終わりよければ…

今シーズンも無冠濃厚な雰囲気がムンムンしてたが、尻上がりに調子を戻して天皇杯優勝、ACLも無傷の首位通過と終わってみればまぁまぁな1年だった。

しかしちゃんと振り返ってみるとやはり物足りなさが勝ってしまう。
勝ち点50で8位、ルヴァンはGS敗退。リーグ優秀選手賞も脇坂1人となれば一昨年までが良すぎたとはいえ結構評価が厳しい年だったなと。

まだACLが1試合あるけど今シーズン終了ということで、さらっと振り返ったりしつつ来年の展望を。

とにかくタイトル獲得は最高


昨年無冠だったこともあってチーム全体にかなり危機感があったと思う。特に鬼木監督はなりふり構わない選手起用でマジでタイトルを取りに行ったのが見て取れる。
ここまでやって無冠だったら痛すぎるが、なんとか天皇杯は取れた。昨年はJ2組のしかもヴェルディにやられるという大失態を犯したこの大会のリベンジという意味でもチームに大きな意味を与えるタイトルだと思う。

試合内容に関してはもう言うだけ無駄。
こういう一発勝負の決勝はとにかく無失点で行くのが正解、結果的に120分間失点しなかった。これだけでこの試合はすべき事をやりきったという評価でOKだろう。
確かに言いたい事もっとやってほしかった事は山ほどあるけど、一番重要なのは勝ったかどうかで勝てたんだからとやかく言う必要もないだろう。


今年苦しんだ理由


今シーズンはフロンターレを評価する人が全員口を揃えて「苦しさ」をキーワードにしていいと思う。それくらい本当に苦しかった。
原因はいくつかあるけど、やはり最大の原因は「強化部の拙さ」だったと私は断言する。

今シーズンの加入組は
瀬川、上福元、大南、松長根、大関、山田、名願、シーズン途中にゴミス

といった面々だったが、結局のところスタメンに安定して入ったのは大南だけで、瀬川も活躍こそ多大だけど便利屋的起用に終止した。
若手にJ1上位進出に向けたタスクを任せるのはもちろん無理があるが、ベンチにすら入らないのはかなり問題がある。
もちろんタイトル至上命題で余裕もないので、元々若適用が少ない鬼木監督にそんな要求をする方が無理なのだが、若手がメンバー入りできないせいで、ただでさえコンディションに不安のあるベテラン組が順繰り怪我をしていくという悪循環を断ち切るきっかけにすらならなかったのは残念だった。

原田などの若手を数名期限付き移籍で出し、知念と谷口が居なくなったのに対してこの加入組では、確かにパワーダウンしてしまうのは仕方ない。
その上ジェジエウの大幅出遅れが確定している中、このメンバーでやろうという決断は間違ってたとしか言いようにない。


怪我の多さはなぁ…


フロンターレは昔から怪我の多いチーム、憲剛だけで見たって「今日居てくれれば違った結果だった可能性が」と思わされた試合が何度もあるように、このチームに怪我に悩まされない時期なんてのは無い。

しかし気になるのは「再発率の高さとその頻度」の部分。
大島の足が壊れるのはいつもの事としても、佐々木やノボリの足やジェジエウのコンディション悪化など、なんか持病持ちが定期的に再発してる感のする怪我がかなり多い。
車屋やマルシーニョも結局稼働率半分ちょいくらいだったし、本当にこのチームで1年通して計算できる前提の選手は数名しかいない。

コーチの問題なのか、メディカルの問題なのか、プレースタイルの問題なのか、原因の究明はもちろん必要だけど、毎年毎年繰り返す選手には相応の計算でチーム作りする必要があることが今年よりはっきりした。
名簿上人数が居ますじゃなく、彼の稼働率はいくつこの選手はいくつをシビアに設定して、最低限マイナスにならない程度に頭数を揃えないといつまで経っても同じ景色を見続けることになる。
特にディフェンスラインは慢性的な人数不足なので、今オフしっかりと切ることも含めて行動してもらわないと困る。


終盤何が良くなったか


フロンターレの後半復調の最大の原因は橘田の復調だと私は見ている。
スポナビの橘田のリーグ戦出場時間を見ればわかるが、開幕から8試合フル出場した所から4/23の浦和戦でベンチ落ち。スタメンに完全に戻ってくるのは8/6のガンバ戦。
ガンバ、神戸、広島とリーグ戦3連敗と札幌に引き分けの4試合勝利無し、天皇杯は新潟にPK勝ち、セレッソに完敗
と厳しい時期を乗り越えてからは15試合で2分1敗と圧倒的な戦績に戻って来た。

一度地の底まで落ちつつもそこで折れずに、天皇杯勝ち上がりというきっかけを掴んで一気にカムバック。まぁよくある話だよなとも思う。

橘田が4月で一度挫折して、チームも8月に最悪な状態に落ちる。
けどそこで橘田とチームがリバウンドメンタリティで同時に戻って来たというのが一気に勢い付いた理由かなと。
これが4月でも8月でも同時に挫折してる世界だったら今の景色はなく、無冠+二桁順位(最悪残留争い)という形になってたと思う。

チームとしてキャプテンが自信持ってやることの意味が再確認できた。
憲剛がキャプテンやってシルバーコレクターやってた頃もそう、大事な試合や決勝の時に憲剛の表情がただただ固いだけ、だから試合も落とす。
でも今の橘田は優勝の味も取り方も知ってるキャプテンだし、それを周囲も理解してるから同調していけば上に行ける。
強かった頃の鹿島と小笠原みたいな。

来年以降もキャプテンがタイトルの取り方を理解してピッチで示し続けてくれれば、結果はある程度ついてくる可能性は残ると感じる。


来年求めること


まず第一にディフェンスラインの整理
人数を今年+1以上に揃えること、RSBの山根の属人化の解消、LSBもノボリの負担率軽減
これらの作業は必須。若手が伸びてくれれば万々歳だが、なにせ試合経験値が少なすぎるので、更に稼働率が下がるベテラン組をちゃんと補える人選が必須。

第二にCFの獲得
ダミアン退団濃厚、小林稼働率低下、ゴミス計算に入れにくい、
ということで現在のベテラン組は全員計算に含めちゃいけない状態、山田と宮代と10代じゃ勝負にならないので、ちゃんと数字が計算できるCFは必須。

WGの更新
家長を通年で計算するのは既に無理がある。というか今年はより一層ブレーキの面が目立ったので、ちゃんと家長の稼働量を下げられる選手が必須。
LWGもマルシーニョがちょいちょい怪我する度に成績が左右されるなんてのはだらしないので、ちゃんと2枚目を確保しておくこと。
今日のように宮代を縦関係だとか家長を左に出張とかやるくらいならそもそも4-3-3辞めるくらいの決断も必要。
形にこだわって選手の良さや獲得選手絞りに悪影響が出てるなら、即辞めよ。

若手の試合出場時間の増加
今年はいつも以上にイツメンでの試合ばかり見させられた。鬼木監督の悪癖だから仕方ないが、ただでさえ何年も前から懸念事項になってるチームの新陳代謝がもうけっこうヤバい。

じゃあいきなり若手に試合任せるねなんてやったら今のJ1なら降格がマジであり得るので、ちゃんと計画性持って意図的に出してやらないといけない。
タイトルを狙うというのであればカップ戦を捨てるか特化するかどちらか確定させるくらいの事は必要。
タイトルを優先しておっさんに試合を任せっきりにしてたら、本当にその時が来たら降格でこれまで先延ばしにしたツケを払うことになる。

勝負強さの継続
今年も鬼木サッカーすげぇなと一番思った部分は、拮抗した試合で高確率でものにできる部分。このチームは優勢から拮抗まではめちゃくちゃ強く、その反面劣勢では脆すぎて選手が壊れるという猛将タイプのチーム気質。
これは特徴どころか長所なのでずっと継続して行ってほしい。


ACLどうなるか?


今でこそ絶好調のACLだが、正直そこまで期待できない自分が居る。
我々フロンターレはそもそもACLのベスト4以上は未知の世界だし、毎年色々な経緯がありながらもそこで負けて来たわけだから。
GSで全勝得失点差+30とか取ったところでノックアウトステージはこれまで同様フラットな所から試合が始まる。
ラウンド16は2月ということなので今の流れは無効化、選手の入れ替わりでどういうチームになってるかも不透明。
スロースターターで新人のフィットが遅いいつものフロンターレのままだと、相変わらずACLは相性の悪い大会でしたなという感想で終わる可能性が高い。
逆にその壁を乗り越えることができれば更に大きな飛躍につながること間違いないので、上手くやってほしいと願いつつもここはそれ以上私に出来ることもないので座して待つのみ。

お気持ちよろしくです。