若者の富を増やすべき」という国家繁栄の基本原理に反する行為である。
国家の若者と老人の扱いが主客転倒しているのだ。



増やすと使うの主客転倒

もう一つNISAには重大な主客転倒がある。
それが「増やす」と「使う」の主客転倒だ。

経済成長とは人々がお金を「使う」ことでなされる。
飲食、旅行、家電購入…
日本人の消費の合算もGDPになる。

だから経済を成長させたければ「使う」を刺激してやらねばならない。
なのにNISAは老人の「増やす」「貯める」を推奨している。
NISAに捕らわれた老人のカネは株式所有という形で滞る。
この間、このカネは一切合切経済成長に寄与しない。
株式所有では「使う」が刺激されないためだ。

しかも高齢者には「使う時間」がたんまりとある。
しかも高齢者には「使うカネ」もたんまりとある。
若者には「使う時間」も「使うカネ」も限られているのと対照的だ。

そんな「使う時間」も「使うカネ」もある高齢者をなぜ優遇するのだろうか。
そんな「使う時間」も「使うカネ」もある高齢者をなぜさらに「増やす」「貯める」に誘導するのだろうか。



老人が資産を増やし、若者がなけなしのカネを使う
NISA亡国論

本来、資産があるものが消費主体になって経済成長をリードしなければならない。
現下日本でいえば高齢層に資産が偏っているため、高齢層が消費主体となって経済成長をリードしなければならないのだ。
だがNISAは高齢層がさらに資産を増やすよう誘導する。
本来消費主体になるべき高齢層が、NISAによって「増やす」「貯める」に回っていくのだ。

そして本来将来のために貯める段階に差し掛かっている若者たちに「使う」を強いる。
若者世代は所得が少なく税制優遇政策も少ないため、なけなしの給料から生活必需品に向けて消費することを強いられるのだ。

かたや経済成長に寄与すべき高齢世代が、消費をせずカネを増やす。
かたや資産を増やし将来に備えるべき若者世代が、やむなく消費して経済成長をかろうじて支える。


これは明確に高齢層と若年層の主客転倒である。

このように、
NISAは日本に様々な主客転倒をもたらし、日本を貧しくしていく。
今風にいえば、日本から持続可能性を奪っている。


つまりNISAでやがて日本は滅びるのだ。

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