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第30回 "セットバック地を寄付するか"問題、再び

6月10日、建築確認と建築許可の書類を受け取り、かつ説明を受けるために、実家に戻った。それ以外に二つ目的があった。

5/31に基礎工事を着工したときに、突然父から設計事務所の岩月さんに以下の要望が出された。「南西側の道路(二項道路)のセットバック部分は、町に寄付することにしたい。だから、今からセットバック部分に砂利を敷いて欲しい。そうすれば、母屋への車の出入りが楽になる」

岩月さんは寝耳に水だった。そこで東京にいる僕にその場で電話をかけてきたのだ。僕も、既に寄付せず自主管理することで決定していたので、寝耳に水状態。電話で父と話したが、耳の悪い父とはうまくコミュニケーションが取れない。岩月さんの、今すぐ決める必要はないので後日話し合うことでどうかとの提案で、その場を収めた。

この件は、1月18日の打ち合わせ(第23回参照)で決着していた。これまでの経緯を整理しておこう。敷地には2か所、セットバックする必要がある部分が存在する。下図面の青色の部分だ。北西側はわずかだが、南西側のセットバックは広く、設計への影響も大きい。

まず、影響の小さい北西側。1月18日の打ち合わせで、寄付するメリットの方が大きいので寄付することにした。面積に関わらず、寄付するために分筆する場合は、その費用補助として10万円が町から支給される。デメリットはほとんどない。しかし、その後(2/22)分筆の見積もりを取ったところ15.5万円かかることがわかった。5.5万円の持ち出しをしてまで寄付するメリットはないので、方針を変え寄付せず自主管理することにした。

そして問題の南西側は、慎重に検討し自主管理することにした。寄付するとセットバック部分は道路になるため、町によって舗装されるまでは僕らに砂利敷きする義務が発生する。自主管理であれば、そこに建物は建たないが芝生や樹を植えたりすることも自由で、敷地を広く有効に使える。賃借人もその方が嬉しいだろう。このように、自主管理の方がメリットが大きいと判断したのだ。

しかし、その後大きなミスが判明した。3月に建築許可を取るべく設計事務所が役所と相談したところ、南西側のセットバック地は母屋の先までに伸びているので、このままではD棟と母屋の接道が取れず、建築許可を下すことはできないと指摘されたのだ。上の図面では、青色の部分は右側の母屋の境目で切れている。しかし実際のセットバック地(一筆)は、母屋の敷地下側を突きぬけ、南西側の道路との接道を遮断する格好になっていたのだ。なぜ、こうなってしまったかというと、昨年11月に敷地全体の分筆を行った際は、このセットバック部分は寄付することにしていた。それであれば、寄付した部分が全て道路になるので、接道は問題ない。しかし、1/18の打ち合わせで方針転換し、自主管理にした。そもそも11月に行った分筆であれば、寄付するしか選択肢はなくなっていたのだ。それに気づかず、自主管理で設計を進めてしまった。

この問題が発覚した時点で、取り得る選択肢は二つ。昨年の案どおり町に寄付するか、セットバック部分を母屋との境界で再度分筆するか、だった。寄付することにすると、町がこのセットバック地を町道と認定するまで、建築許可申請をすることができず、スケジュールが大幅に遅れる可能性がある。また、寄付申請してからそれに必要な分筆をしないと、寄付の補助金10万円はおりないというルールだとわかり、今回仮に寄付したとしも補助金はないことがわかった。一方、分筆すれば申請はすぐできるが、分筆の費用が7万円かかる。

3月末までに工事契約を結ばないと、消費税が上がってしまう。スケジュールと自主管理メリットをやはり重視し、分筆し自主管理することを選んだ。

この段階で、寄付案に変える機会もあった。しかし、この時、父も分筆・自主管理案を支持したのだ。

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