第57回 建物の共有割合をどうするか
建物の保存登記をする際、共有の場合は持ち分を設定しなければならない。僕と父の共有になるのだが、その割合をどうするか?これは結構ややこしい問題だ。法務的解釈と税務的解釈が交差するから。
持ち分比率=拠出した金額/建物の取得費用
分子は明らかだ。父が45百万円をM信金からの借り入れで調達し、残りを僕が出す。では、分母の建物の取得費用には何が入るのか?いくつかの考え方がある。
それを見る前に、今回のプロジェクトの支出について確認しておく。今回のプロジェクトには、総額で約85百万円くらいかかっている。内訳は以下。
1)工務店工事費:約61.7百万円(税込、以下同)
これは施工会社と結んだ工事請負契約で決まっている。
2)設計料及び構造計算設計料:約8.3百万円
3)具材及び建物に付随する設備:約7.8百万円
追加建材、エアコン、トイレ、建物に関するや登記関係費用等
4)直接的にはハードとしての建物には充当しない費用:約6.3百万円
古屋取り壊し費用、整地・埋め立て・地盛り・下水道・よう壁工事費、外構工事、土地に関する税や登記関係費用等
5)その他:約0.5百万円
借入にかかる費用、交通費、謝礼等
上記の内で、分母の建物取得費用にどこまでが入るのか?さまざまな考え方があるが、一般には1)+2)+3)が建物の取得費用となるようだ。物理的にハードとしての建物を構成する要素だから。それらは、減価償却の対象となる。
4)は建物ではなく、それが建つ敷地(土地)の価値向上の要素となる。つまり、土地の価値が4)だけ上がったと考える。(4は、土地に変換されるのだから減価償却の対象とはならない。)従って、厳密に言えば現在の土地の価値(固定資産税評価で約5百万円)が、6.7百万円増加し約11.7百万円となる。そうなると、土地の持ち分比率が以前の父100%から、父が5/11.7=43%、僕が57%となる。しかし、土地の所有権登記を、その比率で共有に変更するかといえば、わざわざしないだろう。
土地の持ち分を変更しないのであれば、その分である4)を建物取得費用に仮に繰り込み、建物持ち分算定の分母とすることも、それほどおかしな扱いとが言えないと考える。
ただし、税務上の建物減価償却対象は、1)~3)となるだろう。また、賃借収入の父と僕の分配比率計算をする際の分母は、収入を生み出すための総投資額、すなわち1)~5)の合計で問題ないだろう。
このように考えて持ち分を決めた。
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