A棟物干し

第42回 敷地内通路の再検討(続)

敷地内通路を掘り込むというアイデアを栗原さんから提示されて、僕はあらためて現場を歩いてみた。まだ工事中ということもあるのだろうが、正直当初想像していたのより、建物同士が接近しているように感じた。そこで、敷地内通路を作らず、全て芝生を敷き詰めるというアイデアをぶつけてみた。その方が、広々するようにも思える。

栗原さんからは、全芝生案についていくつものデメリットを指摘された。通路がないため、他の手段で4棟の境界を示す必要がある。古材で低い垣根をつくることもできるが、その総距離が50mにもなり、柵の支柱を支える基礎工事も必要で費用がかさむ。また、芝生の面積が広がることで、当然初期費用も増える。さらに、広い芝生スペースのメンテナンス(つまり芝刈りをして雑草を処理すること)が、ゆきとどくかどうかも心配。敷地内の芝生のメンテナンスは、そこの住人に担ってもらうことを考えているので、誰が住むかわからない賃貸住宅の場合、出来るだけそういったリスクを避けた方が賢明だとも思える。そう考えると、やはり通路はあった方がいいと最終的に判断した。

ところで、以下のモデルと図面を見ると、通路兼雨水の通り道の中央あたりに、くの字型をした木の橋のようなものが描かれている。橋は古材(以前敷地に建っていた古屋を解体した際出た古材と瓦を保管している)を再利用して造る。これも今回の新しいアイデア。

模型上から

新通路

通路兼雨水の通り道によって、4棟の大まかな境界を示すことができるが、一方で4棟の敷地をつなぐこの橋によって、全体の一体感を生み出そうとしているかのようだ。ただ、そのためには橋は図のように曲線を描いていた方が好ましいのだが、技術的な難易度は高いそう。そこで、曲線一本の長い橋ではなく、短い直線の橋を3,4本通路兼雨水の通り道にかけるプランも示してくれだ。(タイトル写真は、A棟とC棟にかかる短い直線の橋)

もともとは古材と古瓦を再利用して、下のモデルのようにD棟横の井戸の上に東屋を造るプランだった。

井戸

しかし、B棟専用井戸のように思われてしまいかねない東屋に古材を使うよりも、4棟をつなぐ目的で使用した方がいい気もする。ただ、現在保管している古材の量で橋の強度を保てるかどうか、まだはっきりしていない。

この通路兼雨水抜け道案も、まだまだ検討すべき点が多く、結局この日の打ち合わせでは継続検討となった。

ところで、この日は物干しスペースの検討もしました。タイトル写真では、A棟の物干しスペースを示している。洗濯物の物干しも、4棟で統一感を持たせたいとの僕の希望で検討してくれている。場所の選定だけでなく、A棟のように物干竿を地面に設置する(造り付です)か、それとも軒から吊り下げる形にするかも、太陽の当たり方によって決めていく。

下のCG画は、冬至の8,10,12,14,16時の、日影の様子をB棟南側から西の方を見たシミュレーション画像だ。同じ位置で夏至のや、別の位置からの冬至と夏至のシミュレーションもある。こうした分析に基づき、物干し位置も今後つめていく。

日影



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?