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第27回 借入の交渉(続)

3月14日(木)、M信用金庫のSさんから僕の携帯に電話があった。融資内定の連絡だ。少しほっとした。しかし、予想に反し5,500万円の借入要望に対して、4,500万円しか融資できないという。金利1.2%、22年間で4,500万円。理由を問うと、土地の担保価値が低いかららしい。それは最初からわかっている。路線価から計算した敷地土地の価値は約700万円だ。

僕は、東京で保有する投資用マンションを担保に入れてもいいがと、水を向けた。Sさんは、信用金庫では支店のない地域の不動産は担保に取れないと答えた。管理できないからだ。日本全国に信用金庫は259(2017年度)あり、その中央組織として東京に信金中央金庫がある。そこが、加盟する全国の信用金庫のために、今回のような支店がない地域の担保不動産を管理する機関を設置すればいいだけの話だと思うが、そういう体制ではないのだ。だから、実家の土地より遥かに担保価値の高い、東京の不動産を担保に取れず、融資額が減ってしまう。おかしな話だ。

さらに、今回の計画敷地に隣接する、両親が住む土地(約100坪)を担保に提供したらどうかとも、試しに聞いてみた。予想に反して、それも担保に取れないという。理由を問うと、借主が居住する自宅不動産を担保に取ると、最悪の場合、つまり借入の返済ができなくなった場合に、信用金庫が自宅を取り上げ借主を路頭に迷わせてしまうことになる。地元密着の金融機関としては、そういう事はできないのだというのだ。そもそもお金を借りるということは、そういうリスクを負うということのはず。収益を生まない住宅ローンでは、その住宅(借主の自宅)を担保に取るのに、収益不動産への融資では、借主の自宅を担保に取らない。僕の常識では理解できない。

しかし、僕の常識が通用しない世界が、ここに厳然としてあるのだ。本部の決裁なので、遺憾ともしがたいとのこと。何か方法はないかと問うと、ないという。Sさんを責めてもせん無い。予定が狂った。

僕はSさんに、どう対応するか考えさせて欲しいと言って電話を切った。建設会社との契約は、もう12日後だ。資金の目途なしに、契約を結ぶことはできない。


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4日後の3月18日(月)、借入は4,500万円でいいとSさんに回答の電話を入れた。何となく、Sさんはがっかりしたように感じた。気のせいかもしれないが・・・。

総投資額と借入の差額3500万円を、借入以外で用意しなければならない。腹を括ることにした。

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