玄関部分外観イメージrs_page-0001

第36回 玄関扉は透明ガラスでいいか?

7月22日、鈴木さんからのメールでの確認事項の2点目は、玄関サッシについてだった。

上のタイトル図で、赤い点線部分が玄関だ。青い点線で囲われた部分は透明ガラス。下側は開閉できるサッシで、上側は開閉はできない(はめ殺し)。

玄関扉を、周囲のガラスと同様に透明にしてもいいかとの問い合わせだ。全て透明ガラスの方が解放感があっていい。しかし、透明ガラスにはプライバシー保護のための目隠しが必要だ。玄関以外の透明ガラスであれば、カーテン等で目隠しできる。しかし、玄関の内側にカーテンをするのは不自然な気もする。実際、他の物件で、「玄関はカーテンだと入りづらいのではないか」という意見があったそうだ。

確かに通常、玄関が全て透明ガラスということはなく、ガラスであっても型ガラス(でこぼこした視線を遮る加工)にすることが普通だろう。玄関には敵の侵入を防ぐ機能も求められるわけで、考えてみれば透明のサッシというのはかなり異端の考えかもしれない。

これまで単純に透明ガラスが好ましいとだけ思い、深く考えてはこなかった。こうして問いかけられると迷ってしまう。昼間に玄関周りを眺めた時に、上のイメージ図で、赤い玄関部分だけ型ガラスで、周囲は透明ガラスだったとしたら、違和感があるだろう。少なくとも昼間であれば、赤点部分も青点部分も透明ガラスで内外一体感があった方が美しい。下のイメージ図で、左側の棚(靴箱)の置かれたタタキ部分が玄関だ。ここだけ型ガラスだと、統一感が出ない。

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しかし、夜間はどうだろう。玄関以外には内側からカーテンかロールスクリーンで目隠しできる。もし、玄関内側にカーテンを付けると、夜帰宅時はまず玄関扉を開け、暗い玄関内でカーテンに手を伸ばし横に移動させ、玄関に入ることになる。大した作業ではないとも思うが、何となく違和感を持つのはなぜだろう?同じような違和感を持つ、他の施主もいるとのことだ。

そもそも、解放感を重視したいとの僕の思いを汲んで、玄関とリビングの開口部を連続させる設計にしてくれたのだから、こうした悩みが生じるのだ。またその前提として、下の図面のように、各棟のアプローチが独立していることと、各住戸がわりと離れているので、あまり隣人の視線を気にせずともいいのでは、との考えもあった。

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僕は、やはり玄関も透明ガラスとすることを伝えた。ただしその条件として、玄関の目隠しも必要で、しかも周囲と統一感を保ちつつ、夜も違和感なく玄関から入れる方法を、一般的なカーテン以外で考えたいと思った。鈴木さんにも、是非いいアイデアを創造してほしいと念を押したが、どうなるだろうか?


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