困難女性支援パブコメについて、総務省厚労省に伺いました

(0) 素人視点まとめ


● 総務省)パブリック・コメントで届いた意見の取扱は行政手続法第43条に従う必要がある。届いた意見に対して、意見の趣旨を損なわない範囲での整理又は要約は認められるが、正当な理由が無い限り意見を除くことは許されない。
● 総務省)パブリック・コメントでは届いた意見及びこれを考慮した結果を公示する必要がある。公示をもってパブコメは終了となるが、公示された内容に遺漏があった場合は、命令等制定機関は速やかに公示した内容を修正すべき。
● 厚労省)今回のパブコメで非開示とした意見は無い

(1) はじめに


 困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)、同法律の施行に伴う関係法令(案)についての2つのパブリック・コメントについて、疑問に思う点を総務省、厚生労働省に質問しご回答を頂きました。私は法律・行政ともに素人ですので、多々勘違いもあろうと思い、公開してご意見・ご議論を頂ければと考えております。
 本件は「諸党派構想・政治版」を活用し、浜田聡先生事務所(末永ゆかり様)を通して行ったものです。以下で示すのは、私が末永様とでやり取りしたメール(20230405-12)を原文とし、段落等の調整を行ったものです。

諸派党構想・政治版
https://t.co/vByRfz8kWE

(2) 質問の前置き


 パブコメは「市井の良い意見を取り入れる」ほか、「世の中にどのような意見があるか」「その意見を取り上げないのはなぜか」を示すことで、政策の理解と納得感を深めるために実施させるものと認識しています。
 その手続きの趣旨から、パブリック・コメントにおいては全ての意見を開示することが前提であるように考えられ、その点を関係部署に確認させていただきたいのです。

 「困難女性支援」の賛否によらず、多くの意見が結果一覧にさえ反映されないのでは同手続の趣旨に沿いません。
 特に同支援を推進する場合、今後は個別自治体での対応に移りますが、世の中の代表的な意見に対しては全国で統一した見解を持たないと、個々の自治体での対応が不ぞろいになって、同支援の掲げる全国での公平な支援を妨げることになります。
 立場によらず重要な点であると考えており、お力添えいただければ幸いです。

~~関連部署へ質問するに当たっての前提~~
法的な文面と関連する情報は以下の通りです。
① 行政手続法第43条では、提出意見+考慮した結果とその理由を開示することになっている。
② 同43条2では、意見に替えて「当該意見を整理又は要約したもの」を開示することが許されている。
③ 同43条3では、「提出意見を公示し又は公にすることで第三者の利益を害する恐れがあるとき、その他正当な理由があるとき」に限って当該意見の全部又は一部を除くことが許されている。
④参考文献1では、②「整理又は要約」の説明として、「同種の意見が複数提出された場合には、それらをグルーピングして公示」すると述べている。
⑤参考文献1では、②「整理又は要約」が適切に行われているかをチェックするため、「公示の後遅滞なく当該提出意見を(中略)公にしなければならないこととしている」と述べている。
⑥③の当該意見を除くのに十分な理由として、例えば瀬戸市(参考文献2)では情報公開条例違反、賛否の結論のみ記したもの、対象案件に関係しないもの、意見募集の定めに違反したもの、に留めている。

参考文献1:宇賀克也著「行政手続三法の解説 第3次改訂版」学陽書房、2022 p189
参考文献2:https://city.seto.aichi.jp/docs/2010/11/10/03862/index.html

(3) 質問


A. 総務省への質問(行政手続法第43条について)
 1. パブリック・コメントの結果開示に当たっての「整理又は要約」とは具体的にはどのような処理か?
 2. 「整理又は要約」を受ける前の個々の提出意見、および、個々の提出意見と結果として開示された意見群との対照表は公開されるのか?
 3. パブリック・コメントにおいて提出意見を開示しない、および/又は、回答しなくてよい場合があるか?
 4. 一部意見を開示しない場合、その非開示はどのようなルールに則り、どのような手順で行われるか?
 5. 上記4.に依らずに一部の意見が開示されなかった場合、当該パブリック・コメントは終了したとみなせるのか?

B. 厚生労働省、又は、こども家庭庁への質問
 (一般に同省にて所管するパブリック・コメントについて)
 1. パブリック・コメントの結果開示に当たっての「整理又は要約」の実施手順は?
 2. 「整理又は要約」を受ける前の個々の提出意見、および、個々の提出意見と結果として開示された意見群との対照表は公開されるのか?
 3. 提出意見を非開示とする場合のルール、非開示を判断する手順は?
 (3/28に結果が開示された困難女性支援法に関する2つのパブリックコメントについて)
 1. 提出された意見の総数は?(非開示決定および「整理又は要約」の前)
 2. 1.のうち、非開示とされた数は?
 3. 非開示とされた案件について、仮に幾つかの判断基準があるとして、どの基準によって非開示とされたのか、内訳は?
 4. 「整理又は要約」を受ける前の個々の提出意見、および、個々の提出意見と結果として開示された意見群との対照表は公開されるのか?
 5. 4.で公表されるなら、その手段と時期は?

(4) 総務省から頂いた回答


 1. パブリック・コメントの結果開示に当たっての「整理又は要約」とは具体的にはどのような処理か?
【回答】提出意見の整理又は要約につきましては、命令等制定機関が個々の事案ごとに提出意見の数や内容等を考慮して行うものであり、具体的な処理の方法は各命令等制定機関に委ねられておりますが、整理又は要約の範囲は、提出意見の趣旨を損ねない程度にとどめられるべきと解されます。記載いただいた参考文献1に記載のあるとおり、「同種の意見が複数提出された場合には、それらをグルーピングして公示」することも、提出意見の趣旨を損ねない範囲において可能と考えます。

 2. 「整理又は要約」を受ける前の個々の提出意見、および、個々の提出意見と結果として開示された意見群との対照表は公開されるのか?
【回答】行政手続法は、提出意見を整理又は要約したものを公示する場合、公示の後遅滞なく、当該提出意見そのものを公にしなければならない(「公に」しなければならないとは、提出意見の閲覧を求める者に対し、当該提出意見を秘密にしないという趣旨を指します)と規定しています。整理又は要約された意見と提出意見そのものの対照表の公開までは義務付けておりませんが、命令等制定機関の判断により、そのような対照表を公開することは妨げられません。

 3. パブリック・コメントにおいて提出意見を開示しない、および/又は、回答しなくてよい場合があるか?
 4. 一部意見を開示しない場合、その非開示はどのようなルールに則り、どのような手順で行われるか?
【回答】命令等の案についての意見につきましては、当該意見及びこれを考慮した結果を公示する必要があります(御質問中の「回答」は、提出意見を考慮した結果の公示をお指しになっていると理解しております)が、提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき、その他正当な理由があるときは、当該提出意見の全部又は一部を除くことができます。「除く」とは、該当箇所を、その内容が分からないように黒塗り等を行い、提出意見から除去することを意味しますが、必要以上に除くことは許されません。
 なお、意見提出期間の終了後に提出された意見、命令等制定機関以外の者に提出された意見、命令等の案以外についての意見につきましては、命令等の案についての意見には該当せず、当該意見及びこれを考慮した結果を公示する必要はございません。


 5. 上記4.に依らずに一部の意見が開示されなかった場合、当該パブリック・コメントは終了したとみなせるのか?
【回答】いわゆるパブリック・コメントは、結果の公示をもって終了いたしますが、公示された内容に遺漏があった場合は、命令等制定機関は速やかに公示した内容を修正すべきものと考えます。


(5) 厚生労働省から頂いた回答


 (一般に同省にて所管するパブリック・コメントについて)
 1. パブリック・コメントの結果開示に当たっての「整理又は要約」の実施手順は?
 2. 「整理又は要約」を受ける前の個々の提出意見、および、個々の提出意見と結果として開示された意見群との対照表は公開されるのか?
 3. 提出意見を非開示とする場合のルール、非開示を判断する手順は?
【回答】お尋ねの行政手続法第43条第2項及び第3項の運用に関し、厚生労働省として独自に省内向けのルールを定めることは行っておりません。したがって、お尋ねの事項についてはいずれも、同法に基づき各立案担当部局において適切に判断・対応することとなります。

 (3/28に結果が開示された困難女性支援法に関する2つのパブリックコメントについて)
1. 提出された意見の総数(非開示決定および「整理又は要約」の前)
【回答】以下のとおりです。
〇「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係法令(案)」:784件
〇「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)」:1021件

2. 1.のうち、非開示とされた数
3. 非開示とされた案件について、仮に幾つかの判断基準があるとして、どの基準によって非開示とされたのか、内訳
【回答】非開示とした御意見はございません。
 なお、御意見の一部に非開示とすべきものが含まれているものがありますが、頂戴した御意見が膨大な量であり、かつ内容も多岐に渡るため、最終的に公表可能な資料については引き続き精査中です。


4. 「整理又は要約」を受ける前の個々の提出意見、および、個々の提出意見と結果
として開示された意見群との対照表は公開されますか?
5. 4.で公表されるなら、その手段と時期は?
【回答】〇御指摘の資料については作成しておらず、公表予定はございません。

(6)最後に


 以上です。
 素人ですので、余計な意見は言わず、野生の有識者の皆さまのオープンなご意見・ご議論に任せたく思います。パブコメは国民の理解を得ることが目的であり、逆に作用しないよう祈念します。
 最後に、ご対応を頂きました浜田聡先生、末永ゆかり様、ほか事務所の皆様に御礼申し上げます。また、ご回答を頂きました両省の皆様にも御礼申し上げます。

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