模型池イメージ

第41回 敷地内通路の再検討

建物工事がだいぶ進んできたので、いよいよ外構を決める段階になってきました。外構とは、敷地内の建物以外の部分を言います。塀や植栽、庭、門扉、車庫などで、エクステリアともいいです。

10月8日の打合せ時、先ずは敷地内通路についての新提案が設計事務所からありました。もちろん既に設計に織り込まれていますが、その修正案です。

もともとの計画では、以下の図面のように、敷地内通路は4棟の境界部分にあり、モルタルで固めた遊歩道のようなイメージでした。必ずも敷地中央部に通路は必要ありませんが、あれば各棟からB棟右側の井戸にアプローチしやすくなります。井戸がB棟の占有物ではなく、4棟の共有物であることもアピールできます。また、通路によって4棟の大まかな境界を示すことができます。

画像2

それに対して、新案は以下です。

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ちょっとわかりにくいですが、通路が緩やかな曲線になっています。さらにこの図面ではわかりませんが、通路部分は中央部が最も深くなるように掘り込んでいます。掘り込みにも二案あり、案1は端部で15cm(掘り込む場合、立上がり部分にワイヤーメッシュを適切に入れるには最低15cmは必要とのこと)、最深部となる中心部で26cmの深さとし、案2は道路と接する二ヶ所の端部(西側と南側)のみ0cm、その他の部分は案1と同じ深さで最深部となる中心部は同じく26cm。(この深さは、1/200勾配が必要ということから割り出したそうです)その最深部に排水口を設け、四方の通路にたまった雨水を中央部に寄せてそこから排水溝へ逃がす。ただし、この新案では通路を掘り込んで固める必要があるので、工期が3週間程度延びるようです。

こうした案にした理由はいくつかあり、私が理解したのは以下です。

①設計の立場からは、できるだけ雨どいを設けたくないようです。シャープな屋根の先端部と角から垂直に地面へと雨どいが走るのは、確かに無粋にも思えます。とはいえ、雨どいがなければ全建物が「片流れ屋根」のため、降った雨はすべて屋根の傾きの下側へ流れ落ちます。本来は、それを雨どいが受けとめるわけですが、新案は雨どいをなくし、その雨水が流れ落ちる側の地面を、通路兼雨水の抜け道にしてしまおうというアイデア。雨水の抜け道の機能を重視するのであれば、直角な交差点が複数できる直線よりも緩やかな曲線の方がよいかも。

10月8日の打合せに、栗原さんらは大きなモデルを持ちこみました。この写真で、だいたい屋根の傾斜がわかりますので、雨水が流れ落ちる位置がわかります。

屋根写真

ひとつは、(左側の)A棟とC棟の屋根が接する部分の下。二つ目は、(手前側の)C棟とD棟の屋根が接する部分の下。この二か所の地面には、屋根2枚分の雨水が落ちてきます。二枚の屋根の隙間はわずか10cm程度。それから、(右奥)B棟左側の屋根の下側にはその屋根1枚分の雨水が落ちる。これらの雨水を通路兼雨水抜け道で受けて、中央部の排水口から逃すのです。

②各棟の玄関は、敷地内通路に直接接しているわけではないため、日常の動線では内部通路の必要性は低い。そうであれば、通路としての機能にそれほどこだわる必要もない。歩きやすさを多少犠牲にしても、通路に雨水の抜ける大きなU字溝的役割を担わせてもいいのではないか。そもそも大雨の時に、敷地内中央部にある通路を歩くことは考えにくい。

③B棟右側の井戸には、流れ出た水を受ける排水溝を設ける必要があります。それほど多くの水が流れ出ることは考えにくいですが、あったほうがいい。井戸への動線ともなる、この通路兼雨水の抜け道を井戸のすぐ下にまで通せば、井戸を使う際の排水をそこから中央の排水口まで流すことが可能です。つまり、使った井戸水の抜け道にもなるわけです。(タイトル写真で右上に井戸が見える)

④雨どいを設置すると、見栄え以外にもデメリットがあります。追加で費用が30万円程度がかかってしまう(当初見積りに入っていないので)のと、雨どいは葉っぱで詰まりやすいため、定期的なメンテナンスも必要になります。したがって、雨どいをなくしても雨水対策をクリアできる方法として新案が発想されたのです。

なお、まだA棟とB棟とD棟、それぞれ屋根一枚づつは、通路兼雨水抜け道へ接していないため、雨が落ちる部分の下地面には砂利等の雨水対策は必要になります。A棟とB棟では、幅36cm・深さ30cmの溝を堀り、そこに雨水排水用の配管と砂利を敷き詰める仕様で排水する計画。D棟については、雨が落ちる位置が駐車場にかかってしまうため、ここだけ樋をつける計画だそうです。


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