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【小説】お金のかからない趣味

かつて毎日のようにパソコンに向かい小説を書いていたけど、結婚する少し前からまったく書けなくなってしまった。

書いても書いても思うようにならず、よくわからなくなってしまったのだ。

編集さんにもらったアドバイスの意味もわからず、客観的に読むこともできず、直せば直すほどめちゃくちゃになっていった。
限界だと思った。

受賞できなくても、編集さんに辿り着けたらいつか作家デビューできると思っていた。
雲を掴むような夢の話じゃなくなった、そう思っていたのに。

私はあっさりと、書くのをやめた。
書くことがつらくなってしまったから。

それから何年経っただろう。
もう10年近くになるだろうか。
少し時間ができた今、ちょっと書いてみようかなと思えるようになってきた。

ちゃんと形になったらどこかに応募してみるのもいいかもしれない。
でもその前に、自分の楽しみのために書いてみたいなと思っている。
その頃のデータで唯一残っている長編を手直ししたいし、楽しい妄想を言葉にしてみたい。

なんの役にも立たないけど。
1円のお金も生み出さないけど。
自分の楽しみだけの小説。

私は言葉で聞いた指示をそのまま実行するのが苦手で、必ずメモしたり、聞き直したりしないと消化ができない。
でも編集さんとのやりとりは主に電話で、緊張もしていて、メモはしていたけどまったく頭に入ってこなかった。
自分なりに直してみても全然ダメで、最初のほうがよかったというような状況になったり、指摘されればされるほど苦しくなった。

自分を客観視するってどんなことであっても大切だけど、創作においては特に重要だなとしみじみ思ったし、変なこだわりもあったから、万が一でデビューできたとしてもうまくいかなかったかなと思う。

そんなほろ苦い思い出の創作活動を経て、今は時間の余裕もあるし、少し書いてみようかなと思ったのだった。

お金のかからない趣味。

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「面倒くさい」が口癖のアラフォー主婦。節約・時短・効率化で小さな暮らしを目指す1児の母。人生最後のダイエット中。家事・育児・暮らしのことな…

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