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【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(4)川越版レッドデータブックを考える

川越の希少種

 2月のかわごえ環境フォーラムで報告した「市民による川越生き物調査」によると、5年間に報告された植物は834種で、そのうち国や県のレッドリストに掲載されているのは50種ほどでした。この50種について安泰なものは少なく、中には数株しか確認されていないものがあります。そして、レッドリストに掲載されてはいませんが、川越においてはすでに希少になっているものもけっこうあります。いくつかご紹介しましょう。

イチヤクソウ

 写真1のイチヤクソウは報告があったのは4メッシュコードだけで、いずれも割合規模の大きい福原地区の雑木林です。菌類と共生する半寄生植物なので、移植は難しいです。5月終わりごろスズランのような花を付けます。

写真1 イチヤクソウ

オドリコソウ

 写真2のオドリコソウは2か所のみの報告です。川越水上公園と「(仮称) 川越市森林公園」計画地だけです。地方へ行くと普通に見かけますが、一度生息地がなくなると自力で拡散できないようです。外来種のヒメオドリコソウは空き地を埋め尽くしています。

写真2 オドリコソウ

ヤマエンゴサク

 写真3はヤマエンゴサクです。今のところ、生息地は川越水上公園の保護柵の中だけです。元々は山地性の植物で薄水色の清楚な感じです。似たものでジロボウエンゴサクがありますが、こちらはピンク系で数か所の雑木林で確認されていますが、いずれも個体数は少ないです。

写真3 ヤマエンゴサク

草原の喪失

 また、近年は全国的に草原が失われてきていて川越もしかりです。以前は草原や土手筋に普通に見られたワレモコウ(写真4は尾瀬で撮影)はほとんど見なくなりました。土手の草刈りが年2〜3回行われ、そのたびに消失しているようで、調査をするとわずかに伸びた茎や葉を見ますが、開花には至らず刈りとられてしまうようです。ウマノスズクサというジャコウアゲハの食草も同じような運命をたどっています。

写真4 ワレモコウ

 自然環境部会では、このように目に見えて少なくなってきたものについて検討していく予定です。

(賀登環)


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