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グミとガム -後編-

前編では、グミとガムの逆転劇が2021年夏に起こったこと、ガムとは違う市場のかたちについて説明しました。グミとガムは似ているようで、その売れ方は全く違うのです。
グミはZ世代を中心に拡がってきましたが、他の顧客層にもついても説明します。



ビジネスパーソンにも浸透するグミ

通勤通学の利用が多い駅ナカドラッグストアのグミコーナーを見てみました。
グミの多数のラインナップを取り揃えているのですが、ドン・キホーテと違って、奇抜な色や砂糖がふんだんに塗された海外色が強いグミは並んでいないことが分かります。
ドラックストアでは、王道のグミに加えて、サプリメントのように美味しく栄養補給できるグミという美容健康文脈を意識したグミが並ぶことが特徴と考えられます。
例えば、UHA味覚糖の「グミサプリ」は、サプリメントを手軽にとりたい人、初心者にむけて豊富なラインナップを広げ、健康にも気を使いたいが時間のないビジネスパーソンをサポートします。


サプリなのにグミな商品群。キッズ向けもあります。(画像はグミサプリの商品サイトより)

さらに、ちょっと派生的になるのですが、Amazonのドラックストアのランキングでは、日本初の糖質オフCBD (カンナビジオール)グミ「HARENOMI」がリラックスサプリとして好調とのこと。
​CBDは健康・美容業界で注目される、麻から抽出される天然成分であり、リラックスタイムをサポートする機能があり、ビジネスパーソンに高い需要を得ています。

商品説明の一節に睡眠サプリとあり、お菓子=食と機能面に 加え、素材面でもこだわりがアピールされている。 (画像はHARENOMIサイトより)

このようにグミは、ターゲットごとに違ったアプローチ方法で、視覚的に楽しんだり、美容健康文脈で習慣化させたりと、裾野を広げて人々の生活を豊かにしていることが分かります。

グミ市場とガム市場のこれから

2021年に「マロッシュ」が発売されましたが、口に入れたときの衝撃を覚えたことは記憶に新しいです。グミかと思いきや噛めば噛むほどマシュマロになっていく変化が堪らなく、マロッシュは筆者に新しい発見と楽しみを与えてくれました。

マロッシュは、Web CMで「変化を味わおう!」というメッセージとともに、俳優の柄本佑さんが“令和ギャル風”の姿に大変身したり、 TikTok ではz世代に人気な3人グミのクリエイターくれいじーまぐねっととコラボし発信し、若者むけに最先端を届けています。

グミ市場は、流行の移り変わりが速い現代に合わせて、アップデートし続けられるチャレンジ精神の高いタフな市場だと私は考えています。

じゃあ、ガムはこれからどうなっていくのか。私がもし開発者だったら、グミの逆を突こうと思います。グミが真新しさならば、ガムは原点回帰。ガムのパッケージってなんだか、80年代の海外映画とかで良いスパイスとなる素敵な絵柄多くないですか?

長い歴史で親しまれてきたからこそ、ライフスタイルの中でファッションとしてガムを持ち歩きたい人も多いはず。

実際に、ロッテの懐かし板ガムが復刻発売がしたときに、青春フレーバーとしてとても話題を呼んだとか。持っておしゃれなノスタルジックなアイテムとして、コレクター心をくすぐるようなデザインの板ガムを生み出していけば、グミの対抗馬としてコアなファンを獲得していけるのではと考えています。

2つのカテゴリーの意外な違い

もうひとつ重要なポイントがあります。
ガムには、日本チューインガム協会があります。
グミには、日本グミ協会があります。

それぞれガムとグミの振興を目指す協会ですが、ガム協会が業界企業による市場深耕を目的として設立された経緯がある一方、グミはグミが好きな個人が立ち上げて、そこに企業が協賛する構造になっています。

組織と個人の関わり方がとても対照的です。
トレンドを捉えて「創造力を一粒に込められる」そんな魅力的なグミ。
長い歴史のなか愛されてきた深い味わいのあるガム。
皆さんも古今東西、ぱっと口に入れて噛む楽しみを見つけてみてください。

日本グミ協会会員グミまること、かなまる(ガム協会も設立希望です!)


編集猫 KAURU memo

この数年(コロナ禍とほぼ一致します)で、ガム市場の低迷は回復を見込めない深刻さだったようで、明治はガム市場から撤退することが発表されました。(検索すると2023年4月で販売終了と表示)明治はキシリトールという虫歯予防効果を謳った「キシリッシュ」ブランドを誇っていましたが、今後はグミ市場に注力するようです。
ガム市場には圧倒的シェアを持つロッテが君臨しています。強すぎるブランドがグミ市場にあるような多様性を低下させているのかもしれません。


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