韓国の俗信② 〈トッケビ〉とは一体なんなのか?

韓国ドラマ『トッケビ』を自分はまだ見たことがないが、この〈トッケビ〉というのがいったい何?というのは、昔から自分の関心事だった(日本語では→〈おばけ〉というのがひと訳らしい)。

で、トッケビに近づくには例のごとく俗信、それも昔の韓国の俗信に触れるのが近道、と思っていろいろ本を見ると・・・

・トッケビに好かれると金満、嫌われると金欠になる。
・雨天の夜道の青い光は即ちトッケビ也。
・朝起きて家で物がばらばらに散らかってるのはトッケビの仕業。
・トッケビは足が一本。
・トッケビは出たり消えたりする(出たり消えたり、は韓国語で〈トッカトッカ〉というらしい)。
・トッケビは人間に化ける。
・トッケビは女性の血を好む。
・トッケビは酒が嫌いである。

なんだか雨天の夜道の~俗信は鬼神の間違いの気もするが(トッケビと鬼神は違うらしい)、足一本→漢字語で〈独脚(たしか韓国の読みが〈トッカッ〉)、また出たり消えたりトッカトッカ、これら〈トッケビ〉という名の語源という説もあるらしい。たしかにトッケビは方言で〈トッカビ〉ともいうらしいので。

人間に化けるとか血だとか、酒の話は次のような昔話からうかがえるものだ。これは孫晋泰さんという昔の韓国の学者さんが採集された話。

ソウルに貧しい老人とその娘が暮らしていたが、ある日ハンサムな男がやって来た。彼はいろいろと生活を助けてくれて、物も持ってきてくれる。
老人は彼を当然の如く気に入り、
〈娘の婿に・・・〉
と切り出すと男は快諾した。

ところで男は、
〈お父さん、婚礼式は夜にやりましょう〉
と言う。また結婚後娘が日に日にやせ細っていくので変だと思った父は、近所の盲目の占い師に相談してみた。

占い師は、
〈そいつはトッケビの化けたもんですわ。今晩そやつに酒をすすめて、断れば酒瓶でそいつをひとつ小突いてみなさいな〉
父はその通りにやってみると、婿はあら不思議、姿を消した。次の日に父がまた占い師のところに行くと、
〈それはトッケビが死んだわけですわ。今晩あそこのケヤキの下に隠れていなさいな。ぜんぶわかるから〉
父はさてその通りにすると、あちこちからトッケビが出てくるわ出てくる。
〈あいつ最近見んなあ〉
〈なんだか、人間に失礼やって死んだらしいよ〉
父はすべてを了解した。

娘はその後、かわいそうにも亡くなった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?