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第46回 既存資源の活用(古材、石など)

本、賃貸住宅プロジェクトにおいて、土地以外に活用する既存資源がいくつかある。ひとつは、西側の畑に一時的に植え替えたホソバの木だ。以前は敷地を囲って垣根を形成し、防風樹の役目を果たしていた。工事の邪魔になるため、ほとんど取り除かなければならなかったが、再利用したいとの思いで、工事期間中は畑に避難させてある。しかし、ほとんどは枯れてしまった。残念だが仕方がない。一本でも二本でも生き残って再活用できればいい。

それからたくさんの石がある。敷地角に少し段差(以下、解体時写真参照)をつけるために、ちょっとした石垣のようにしていた時の残骸だ。

段差

処分するのに費用がかかるため、取りあえず残してある。D棟と母屋の間に17個、B棟のアプローチあたりに26個(以下リスト参照)もある。全てサイズを計測してあり、大きいもので横165X縦66X高36cmもあり、小さいもので縦横高さいずれも30cmくらいか。

北石リスト

これら40個以上の石の使い道を考えなければならない。まずは、B棟アプローチに置かれた石の一部を使って、そこに「石の散歩道」をつくる案が提示された。(わかりづらいが、上の石リストの青で描かれた石が、下の図の濃い灰色の石として利用されている。薄い灰色楕円はモルタル敷き)

石の道

最初はこれも風情があっていいかとも思ったが、B棟へ大きな荷物を搬入するのが困難になるのではとの不安がもたげ、別の案を検討してもらうことした。素直に北側の境界線に石を並べてしまってもいいかもしれないが、使用する石の数は減ってしまう。継続審議だ。

次に、去年まで敷地内に建っていた古屋を解体した際に出た、古材と古瓦が残っている。解体時、それらを残しておこうと僕が考えたわけではない。解体に立ち会っていた栗原さんと鈴木さんが、まだ十分使用可能であり、さらには長い時間を経て味わい深くなった梁などの古材と瓦を、産業廃棄物として処分してしまうのが忍びなかったようだ。

解体工事の際、保存を念頭にしたため、割らないように瓦を屋根から一枚一枚、人手で丁寧に降ろしたそうだ。古材も、建物解体で破壊しないように注意深く扱ったことだろう。それゆえ、設計が古材活用ありきになったのかもしれない。

解体終了後、僕は敷地内に積まれた古材と瓦の山を見て何だろう?とは思ったものの、共感できた。

古材も正確に計測し、リストアップされている。

古材リスト

当初は、井戸を囲む東屋を造りそこに使用することを考えていた。その後、通路兼水路にかかる橋の案に変更されたもののそれも却下、結局ベンチとして再利用することになった。

古材配置図

上の図面に茶色で描かれた「壁ベンチ」と「置きベンチ」がある。壁ベンチとは古い角材(古材リストの赤い斜線の木)を2枚から3枚に挽き割った板を三枚程度並べてベンチの床面とし、それに鉄でつくる三角型の足を付け、壁に固定設置するものだ。

古材ベンチ

壁ベンチは主に、二棟が接する狭い路地に5脚設置する。路地は、必ずしも動線にはないので、デッドスペースになりやすい。そうならないように、そこに人を呼び込む仕掛けとしたいのだ。

置きベンチとは、真っ直ぐな角材ではなく棟木や梁などで使用されていた湾曲した古材(青い斜線)に、鉄丸パイプで足を付けた簡易ベンチ。敷地中央の庭に4脚、そして7.6mと最も長い棟木(下写真右)を活用したベンチを井戸の近くに置く計画を立てた。しかし、検討の末、僕が満足できるベンチにはならなそうだったので、最終的には製作は諦めた。

置き型ベンチ用古材

なお、壁ベンチは、出来合いの合板を使えば、20.6万円で5脚製作できる見積もりだが、それが古材を使うと67万円に跳ね上がる。しかし、この土地の記憶を何とか残したいと思った。それはお金には代えられない。

ところで、古瓦の再利用については、まだアイデアは出されていない。

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