第18回 住まい方とレジリエンス(しなやかな強さ)
NPO法人コレクティブハウジング社(CHC)訪問
2022年6月12日、これまでも何度も名前の出てきたNPO法人コレクティブハウジング社(CHC)を訪問し、いろいろ話を伺ってきた。
CHCは2000年に設立した、日本でコレクティブハウス を促進する機関。僕が見学した2つのコレクティブハウス も、CHCのサポートにより実現した。
事務所を訪れ、ふたりの理事にご対応いただいた。僕が現在考えていることをご説明し、そこから意見交換をしていった。実践経験な方々なので、運営上のノウハウ、たとえばどういうことをすれば住民同士がまとまることができるか、何をするとあとでトラブルのもとになるかなど、とても貴重なアドバイスをいただいた。
もっとも相談したかったのは、コレクティブハウス という新しい住まい方に関心を持ってくれる住人をどうやって見つけてくるか。もちろん答えがすぐ得られるとは思いはしなかったが、そのヒントでもつかみたいと思ったのだ。以下は、それに関するコメントと感想。
なるほど、と思った。何が魅力になりうるかを、あらためてよく考える必要がありそうだ。そして、その一つが職住セットという切り口。
住人と運営者を別々の探すのではなく、セットにすることでその価値が高まる可能性もあり得る。それだけを仕事にするのでは、生活は厳しいかもしれないが、副業ならありかもしれない。
エコビレッジとトランジションタウン
僕は恥ずかしながら、エコビレッジもトランジッションタウンも知らなかったので、あとで調べてみた。
●エコビレッジ
「エコビレッジ」の定義は以下。
そもそもトランジッションとは?
では、トランジッションのためにどんな活動をするのか?
レジリエンス
正直、二つの違いはよくわからないが、どちらも草の根から持続可能な社会を作り上げていくための自発的なコミュニティ活動ということだと思う。特に僕が響いたのは、「レジリエンス」というキーワード。
世界は快適さや便利さ、気楽さを追い求めるあまり、脆弱性にさらされているがこれまでそれ気づいてこなかった、あるいは気づかない振りをしてきたと思う。身近な例で言えば、スマホ。あの小さな機械に、電話、カメラ、時計、財布、銀行端末、住所録、パソコン、などあらゆる機能を搭載している。本当に便利。でも、もしスマホを無くしてしまったら、生活はどうなるのか。さらに、無くさなくても、もし障害で電波が遮断されたら・・。つい先日もKDDIの障害でひどい目に遭った。だからスマホを手放せということではないが、便利さと脆弱性は裏腹の関係にあることを知っておくべきだ。依存は脆弱性を高めるす。これはスマホだけでなく、全てにおいて真実だ(例えば日本とアメリカの関係とか)。
だから、反脆弱性ともいうべき「レジリエンス」が大切だと思う。不確実性が高まっていることには、誰もが同意するだろう。不確実性への備えがレジリエンスともいえる。
トランジッションタウンの文脈では、レジリエンスを以下と説明している。
「レジリエンスとは生態用語で復元力とか回復力という意味で、ここでは しなやかで強いという意味。」
レジリエンスを生活レベルで高めることが、トランジッションタウンの目的の一つなのだろう。
コンヴィヴィアリティ
実はこの考えは、文明批評家イヴァン・イリイチの主唱した「コンヴィヴィアリティ」と共通する。彼は産業社会の進展に伴い、人間が「道具」に使われることを指摘した。それに対抗するのが「コンヴィヴィアリティ」だ。日本語では「自立共生」と訳されている。以下は明解な解説なので引用する。
1970年代にイリイチが指摘したことが、いよいよ差し迫った状況になってきた。コンヴィヴィアリティを体現する草の根活動が、エコビレッジでありトランジションタウンなのだと思う。
僕が実家での新しいプロジェクトで、コレクティブハウス にこだわっているのも、コンヴィヴィアリティが根底にあるからだ。「人間的な相互依存のうちに実現された個的自由」を追い求めたい。相互依存はヒトを縛るものではなく、もっと大きなものへの依存を避けて、個的自由を確保する手段なのだ。
そうした意味でも、CHCのお二人のアドバイスは腑に落ちた。