zoomでしゃべるのめっちゃムズい。

ムズい。
難しい、と、ムズムズするの両A面で、ムズい。

むずくないすか?自分が苦手なだけ?

人って普段、他者としゃべる時に、無意識のうちにすごい量の情報をキャッチしているのだなあと、改めて思うことしきりです。

喋っている内容はもちろん、視線や、ちょっとした仕草、表情、声のトーン、息づかい、リズム、テンション、etc...五感を駆使してものすごい情報量を処理している。普段でも喋りが上手い人は、この辺の感覚が鋭いんだろうなあと思う。

だけど、オンラインを介すと、そういった情報の解像度がめちゃくちゃ落ちる感じがする。人間が発する様々なニュアンスの微妙な大小による凸凹、その立体感が全部、ベタ塗りの同色に塗りつぶされて、音としての言葉だけが飛んでくるような。キャッチできる情報のデータ量がPS4とファミコンくらい違ってる。

なので、相手の発言が終わったのか、続くのか、そんなことすらも掴みづらい。ものすごく大胆な間が開いて不思議な空気になったり、言葉が正面衝突したり。

専門学校で、芝居に関することの講師のようなこともやらせてもらっているのだけど、もちろんそちらも絶賛オンライン授業。多い時は、一気に60人近い画面越しの生徒に向かって喋ってたりするのだけど、基本的にこちらがカメラマイクオン、学生はカメラマイクオフ。数十人相手じゃPCが処理しきれないから。画面に並ぶ無数の無機質なアイコン。

なので、いくら喋っても相手のリアクションがない。リアルタイムで画面の向こうにいるはずなのに。相手を受けずにしゃべることが、こんなに難しいとは!と毎度毎度思う
今は、
ーーーーーーーーーーーーーー
①しゃべる。

②次のことをしゃべる。
ーーーーーーーーーーーーーー
こうならざるをえない。

だけど、普通②で「何を」「どう」しゃべるかは、「①に対する反応」によって決めているはず。

①で、相手がすごい納得してくれたら、②で一段階進んだ話をする。
①で、いまいちピンときてないなら、②でもう一度補足する。
①で、聞いてくれてはいるが退屈そうなら、②はちょっと軽い面白を挟んでみたり。

発信して、反応を受け、それによって次の発信の属性をチョイスする、
この連続で成り立ってるものだから、会話って。反応がないと、次にどのトーンで喋っていいかマジで全然わからん。伝わってるか心配でやたら念押ししてしまう。

カメラマイクオフという環境なのでそりゃそうだろうとは思うけど、仮にオンでもやっぱりムズい。

改めて、人間の性能のすごさを改めて思う。
普段喋ってる時、五感をフル稼働して、相手の反応をとんでもない精度で汲み取っている。
そしてそのデータを元に、次自分がどう発信するかの無数の選択を、ほんのコンマ何秒でやってる。

スーパースーパースーパーコンピューター搭載してる。
zoomでは、汲み取れる情報が10分の1くらいになってる感じ。
汲み取れるとしても、けっこう大きなタイムラグがそこかしこに発生するので、リズムはぐちゃぐちゃになる。

相対する人数が増えれば増えるほど、飛んでくる情報は立体感を失う感じ。
塗る前の塗り絵くらいの無機質さ。

事務的な報告であれば過不足なしな気もするけど。
コミュニケーションをとろうと思うと一苦労な感じがするなあ。
もともと気心知れた相手となら、抜け落ちた情報も自力で保管できる部分も割とあるけど、初めましてみたいな相手の場合はむちゃくちゃ難しい。

ここ数ヶ月、ズームズームしてきた現状の感想。そう考えるとズーム演劇なんて、難しすぎる。役者が、通信の狭間にある奈落に消えた情報の空白を、めちゃくちゃ埋めなきゃいけないような。

そういう意味ではzoom演劇には、それ用にカスタマイズされた演技体が必要なのかもしれない。これは今流れで思いついたことなので、そんなにまとまった意見ではないです、「それ具体的にどんなの?」質とか問しないように。

しかしまあ、今後の演劇を思うに、どんな形であれ映像や配信といったシステムとはぐっと距離をつめてやっていかざるをえないとこだろうから、しっかりと知識を蓄えていかなきゃなあと思う。

いぬ3

いぬもきっとそう思っている。いぬ飼いたい。

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