ここまで戻した事をポジティブに

首位を争うマリノスとヴィッセルの2チーム、これらの相手を連続して戦う事となった7月後半のフロンターレ。負ければ優勝争いの可能性は完全に消え、勝てればわずかだが数字上の可能性は残る。
早くも崖っぷち、背水の陣の状況で迎えたこの2戦、結果は1勝1分の勝点4。

普通に考えれば1位2位相手に負けず勝点4=1試合平均2を達成したのだから、普通のチームなら万々歳と言っていい結果だが、今年のフロンターレは残念ながら普通ではない。
本来ならこの積み上げた勝点4を使って首位攻防戦で確固たる位置を確定させる予定で組まれたチームのはずが、これでやっと「勝点差=試合数の最終防衛ライン」内にギリギリ戻って来れただけ。

グランパスにシーズンダブルを献上してしまっているので、仮に上2つが大失速して落っこちて来たとしても、後釜に収まるのはグランパスや浦和。それら全てを上回らないと優勝できないと考えると、かなり厳しいのは言うまでもない。

でもシーズン序盤の降格圏が見えてった頃からすればこの勝点4は別世界の出来事のような輝きがある、確かに優勝という目標に対してはネガティブな事ばかりだけど、この状況はかなりポジティブになれる要素が多いと思う。
今回はそういったポジれる要素にもしっかり目を向けながらこの2試合をさらっと振り返ろうと思う。


兎にも角にも上位2つから勝点4は凄く良い


はっきり言ってこの2試合で今シーズンのリーグ戦の夢は完全に終わると思っていたので、この勝点4は文字通り望外で予想外な出来事だった。
優勝したいなら内容よりも結果が大事というのは昨年まで何度もnoteでもTwitter(名前変わったらしいがよくわからん)でも言ってきたように、今回の最大の目標は勝点を奪うことであって、MAXの6には達しなかったが4なら上出来と言う以外ない。

まずこの勝点4をポジティブに、優勝は無理でもACL争いや分配金を少しでも上にするためにもこの2試合の手応えは今後のチームに大きな力を与えてくれると思う。

やっぱ先制点は大きい


2試合とも先制点を取れたし、前半無失点も達成。このスコアの動かし方を高確率で行えるようになれば間違いなく順位は上に行く。
今シーズン序盤ずっとできなかった事が上相手にできた、そして勝点という結果で収穫物が得られた。ここをポジティブに受け止めて今後も続けていこう。

今のフロンターレは相手より多く点を取る、1点取られたくらいなら2点3点取りに行って押し勝てるなんてチームではなく、相手が0だからこっちは1で勝てるがメインの勝ちパターンなので、とにかく今後も失点0の時間をどこまで伸ばせるかが大事だと思う。
こちらの得点も0が続いたとしてもマリノス戦のパターンがあるし、そういう勝負所で小林の経験値や遠野の打ち込む力だったりが出せれば、チームも上向くし選手個人ももっと気持ちよく練習からやっていけるようになる。

そういう事も考えて私は最近ずっとスタメン確認のツイートで「前半無失点」を求め続けている。これは単に早い時間帯に失点すんなという浅い意味ではなくて、それができればこのチームの持ってる駒や底力と合わさって勝率が大幅に上がるというのをわかっているから言っている。


しかし内容はお粗末なのも事実


マリノス戦は勝ちこそしたがPKを止められたり決めきれなかったりで負けに等しい引き分けが濃厚な所から、最後の最後勝負強いフロンターレが戻ってきたような勝ち方。

ヴィッセル戦は相手がミスの連打とふわふわした試合再開の流れで一気に2点取って後半に行くまでは最高な流れだったが、後半は立場逆転してものの数分で大迫に2失点。

どちらも勝ち方として突き詰めないといけない点は多いし、ヴィッセル戦の連続失点はかなり重症。
またすぐにヴィッセルとは再戦するし、そこからサンフレッチェ、コンサドーレ、セレッソと勢いや攻撃力のある相手が続くことから、守備力の穴が試合結果を大きく悪い方向に変えてしまう可能性が怖い。

今は確かにここまで内容や結果を戻せた事をポジティブに考えるのも大事だけど、じゃあ実際にやってたことはどうだったかと考える思考回路も残しておかないと今後苦しくなると思う。


家長の仕事場は右の高い位置


この話題も毎試合言っているけどバイエルン戦も含めて強い相手とやってる中で再確認できたからもっと強く言いたい。

家長の良さが一番活きる場所は右サイドのペナ角付近
状況は山根や脇坂らへんとワンツーできるくらいの距離感で前向きにボールを持っているか受けられる場面

彼はペナ角でサポートありなら本当になんでもできる。

自分でドリブルで切り込む
45°シュートを打ち込む
ワンツーでラインブレイク
アーリー気味の上質なクロス
前塞がれてもスローインやコーナーで攻め継続

しかも基本的に周囲との意思疎通にさえ問題がなければプレー選択の精度と速度も高い。基本的にこの状況で家長に持たせたら主導権はこっちの物だと認識していい。それくらいの質で圧倒する能力は連戦で疲れていたとしてもある。
この明確な武器を今後も上手く活かして欲しい。

しかし家長が使いにくいのも事実


マリノス、ヴィッセル、グランパスが奪ったら縦に速いサッカーでリーグを攻め倒している中、フロンターレの縦への意識は明らかに低い。
横パスやバックパスの割合データで上位にいるという情報も耳にしたが、データを見るまでもなくその3チームとフロンターレの試合を見れば一目瞭然だ。

なぜフロンターレはそうなってしまうのか、私の中で思いつく一番の要因は家長の存在だと最近確信に至りつつある。

家長は元々加入した時から「彼は全然走らない」と言われていたが、思った以上に走る選手だなという印象だった。しかし年々歳を重ねるごとに走り方に工夫を入れてごまかせないレベルにまで走力は落ちている。
今年のしあいでいわゆる「ブーストダッシュ」と言われていたような、家長の本気の速いダッシュで抜き去っていくようなシーンは覚えてるだろうか?
私にはそんな記憶はない。

奪ってから前につけて素早く敵陣に攻め入る
というやり方をする時、4-3-3はCFと両ウィングが一気に上がることで選択肢と火力を押し付けるためのフォーメーション。
まさにマリノスがずっとやってる事をフロンターレもやりたいのだが、最速のマルシーニョの離脱で左の速度に違いが生まれず、右の家長は低速。
ダミアンや小林で強引に前で収めることもできないので「前に速く出す=ボールロスト」という構図ができあがってしまっている。

鬼木サッカーが風間サッカーから変わった一番の違いは、前プレで奪いきって敵陣内でボール奪取から速攻を完結させるという所だ。
しかし家長が前にいるがゆえに、敵陣内で奪ったとしても相手の戻りの方が速いという状況が生まれてしまい、前プレというコストを支払ったリターンがあまり旨味を持てていない。

なのであまり前からバシッとプレスがかけられないでいると自陣深くまで一気に侵入を許してしまい、そこまで圧倒的でないディフェンスラインの質が相手の攻めの質に押し負けて失点。

なんとか低い位置で奪っても前の押し上げが遅いから自陣内でのリスキーなボール回しをする時間が増え、ミスからまた危ない攻撃を食らってリズムが消える。

そして極めつけに中盤でのパス回しの活性化のために家長が中央や左に出張させられて彼の良さが完全に消える

という嫌な悪循環がどうしても目につく。
このデメリットを周囲がカバーできれば家長のメリットが絶大なのは間違いないので、そこのさじ加減を鬼木監督が今後もしっかりやってくれることを願う。

今後もまず前半無失点継続


これから先この強さが継続できるかは未知数、年齢層も高いし怪我も多いので夏場以降またガクッと落ちる可能性も否定できない。
試合内容バッチリで得失点差稼いで勝点3を何度も続けることはおそらく難しいだろう、でも勝とうが負けようがまず最低限の目標として45分無失点は基準に置いておきたい。
それができればフロンターレの強さはかなり発揮でき順位も上がっていく。
この認識をこのnoteを見てくれた人から広まって行ってくれると嬉しい。

お気持ちよろしくです。