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終売の飴


小学校低学年くらいの頃に出会った「さくらんぼの詩」という飴が終売になることを友達が教えてくれた。

さくらんぼを食べない私はさくらんぼの味がするかはわからないが、独特の作られた感のある味がするこの飴が好きなのだ。
何としても買い占めにかかろうと1人で電車に乗って出かけた。まずは以前にその飴を買ったことのある、おかしのまちおか。箱もなく売っていた気配もない。 

次は大きいダイソー。
クリーム色のモコモコの上着の髪をゆるっと巻いた彼氏持ち風の女がいて、棚が見えない。
こっちは真剣なんだ、お願い、どいてくれ。
数十秒やっとどいてくれた、お菓子とお話でもしていたのか。
ここではクリームソーダ味はあったようで買い占め後の箱だけあった。あー、ここもない、出よう。
そしたら、さっきのお菓子と対話していた彼氏持ち女がすっと前に出てきて、同じタイミングで店を出て逆の方向へ消えていった。 


よしっ、次は駅のDAISOだ。ここのDAISOは少し狭いからお菓子のコーナーも端に追いやられていて、これまた見づらい。
しかも、品出ししている店員さんがいて見てない。彼氏持ちの女じゃないから、にこにこで待てるのだ。一通り見たが、やはり置いている気配もなく、店を出ようとした。

その時である、さっき別の方向へ行ったはずのモコモコ上着の彼氏持ち女が目の前に現れたのだ。
もしかしてライバルなのか、同じようにさくらんぼの詩買い占め族なのか、という危機感を感じなりながらDAISOを出た。

結局飴はどこにもなかった、悔しい悔しすぎる。
彼氏持ち女に危機感を抱いたのも無駄だったのか。

私はこの文章でダイソーとDAISOを使い分けているが特に意味はない、気まぐれだ。
ところで、みんな大好きダイソーは大創産業という会社がやっているのを知っているだろうか。

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