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2018年12月30日 16通目

先に、12月25日午前の出来事について書き残しておきたい。

前回のブログの通り、私は土屋さん宛に手紙を送ってから返事を待たず、12月25日の朝、東京拘置所に向かっていた。

年内(平成)最後の面会

同じ日の午後3時半に、私は羽田空港から那覇空港行きの便に乗ることが決まっていた。沖縄移住で、しばらく面会に伺えないため、フライト時刻までの隙間時間で、どうしても年末の挨拶をしておきたかったのだ。

朝9時頃、東京の自宅の退去を済ませ、拘置所に着いたのは10時半過ぎだった。いつものように受付を済ませて、面会の順番を待った。

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面会受付番号55番。

いつもなら大体4~5分で、紙に記載の番号が電光掲示板に映し出され、荷物検査場を通過して10階(死刑囚が居るところ)に上がれるのだが、この日に限っては30分待っても順番が来ない。不思議に思ったが、もう数分待ってみることにした。

東京拘置所の被収容者は2階から10階に住まわされている。面会をするとなると、受付後、上記のような紙を受け取り、自身の持つ番号が電光掲示板に映し出されるまで待合室で待たされる。私の実体験から言うと、おおよそ番号の若い順に、それぞれの階の面会室に通されるの(階によっては先に越されることもある)だが、この日は違った。待っても待っても電光掲示板に番号が映し出されないのだ。

時計の針は既に11時30分を過ぎていた。

確か、午前の面会受付時刻は8時30分から11時30分。もう順番がきていてもおかしくない。私はフライトの時刻が迫ってきていることに焦り出していた。

実は以前にも一度、20分くらい待たされたことがあったが、その時の10階は面会希望者で混み合っていた。一方、この日(12/25)の10階は混雑していなさそうだ。なぜなら10階の電光掲示板には数字が提示されていない。つまり、誰も10階の者と面会をしていないのだ。さらに、私の番号が近づいていたのにも関わらず、何度も飛ばされて後回しにされていた。

私はこれ以上待てないと思い、窓口の職員に「10階混んでますか?」と尋ねた。

職員は何かを確認する素振りを見せてから、

「そうですね、まだもうちょっとかかりますね」

と答えた。

私は「もうちょっとって、どれくらいですか?」と聞き返した。

その職員はその場を離れ、パソコン画面を確認した。そして

「あと数人、(私の前に)待ちの人が居ます」

私はその回答に不思議に思いながらも、少し考えて、

「時間がないので、面会を取り消します。この受付票、破棄してください」という旨を伝えた。

荷物を東京の自宅の最寄り駅まで取りに帰ることも計算すると、もう拘置所を去らねばいけない時間が迫っていたのだ。

いつものように、待ち時間はあまり発生せず面会室に通されると思い込んでいたため、想定外の出来事だった。荷物を拘置所まで持って来なかったことに深く後悔した。足跡を残すため、売店のチョコチップが入ったクッキーを差し入れ、拘置所を後にした。

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実際には1時間ほど、拘置所で待たされたこととなった。

自分自身の想定外の出来事への備えが不十分だったという至らなさもあるが、拘置所の対応に対しても腹立たしさを覚えた。

なぜこんなことが起きるだろうか。面会室が10階に10室も設定されているのは何のためだろうか。

そんな苛立ちと憤りを抱えながら、羽田に向かった。

翌日、私は引っ越しを終え、なんとか生活を始めていた。数日は私用を済ませていたため、未だ段ボールの荷解きも終わっていない。そうして落ち着く間もないまま、土屋さんに宛ててペンを執った。

2018年12月30日 土屋和也さまへ 16通目

土屋和也さま

こんにちは。この手紙が届く頃には、年が明けていますね。

あけまして、おめでとうございます!

年賀状は届きましたか?12月21日に送付した本も届きましたか?本は、私たちの好きな『ぷちもふ。』が店頭に無かったので、いま巷で流行っている『残念すぎるネコ』を買ってみました!時期的には、クリスマスプレゼントといったところでしょうか。いかがでしたか?

こういうお話をしたくて、12月25日に拘置所に伺ったのですが、30分以上待ち時間が発生した上に、まだ私の前に数人の一般面会者がいると窓口の方に言われ、沖縄行きの飛行機の時間も迫っていたため、こちらから面会を辞退せざるをえない状況になってしまいました。年内に行きたいとお伝えしていたにも関わらず、ごめんなさい。お詫びといっては失礼ですが、チョコチップのクッキーを差し入れておきました。美味しく召し上がっていただけたなら、嬉しいです。

さて、土屋さんにひとつお願いがあります。

最高裁の弁護士の先生に、12月10日付で手紙を書きましたが、どうしてか、返事がありません。

手紙の内容は、土屋さんの事件に関しての取材依頼です。2018年内に、先生の事務所に伺いたかったのですが、返事がないまま、私は沖縄に来てしまいました。

そこで、土屋さんから先生に『河内の取材を受けてやってほしい』と依頼していただけませんか?

具体的な日程は2月15日(金)か16日(土)か17日(日)。時間は15日の夜以外であれば、いつでも構わないと。弁護士の先生なので、おそらく平日の昼間が都合良いのではと推測しております。15日の朝便で東京に来ています。時間を作って拘置所にもお邪魔したいと思っています。

お手数お掛けして申し訳ありませんが、この手紙を受け取られましたら、お急ぎ、先生に手紙を書いてほしいです。先生のお時間を早めに確保したいためです。身勝手な依頼をお許しください。

①私が土屋さんの事件について情報収集をしていること

②私の新住所(沖縄の住所。封筒裏に記載)

以上の2点が伝われば十分です。私のメールアドレスは、12月10日付の先生宛の手紙でお知らせ済です。

土屋さんのお力をお貸しいただけないでしょうか。よろしくお願い致します。

北の大地を中心に、大寒波のニュースが絶えませんね。東京の冬も手ごわいです。どうかお身体ご自愛ください。

2018/12/30 河内千鶴

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