Another Galaxy の解説（前編）
前回の「Another Galaxy ができるまで」という記事では、『様々な記憶や想いに届く祈りのような作品をつくりたい』という想いを書きました。ではそこをスタートにして、実際どのようにアルバムができていったのかについて、ふれていきたいと思います。
アルバムの様式、構成について
めざすアルバムの手がかりを、音楽作品よりもアニメーションや演劇、小説、漫画などをに求めました。
そして色々な作品に触れていく中で、ぼんやりと"サウンドトラック"の様式をとったコンセプトアルバムを作ろうと思い立ちました。
（音をこえて、物語の情景や感情を呼び起こす装置として"サウンドトラック"がいいんじゃないか、と。）
サントラで好きなところのひとつは、映像がついてはじめて成立するといういびつさです。1曲単位では不完全なまま完結させず、アルバム単位で同じテーマをリフレインさせて映像の世界観を補完していく、というありさまがなんとも素敵ですね。
『君の名は。』でかっこいいなと思ったのが、ガラッと雰囲気の変わる挿入歌がここぞという時に挟み込まれていたところです。それに憧れてアルバムの曲順に取り入れてみました。
"Another Galaxy" Tracklist
01. Surf’s Up → 真主題歌
02. 朝に虹
03. 駆ける
04. 明らめている → 挿入歌
05. Coral
06. Bacalhau → 挿入歌
07. 読書をしている時に
08. B.O.I.S.
09. アナビス A
10. アナビス B
11. 夕暮れに揺れて→ 挿入歌
12. 明星
13. Picture 2
14. GESTO
15. 朝に還る
16. Another Galaxy → 主題歌
17. Picture
（01. Surf’s Upですが、この曲はTONOFONからリリースするにあたって新しく録音した曲です。本来であれば入れるつもりは全くなかったのですが、「キャッチーで良い曲だから、リード曲的にアルバムに入れようよ」という提案があり、アルバムの頭にえいっと入れてみました。すると既存曲との曲の雰囲気の違いが功を奏し、主題歌のようにサウンドトラックを引っ張る存在になってくれました。アルバム全体でループさせて17曲目からSurf’s Upを聞くのがオススメです。うまい具合にアルバムの入り口と出口がくっついて円環ができあがりました。）
宇宙の意味のなさを提示して自由になる
各曲たちはそれぞれ異なるシーンを描いています。それは1人の主人公の話なのか、それとも別の人物たちの話なのかどちらでもとることができます。
なので、時系列もバラバラに受け取れます。過去なのか、未来なのか、現在なのか。ときの流れやいのちの流れが伸び縮みしている様子は、ひとの感じる時間の速度変化や宇宙の伸縮ともとれます。3曲目の『駆ける』では死に迫る瞬間に新生の体験をしたりと、ひとの生涯を凝縮させてみました。
そんないのちが ひとの数だけ存在していて、その数年〜数十年という長さは宇宙の138億年の歴史（138億年もほんの一部な気がする）から見れば光の瞬きのようにほんのわずかで、そんな我々を含めた宇宙に意味はあるのか…と問う。それでも、暗い宇宙でいのちは光っていて、「その木漏れ日のような美しい光に、意味を求めないで、自由になろう」と願いをこめて、たくさんの光（音）をちりばめました。
（このタカラマハヤ@mahayapくんのアートワークには本当に震えました…）
アルバムタイトルは Paul Simon の曲が由来です。とても好きな曲です。とても美しいメロディとリリック。この曲は一見、僕のアルバムとは接点がないように思いますが（実際ないです）、その距離感のようなものが "もうひとつの銀河" のようで味わい深いなと僕は思います。
（後編につづく）
アルバム発売記念イベント
「kauai hirótomo "Another Galaxy" Release Concert」
日程：2019年11月27日(水)
会場：渋谷7th FLOOR
開場18:30/開演19:00
出演：
kauai hirótomo with Greenside Alternative Orchestra
あだち麗三郎と美味しい水
東郷清丸
チケット：前売¥3,500/当日¥3,800 (各ドリンク代別) 発売中！
◆メール予約：＜nanakaiyoyaku+11279@gmail.com＞まで、お名前、ご希望枚数を明記の上お送り下さい。
◆7th FLOOR店頭販売/電話予約（03-3462-4466／16:00〜20:00） ※入場順：1.店頭 2.電話予約/メール予約
主催：kauai hirótomo / TONOFON
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