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第十八回 配置と間取り

10月13日に敷地境界が確定したことを受けて、建築家の栗原さんは10月22日の打ち合わせ時に、当初想定よりも少し狭くなった新しい敷地に、建物が納まるようにした新しい配置図を用意してきてくれた。

全4棟のうち、北側(上側)の2棟は西側をA棟(下の配置図で左上)、東側をB棟と仮に呼ぶことにする。同様に南側は、西側をC棟、東側をD棟とする。また、各棟は大きな棟と小さな棟が一か所で結合した構造になっている。大きな棟を大棟、小さな棟を小棟と呼ぶことにする(そのまんまだ)。

西側の道路に接面する間口が狭くなったため、A棟の駐車場では車二台を並べて停めることができなくなり、直角にずれて並ぶことになった。それ以外には、それほど大きな変更なしに敷地内に納まった。

配置の決定を受け、今後は間取りを検討していく。以前から原案を見せてもらっていたが、やっと本格検討に入れる。

さて、この4棟はよく見ると、A棟&D棟とB棟&C棟の2タイプに分かれている。A棟を90度右回転したものがD棟(但し玄関位置のみ異なる)であり、B棟を反転(裏返した)ものがC棟だ。2タイプは部屋の位置が異なるだけで、間取りはほとんど同じだ。そこで、A棟の間取り図を見てみよう。(見出し画像はB&C棟の間取り図)

西側から大棟にある玄関を入ると玄関ホールのようなスペースがある。その正面には壁で仕切られた寝室。その上部にロフトがある。玄関を入って左側は、リビングとカーテンレールで仕切ることができるリビング兼寝室。屋根は南側が高くなるように傾斜している。また、玄関入ってすぐ右側に、幅91cmの隙間でつながった小棟がある。ダイニングキッチンとトイレ、浴室、洗面室といった水回り専用の棟だ。下の写真は屋根を外したA棟の模型。

図面でわかるが、寝室内北側とリビング兼寝室の南側に収納があるが、これで収納スペースは全てだ。ロフトがあるとはいうものの、ロフト除けば1.937㎡しかない。

前回10月10日の打ち合わせでラフ案を見せてもらった際に、もう少し収納スペースを取る設計にできないかと栗原さんに要望した。すると22日には以下の新案を用意して来てくれた。

新間取り図には、修正点のみが描かれている。建物の形は変わらないが、間取りは大きく異なる。寝室の上にロフトがあるのではではなく、水回り(トイレ・浴室・洗面室)+玄関+クローゼットの上にロフトがある。ロフトの下の部屋は、当然天井が低くなる。それを許容するのは、主には寝室か水回りだ。それを入れ替えているのだ。水回りだけではスペースが余るので、玄関と収納スペースも設けている。そこは効率的にまとまっている。

そして、旧案では小棟にはキッチン含む水回りを収めていたが、新案では小棟を寝室と約3.5畳の収納(ウォークインクローゼット)としている。収納部は2か所で7.24㎡もある。

新提案を見てまずいいなと思ったのは、旧案では玄関前が妙に広くデッドスペースになってしまわないか不安だったが、それが解消され限られたスペースを最大限に活用する設計になったことだ。また、小棟の収納スペースは、窓を設ければ子供部屋に使える気がした。(7.24㎡の収納は広すぎる気もするし。)

ただなんとなくだが、見慣れた壁の多いマンションのイメージも湧いてきてしまった。小棟の奥をクローゼットではなく子供部屋にする場合も、寝室を通らなければ出入りできない。それもどうか・・・?。

間取りを説明した後で栗原さんは、収納を広く取った新案では配置にやや問題がでると言った。そして、新案を収めた配置図を見せてくれた。

これによると、新案では玄関の位置が変更になるため、A棟とB棟では駐車場から玄関までの距離が長くなってしまう(上の配置図の点線ルート)。これは不便だ。

A棟とB棟を旧案にし、C棟とD棟を新案にするという選択肢も考えたものの、やはり初心に戻って平屋の魅力を最大限活用するオープンスペースの多い旧案のほうが好ましいように、僕には思えた。またもや、栗原さんを振り回してしまったことになるが、自分の納得感を大切にしたいと思う。

しかし、父の顔は少し曇っていた・・・。

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