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第19回 プラン変更し、カフェを諦める

僕の頭の中での本プロジェクトは、コレクティブハウスとカフェと民泊とオープンスペースを、新築と両親が住む既存住宅(母屋)のリノベーションによって実現することだった。

しかし2022年夏、カフェを断念することを決めた。理由はいくつかある。

・カフェを任せる運営者を見つけることができるか
友人の一人で未経験者ではあるが、カフェ運営に興味を持ってくれた女性 がいたが、縁もゆかりのもない地方で一人で運営をすることに恐れをいだいたこと。僕は彼女ならできると思っていたが、当人の立場に立てば当然の思いだろう。信頼してお任せする人が見つかるのか、あらためて不安になった

・駐車場が確保できるのか
この地方ではすべてが車での移動が前提になる。敷地内内にはコレクティブハウス住人用として3台分の駐車場を確保するが、カフェ用には確保できない。かといって、近隣に駐車場を借りこともほとんど不可能であることが分かった。何度も指摘したように、このあたりは市街化調整区域でしかも住宅が建っていない土地はほとんど農地だ。農地を駐車場として使用するには、農地転用許可が必要だが、そのハードルは限りなく高い。特別な事情のない限り許可されない

・隣接する既存賃借人の不安
2022年6月25日(土)、僕はAWAZUKU HOUSEに住む4家族に母屋に集まってもらい、説明会を開催した。僕が新しい建築を考えていることは、(多分母から聞いて)多少耳にしていたようだ。まず彼ら彼女らに、僕の口から現時点での計画を説明し、意見を聞きたいと考えたのだ。また、今の住み心地や不満なども、直接聞いてみたかった。詳細は省くが、カフェを設けることへの不安が感じられた。もしカフェが順調に営業されれば、AWAZUKU HOUSEの横をお客さんが通っていくことになるだろう。それは、静かな山里で暮らしたいがためにここに引っ越してきた現住民の期待を、裏切ることになりはしないか。それは僕の当初のコンセプトともズレるのでは、との思いが募ってきた

・建築コストが予算におさまるのか
ウッドショックという木材価格の高騰が続いている上に、ウクライナ戦争も始まり、建築費用が当初想定から2,3割もアップしそうな気配があった。コスト削減のため、最も現実的な方策は、カフェ棟の断念だと考えられた。

これらの要素を勘案し、7月初めに建築家の栗原さんにカフェ棟断念を伝えた。これまでさんざんカフェあり案で検討を続けてきてもらったのに、急遽のプラン変更は本当に申し訳なく思った。既存プランで、施工会社への見積もりも依頼していたのだ。しかし、栗原さんは案外平然としていた。どうやら、これまでの計画では、予算内に収めることが難しいと思っていたようだった。



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