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凡夫から須陀洹、斯陀含、阿那含、仏陀・阿羅漢へ 

仏道修行者として、わたくし達凡夫が、仏陀・阿羅漢へ向かう最初の段階として、まず須陀洹(シュダオン)を目指すことになります。須陀洹にはいくつかの定義がありますので、ひの出版室『仏陀に学ぶ脳と心』、大東出版社『国訳一切経』を中心に全体像を見ておきましょう。

なお、ご承知のように、須陀洹・預流になれば現世でも来世でも、惡趣(地獄の境涯)に落ちることがなく、聖者の流れに入り、心は寂静となってニルバーナ(涅槃)に向います。七回天界と人間界を往復して苦辺を究竟し、斯陀含(シダゴン)、阿那含(アナゴン)、仏陀・阿羅漢の階梯をのぼって参ります。

①「身見、疑惑、戒取」の三結を断じる

「是の如く知り、是れの如く見て、三結の謂ゆる
身見、
疑惑、
戒取を断ず。
此の三結を断ぜば須陀洹を得て悪趣の法に堕ちず」

 大東出版社 国訳一切経 阿含部 雑阿含経12581『学経』

② 仏、法、僧への信、聖戒成就である「四不壊浄(四不壊信)」の成就

「世尊の説きたまふ須陀洹は四法を成就す。何等を四と為す。謂く
仏における不壊浄と、
法僧への不壊浄と、
聖戒成就となり」

大東出版社 国訳一切経 阿含部 雑阿含経3935『沙陀経』

「仏、法、僧への不壊浄、
聖戒成就すべしと。
亦た当に余人を建立して成就せしむべし」

大東出版社 国訳一切経 阿含部 雑阿含経12612『四不壊浄経』

「我この念を作す。
若し我れを殺さんと欲する者有らば我れ喜ばず。我れ若し喜ばざる所ならば他も亦た是の如し。云何が彼を殺さん。是の覚を作し已わりて不殺生を説く。不殺生を楽はざること上に説けるが如し。

我れ若し、人の、我れに於いて盗むを喜ばざれば他も亦た喜ばず。我れ云何が他に盗まん。是の故に不盗戒を持ち盗を楽がわず。上に説けるが如し。

我れ既に人の、我が妻侵すを喜ばず、他も亦た喜ばず。我れ今云何が人の妻婦を侵さん。是の故に不他婬戒を受持す。上に説けるが如し。

我れ尚ほ人の為に欺かるるを喜ばず。他も亦た是の如し。云何が他を欺かん。是の故に不妄語戒を受持す。上に説けるが如し。

我れ尚ほ他人の、我が親友を離すを喜ばず。他も亦た是の如し。我れ云何が他の親友を離さん。是の故に両舌を行ぜず。

我れ尚ほ人の麁言を加ふるを喜ばず。他も亦た是の如し。云何が他に於いて而かも罵辱を起こさん。是の故に他に於いて悪口を行ぜず。上に説けるが如し。

我れ尚ほ人の綺言(きご)を作すを喜ばず。他も亦た是の如し。何が他に於いて綺言をなさん。是の故に他に於いて綺飾を行ぜず。上に説けるが如し。

是の如き七種を名づけて聖戒と為す。

又復仏に於て不壊浄を成就し、
法僧に於いて不壊浄成就せば是れを聖弟子、四不壊浄成就すと名づく。
自ら現前に観察して、自ら、我、地獄尽き、畜生尽き、餓鬼尽き、一切の悪趣尽きて、須陀洹を得、悪趣の法に堕せず、決定して正しく三菩提に向ひ、七有の天人に往生し、苦辺を究竟すと記説せん」   

大東出版社 国訳一切経 阿含部 雑阿含経13016『鞞紐多羅経』

③ 離に喜楽を生じ初禅(須陀洹の境界に住する)

「彼の聖弟子は、
中間に憂苦を起こすと雖も、彼の聖弟子は、
欲悪不善の法を離れ、
有覚有観、
離に喜楽を生じ、
初禅具足して住することを聴(ゆる)されん」

大東出版社 国訳一切経 阿含部 雑阿含経11964『聖弟子経』

如何でしたでしょうか。阿含経に説かれている「須陀洹」についての経典は、具体的な修行方法を明示してくれているようです。それぞれの語句はわたくし達、現代人がイメージできるように、今後、意訳、翻訳いたします。

なお、『鞞紐多羅経』はそのままで分かり易く、仏、法、僧への壊れることのない信を固め、聖戒(十善戒の身体3つと口の4つ)を護ることで、須陀洹となると説いています。阿含経における十善戒は、大乗仏教で説くところのそれと、かなりニュアンスの違いがありますので、再確認をされると良いでしょう。

須陀洹は、我欲を離れ、利他の心、周囲のお幸せを願う心を持つ存在のようです。また、心の3つ「不慳貪戒、不瞋恚戒、不邪見戒」は須陀洹となって斯陀含に向かう段階での修行であると読めます。合掌

サポート有難うございます。 願はくばこの功徳をもって普く一切に及ぼし、我らと衆生と皆ともに仏道を成ぜんことを。合掌