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第33回 電線は敷地上空ではなく地下に埋め込むと決めたのだが(1)

当初より、敷地内には電柱は建てず電線やケーブルTVの線は地中を通すことを決めていた。空中の電線ほど景観を破壊するものはないからだ。

計画はこうだ。西側道路の脇の空中電線から分岐した電線を、C棟の西側道路に接するあたりに立ててた電気引込用ポール(下図面の赤丸)に接続する。そのポールの地下から敷地内の4棟に地下導管を通す。つまり、電気引込用ポールを起点に分岐し、4系列の地下導管が敷地内を這う。

基礎工事(下のD棟写真参照)も順調に進む6月下旬に、地中に電線等を通す配管の工事も行われた。その日の夕方、父から電話があった。その日、地下配管工事は無事終了したそうだが、父が言うには母屋に現在接続しているケーブル配線はそのまま空中に張られているというのだ。現在、母屋はケーブルTVを利用している。そのケーブルは、西側道路の電柱から取っているらしい。そのケーブル(線)は、工事中の敷地上空を横切っている。なぜ、そのケーブルも今日埋め込んだ導管に通さなかったのかと、怒っているのだ。

僕は初耳だった。母屋のケーブルが、どこを通っているかなんて考えてもみなかった。しかし、確かに父が言うように、このままであれば、新しい賃貸住宅敷地内に地下に導管を通し、4軒分の電線やTV用ケーブルを地下に埋めて隠しても、その上空をあろうことか、母屋のTV用ケーブルが堂々と横切ることになる。なんて馬鹿げたことだ!(下の写真で、二階屋の屋根の右側から右上に走る電線がそれだと思われる)


既に工事は終わり、導管は埋設されてしまった。なぜ、父は今頃騒いでいるのか。父に問うと、以前工事現場の作業員に、そのことを話したという。しかし、施工会社の現場監督にも、設計士にも伝わっていない。誰か責任者が気付けば、必ず対応したはずだ。現場監督は、担当する現場の工事に責任を負い、また設計士は建築する建物(排水管や配管等も含む)が、設計通り建築されるかの監理責任を負う。しかし、母屋のケーブル配線は、厳密にはどちらの責任範囲にも入らない。死角だったのだ・・・。

しかし、僕の心の中では、一年以上にわたって母屋に集い、計画をともに練ってきた設計士には、気づいて欲しかったとの思いが残った。現在、歴然と計画敷地上空を、母屋のケーブルが横切っているのだから。さらには、敷地上空に電線を渡すような見苦しい真似はしたくないとの、僕の想いに共感してくれていたのだから。でも、それは甘いのかもしれない。

設計事務所の岩月さんと現場監督の林さんにお願いして、埋めたばかりの導管を掘り返し、母屋のケーブルをそこに通す工事をあらためてしてもらうことになった。こんなに少ない関係者の間であって、ポテンヒットは起きるのだ。施主がしっかりしなければならないと、再認識させられた。

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