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【報告】環境講演会2021「脱炭素社会に向けて~市民がやるべきこと 挙げるべき声~」

はじめに

12月4日(土)に社会環境部会主催の環境講演会をウェスタ川越会議室1にて開催し、25名の参加者がありました。

今回の講演会では、新型コロナウイルス感染対策に十分注意(検温・アルコール消毒・マスク着用・席の間隔確保)を行ったことに加え、聴講者の数を制限するとの意味合いからYouTubeを利用したオンライン講演の同時配信も行いました。

昨今、地球温暖化に伴う異常気象が多発し、日本も含め世界各地で甚大な被害が報告されています。こうした気候危機が叫ばれる中、本年10月31日から11月13日に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 (COP26)にはおよそ世界200か国からの参加者があり、日本からも岸田首相と山口環境大臣等が出席しました。こうした状況からも、地球温暖化が人類にとっていかに深刻な問題であるかが伺えます。

今回の環境講演会では、この締約国会議(COP)に毎回出席され、政府の気候変動対策への提言者でもあるWWFジャパンの山岸尚之氏をお呼びして、「脱炭素社会に向けて~市民がやるべきこと 挙げるべき声~」と題する講演及び質疑応答を行いました。

講師の山岸尚之先生


講演内容

山岸先生の講演では、①COP26の議論内容、合意事項、パリ協定のしくみ、②日本のエネルギー構成と削減目標、③われわれ市民が取り組むべきことについて具体例を交えながらわかりやすく説明されました。今回の講演の中で特に印象に残ったのは、次の点です。

  • G7とかG20のような主要国会議はあるが、途上国も含め190か国の代表が集まるような会議は他にない。それだけ、気候危機は地球規模で大事な問題ということ。また、COPでの合意したルールはそれなりの重みがある。温暖化の目標は、2.0℃から1.5℃に事実上シフトした。

  • COP26には4万人の人が集まり、色々な催しが行われていた。気候危機は特に飢えに苦しむ子どもたち(弱い立場の人たち)へ影響が大きいこともあって、ユースの声を聴こうとする雰囲気があった。日本の若者の参加者もあった。

  • 日本の石炭火力政策が不評で、化石賞の対象になってしまった。

  • 日本の排出量削減目標はよくなってきたが、政策・実施面では不十分。実効性が試される。

  • われわれのライフスタイルを変える努力。一世帯当たりの二酸化炭素排出量は5トン/年。

  • 住・食・移動の中で住の割合が大きい。住では電気の割合が大きく、再エネ電力への切り替え・省エネ家電の利用が重要。食では肉類を減らすと排出量削減に寄与。移動ではできるだけ自動車は使わず公共交通機関を利用。電気自動車の利用も。

  • 議員選挙には絶対行くこと。気候危機に対する姿勢・政策をチェックすること。「選ぶ」ことで変えることが重要。

質疑応答

 講演後の質疑応答では、あらかじめ寄せられた質問を優先的に先生より回答をいただきました。

  • EV利用・技術革新による排出量削減効果について ⇒日本は、技術偏重の傾向がある。技術はあっても市場開拓で負けている。アップルのiPhoneのような製品が出てこない。

  • 入間川での小水力発電の実現性は? ⇒川の落差と水量が必要。一級河川の許認可でも難しい。

  • 樹林・農地保全の脱炭素化への寄与は? ⇒川越市(110㎢)全部に杉を植えても30~40年で300万トン(10トン/年程度)のCO₂削減。現状の市の排出量は約200万トン/年で効果は小さい。

  • 有機農業の脱炭素化への寄与は? ⇒CO₂削減効果もあるが、生物多様性にもつながる。ただし、有機農業は収穫が落ちるので、不足分を輸入すれば、その分排出量が増える側面もある。

  • 脱炭素化・地球温暖化を他人に伝え、関心を持ってもらうにはどうしたらよいか?⇒相手の人の趣味とか関心のあることと関連づけて話をしてはどうか。(登山が好きな人には高山植物への影響)。

オンライン配信について

今回も昨年に引き続きYouTubeを利用したオンライン講演の同時配信も行いましたが、画像・音声も良好に録画収録されました。「かわごえ環境ネットYouTube」を検索していただくと講演内容の録画が視聴できます。12月15日現在で視聴回数は89回となっております。

おわりに

今回の講演会の開催に際して、ご協力いただいた講師山岸尚之先生、オンライン配信にご尽力いただいた小瀬理事長、川越市・社会環境部会の関係者そしてコロナ禍の中、足を運んでいただいた参加者にこの場を借りまして御礼申し上げます。

(宮﨑誠)

YouTube環境講演会「脱炭素社会に向けて〜市民がやるべきこと 挙げるべき声〜」

https://youtu.be/TnijLDiLHqU

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