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夏越の大祓の話。

写真: (筆者撮影)

 令和5(2023)年6月17日 加筆版

ごきげんよう。
暦は6月・づきとなりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

水無月は「水の月」と言われる月で、梅雨の時期でもございます。

全国各地の神社様では「ごしおおはらえ」のご案内がなされておりまして、
私の自宅にもご案内が届きました。

おおはらえのお式は、
通常ですと、当日ほぼ制限なく神社様による参列することができるのですが、コロナちゅうは、
神職さんのみ(参列者なし)で執り行われた所や、
ご参列の人数を分散するため、お式の回数を増やして執り行われるなど、
各神社様でそれぞれのご対応がなされております。

本年(2022)の夏越大祓式は、参列者なしで行われていた神社様でも、
ご参列のご案内がなされておるところが多いようにお見受けいたしますが、
ご参列いただけないところもございますので、ご参列を予定されている方は、ご確認されることをおすすめいたします。

【令和5(2023)年 追記】
神社様の公式HP・SNSを確認いたしましたところ
本年(2023)年は通常通りのご案内をされているところが多かったです。
大祓式の回数を増やして行われる神社様もございますので、
ご参拝予定の神社様の公式HP・SNSをご確認くださいませ。


また、大祓の時期には「大祓のおふだ」
「茅の輪のお守り」のおさずけがなされ、境内には「かたしろまたはひとがた」がご用意されます。

お写真は拾い物
神社公式Twitter経由のものと存じます。




期間限定の行事食

また、6月に行われますおおはらえの行事に関連して、
京都発祥の和菓子づき」や

和菓子・水無月
お写真は「かのう そうじゅあん」さんのお品
撮影:筆者
水無月はお取扱いしている和菓子店にて
事前予約制の所が多いです。

近年では、行事食の「ごしごはんなど
季節限定の食べ物もございます。

こちらの「夏越ごはん」は
公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」により、
東京を中心として新たに提唱されて、都内約110社の神社様もご協力されておる行事食でございまして、平成27(2015)年には、6月30日の新しい記念日として「一般社団法人・日本記念日協会」により「夏越ごはんの日」として認定・登録されております。


大祓行事について

大祓の行事に関するお話につきましては、
らくweb日本文化の入り口マガジン』にて
令和3(2021)年4月より始まりました
彬子女王殿下による御連載
彬子女王殿下と知る日本の年中行事によります

夏越の祓と水無月の関係とは?

全国各神社様の公式ホームページ・SNSなどにて、
ご説明がなされておりますので、そちらをご覧頂きたく存じます。

この機会に是非ともお住まいの地域の神社様の公式サイトをご覧くださいませ。


学術的な説明に関しては、
『ジャパンナレッジ』webサイトの大祓が参考になると思うのでご紹介いたします。

上掲『ジャパンナレッジ』では
鎌田 純一 皇學館大学名誉教授、茂木 貞純 國學院大學元教授、
沼部 春友 國學院大學元教授のお三方よる解説文が掲載されております。

こちらはサンプルページとなっております。


また、筆者の手元にある『刷縮版 神道事典』から
「大祓」についての解説を以下に抜粋致します。

おおはらえ
古代・中世に行われた神事儀礼の1つ。
人が知らず知らずのうちに犯した罪やけがれを除去し
それによって災厄を避けることを目的とした。

じんりょう』には、
毎年六月十二月晦日みそかびに朝廷で天皇以下全官人、
官人の家族(家族の参加は任意) までを対象として行われる二季恒例大祓と、
諸国で臨時に行われる諸国大祓とが登載されている。

その他、ほんけがれがあったときや
だいじょうさいさいおうぼくじょうぐんこうなどの重要な神事の際などに、朝廷で臨時に大祓が行われた。また、神事違反者にしょくざいの物品を差し出させる科刑としての大祓もある。
恒例大祓の創始は七世紀の末とする説が有力である。

その後、律令体制の変質に伴い変化しながらもそんぞくしたが、十五世紀に中絶した。近世に入りさいこうされたが中世以前とは性格形式ともに異なる。明治になってある程度きゅうそくしたものが再興された。なお、二季恒例大祓のうち六月のはらえづきのはらえと混同されることが多いが、朝廷で行われる両者は別の儀である。

ごしはらえ

ごし六月みなつきはらえあらにごの祓ともいい、きゅうれき六月晦日みそかに行われるおおはらえのこと。古代律令体制以来、六月・十二月の晦日みそかに宮中で大祓が行われていた。

民間の神社においても、この年二度の大祓は盛んに行われ、宮中の大祓が応仁の乱をけいに一時途絶えたのとは対照的に、民間ではしだいに発達していき、京都の賀茂わけいかずち神社・賀茂おや神社や大阪の住吉神社のものが有名であった。

しかし、いつの頃からか十二月のはらえがすたれ、民間ではもっぱら六月の祓だけが盛んになり、これをとくに夏越の祓と呼ぶようになった。民間の夏越行事ではちのくぐりが一般的で、神社の鳥居の下や拝殿の前などにかやを紙で包み束ねて大きな輪を作ったものを設けて、宮司に続き一般参拝者をくぐらせけがれや災いをはら

國學院大學日本文化研究所編『刷縮版 神道事典』
(弘文堂、平成23年9月、9刷)
225・300ページより抜粋

読み方といたしましては、夏越は「なごし」の読み方が一般的ですが、
他にも複数の読み方がございます。

大祓の行事につきましても、
「大祓式」「大祓祭」「夏越祭」など、
各神社様によって呼称がことなることもございます。

また、神事が行われる期間につきましては、
基本的には6月30日に執り行われますが、神社様によっては、6月から7月までの間、それぞれの日時で執り行われる事もありまして、「旧暦の6月30日」にあわせて行われるところもあり、現在の暦・旧暦とあわせた期間中行われております。

今年(2022年)の旧暦6月30日にあたる日は、7月28日になります。
【追記】
令和5(2023)年の旧暦6月みそか日にあたる日は、
8月15日になります。

神事のお式の流れ(次第)につきましても、
各神社様によって様々なお作法もございます。

各地域や神社様の故実、現在の諸事情などの理由などから、
一葉でないところもございますので、読者の方の御縁ある神社様でいわれておる呼称やお作法にならっていただければと思います。

各神社様の公式サイトのご案内などを拝見いたしますと、
さまざまなお作法やご説明がございますので、とてもお勉強になります。

大祓詞

また、お式の当日に神職さんがお唱えされる
おおはらえことば」は、神社様によっては参列者もご一緒にお唱えるするところもございますが、
コロナ禍中は、神職さんのみでお唱えするご対応がなされて、ご自宅でお唱えしていただく旨のご案内をされておる神社様もございます。

こちらの「大祓詞」は、当日私たちがお唱えすることも大切なので、横浜市保土ヶ谷区に鎮座します「神明社」様の公式ホームページの「大祓」項目にて、すぐにプリントアウトできる「ルビ付き・送り仮名ひらがな仕様でご用意されたPDFファイル」のご案内があげられておりましたので、こちらをご紹介させていただきます。

ルビ付き大祓詞のPDFファイル

大祓詞
(視聴時間:約6分)

配信元:『北多摩神道青年会むらさき会』
YouTubeチャンネルより

茅の輪の話

夏越の大祓の時期には、神社の境内に「」が設置される所が多く
(なされない所も一部ございます)
設置される日は、6月の始めから下旬頃までと各神社様によってことなっております。


茅の輪がどのように作られていくのかにつきましては、
上ツイートの北海道札幌市に鎮座します「西野神社」様の
公式ブログ「西野神社 社務日誌

東京都葛飾区に鎮座します「葛西神社」様の公式サイトの
年中行事」にて写真付きでご説明されておりますので、こちらをご紹介いたします。

茅の輪」を拝殿向拝に設置しました
(西野神社様公式ブログより)

夏越の大祓
(葛西神社様公式HPより)

設置場所につきましては、本殿前や鳥居などに設置されまして、
形の様式なども様々ございます。

茅の輪の設置時期につきましては、6月始めから下旬あたりまでと
各神社様によって奉製日に異なりがございます。

私が以前に長期助勤(アルバイト)していた神社様では、
大祓式が行われる前日にご社殿前の参道に設置され、
7月上旬あたりまでおくぐり出来る形式でした。

その理由は、茅の輪をほうせいされている氏子さん方が、
青々活き活きとした茅の輪で大祓式を執り行ってほしいという思いから、
前日に奉製されるようになったとお伺いしております。
また、大祓式の日程につきましても、管理している別所の神社(けんしゃ) にて例大祭が行われる関係から、大祭前の日曜日に執り行われております。

また、他所の神社様(こちらも以前の助勤先) では、
6月中旬頃に神職方による奉製にて茅の輪が設置されまして、
6月30日に大祓式が執り行われたのち、茅の輪はお下げされておりました。

私が住んでいる地域では、
氏神神社様(旧村社)では、夏越大祓の行事は執り行われず、
地域総社のちんじゅ神社様では行われておりますので、
現在は鎮守神社様にてお世話なっております。

神社様で長期助勤(アルバイト)していた頃は、お手伝いする時期が重なっていた関係で、助勤先の神社様でお受けしておりました。


茅の輪のくぐり方

例年、茅の輪くぐりをなされる方は、月参りやかたしろをお納めになられるなどでご参拝のおりになされる場合や、
茅の輪をおくぐりになられるためにご参拝される方、
おおはらえのお式のときにおくぐりになられる方が多い事と存じます。

年末に行われます、年越の大祓の時にも
茅の輪が設置される所もございます。

くぐり方については、境内に説明看板が設置されているところは多いのですが、設置されていない所もあるようなので、不慣れな方は事前にくぐり方をご確認された方がよろしいかと存じます。

また、くぐり方につきましても、一部の神社様でことなる御作法もございますので、ご注意ください。


上のツイート動画を拝見いたしますと、
「くぐる前に『となえ言葉』をお唱えしてからくぐる」とのご案内がございます。

こちらの唱え言葉は多くの神社様でもご案内されておりまして、
私もこちらをお唱えてしてからおくぐりしておりますが、神社様によっては他にもお唱えする言葉もあったりしてことなる場合もございますので、ご参拝される神社様のご案内をご確認ください。

【唱え言葉】
づきごしはらえする人は とせいのち ぶというなり」

唱え言葉は、個人的に参拝された折には、最初におくぐりする時に
お唱え致します。この時「声に出す・心の中で」のどちらでもよいと思います。大祓式にご参列の折には、神職さんがお唱えしてくださいますので、唱えずそのままおくぐり頂いても問題ありません。


ご参拝された神社様の境内に看板等のご案内がない場合は、
以下のご案内通りになされれば問題ないと思います。

左・右・左と∞の字に回ってから
まっすぐ通り抜けます

最近になって気づいた事なのですが、おくぐりするときの足の運び方について説明がなされていないところもございまして、私は教わったことがなく、助勤先の神社様でもご案内されていなかったので意識したことがなかったのですが、友人に指摘されて調べてみますと、

① 「左に回る」ときは「左足」から
② 「右に回る」ときには「右足」から
③ 最後に通り抜けるときには「左足」から

が正式のようなので、私もこちらにならうように致しました。


また、調べている時に出会った「荒川三歩」さんのgooブログ記事

東京の夏越の祓 茅の輪考」(平成28(2016)年7月3日付記事)

では、都内13社の神社様の茅の輪とくぐり方のご案内についての批評がなされておりました。とても興味深い記事でしたので、ご紹介いたします。

お話は以上となります。

さて、今年はどちらの和菓子店の水無月をいただきましょうか。

ご拝読ありがとうございました。拝