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第63回 急遽、三度目の施主検査

2月24日、積み残し課題について、栗原さんから対応策に関するメールをもらった。いくつかは対応済みだったが、まだ相談する必要があるものもある。しかし、もうあまり時間をかけられない。急遽翌日(25日)に僕が現場でいき、その場で実見と現場を見ながらそ協議することにした。(新型コロナウイルスの心配もあり、自動車で向かった)

2月15日から変わったのは、
・鈴木さん特製エアコンダクトカバーがついたこと
 –下写真:コンセント右側と本体左側をつないでいるのがそれ。壁と同じファルカタ合板製なので目立たない

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・換気扇スイッチがついたこと
  -下写真で上部に換気扇があり、その真下にスイッチが、コンセントは2つ残したまま追加された。

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・トイレのブラインドが設置されたこと
  -既製品だがギリギリ窓ガラスを覆うことができた。紐式ではなく、下のノブを手で簡単に上げ下げできるので便利

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さて、相談したかった1点目は、水周りの防水塗装について。フローリングについては、オスモ塗装が施されているので、多少水汚れが落ちてもすぐに拭き取れば問題はない。しかし、ファルカタ合板は無塗装なので、水汚れをすぐに拭き取ったとしても染み込んでしまう可能性がある。そうした水がかかってしまうリスクがあるのは、ユニットバス出入口の三方枠(上と左右)部分とトイレの三面(上写真参照)だ。トイレは、床から1mの高さまで防水塗装をする。問題は何を塗るかだ。

考えられる塗料は2種類。ひとつは、床フローリングと同じオスモ塗装。色は、クリアとフローリングと同色(白系2色の混合)が考えられる。オスモは木の表面から内部に浸透させる天然系塗料だ。

もうひとつは、無色ウレタン塗装。化学系塗料であるウレタンを表面に塗って膜を張り防水する。事前に防水効果の実験をしてくれた。以下のように、ジュースを垂らしても、すぐ拭き取れば跡は残らない。

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S建設Hさんと栗原さんに、それぞれの評価を聞いた。
・表面に膜を張るウレタンの方がやや防水力は高い
・拭き取りを重ねた場合の機能低下(剥がれなど)は同等
・ウレタン塗装は、塗装していない部分との境界(わずかに段差ができる)から、水分が染み込み内部にカビが発生する可能性がある。オスモは浸透性なので、その心配はない
・無塗装部分と塗装部分の見た目の違いは、無色であっても2案とも認識できるレベル(上写真のように塗った部分は湿った印象となる)
・将来塗り直す際には、オスモであれば素人でも塗装できるが、ウレタンは職人でなけれ難しいかもしれない
・費用はさほど変わらない

これらの意見を総合して、僕はオスモ塗装を選んだ。それほど激しく水に濡れることは考えにくく、それより将来のメンテナンスを重視したのだ。色も、将来のメンテナンスが容易になるようにクリア(無色)にした。

2点目の相談は、二枚継いであるファルカタ合板の色が少し異なり、ツギハギ感が出ている壁がいくつかある問題(第58回参照)。S建設Hさん、栗原&鈴木さん、僕の三人で4棟をまわり、対応した方がいいと判断した10箇所を選んでいった。相談の結果、それらの壁には、上から既存の合板より薄いファルカタ合板を貼ることにした。今度は同じに見える色の板を2枚選んで、それぞれに貼ることにする。そのためには色を確認して一枚単位で購入できる建材問屋を探さなければならなかった(既存問屋は300枚ロットでしか購入できず、材を選ぶこともできなかった)が、四方八方手を尽くして見つけたそうだ。

ただ問題があった。合板は柱と柱の間に貼られており、現在は柱の部分が約2mm高くなっている。上から貼る新しい合板が2mmであればちょうどフラットになり違和感ないだろうが、見つけた薄い合板は2.8mmだった。約0.8mm壁は柱よりも出っ張ってしまう。別の樹種ではあるが3mmの合板を鈴木さんが持参し、試しに柱と接する部分に当ててみた。下写真で真ん中が柱(杉無垢材)で、その左右が3mmの合板だ。

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わずかに出っ張りはあるものの、近くでじっと見なければ気づかない程度と思われた。実際の合板は写真のより0.2mm薄い。僕は、上から貼る対策を10箇所に実施することを決めた。ただ、職人さんが確保できるのは3月9日の週だそうだ。とうとう完成は3月を超えてしまうが、妥協はしたくない。

ところで、この日僕は運転して現場に向かう途中、スタジオヴェロシティの新事務所に立ち寄り見学させてもらった。以下のように屋根が凹型に反っている。梁を荷重をかけて反らしたそうだ。自事務所とはいえ、ずいぶんと実験精神に富むものだ。

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