抽象化ってすんごぉい

こんにちは。
家で過ごす時間をどうにか有効活用したくて先日、ピアノを始めてしまいました。
妻の電子ピアノを拝借し、毎日朝の30分と夜の1時間ぐらいを練習時間に充ててスキマスイッチさんの奏を弾けるように練習しています。音楽センス皆無+今まで音楽というものに縁がなかったものですから、そもそも音符の読み方が分かりません。3日目ですが、1mmも上達せず挫けそうです。
妻に指導をもらい、とりあえずコツコツ続けてみようと思います。5月6日まで記憶の隅で生暖かく見守っていただけると嬉しいです。 #替え玉の危機

本日は、「抽象化ってすんごぉい」について書きたいと思います。

皆さんは「抽象的な話」というワードを聞いたら、どんな印象を持たれますか?
「ぼんやりしていて、何を言いたいのかハッキリしない」とか「あー、もう少し具体的に話してほしい」と思われる方は多いと思います。
抽象というのは、分かりにくい、実践的でないといった否定的な印象を孕んでいるのが大抵の場合だと思います。

反対に、「具体」という言葉が最も用いられるのは、何かを分かりやすく説明するときに「具体的に言うと…」などと枕詞をつける場合でしょう。

このように「具体=善」、「抽象=悪」という2つの等式がおおよそ世の中の感覚だと思います。

僕も仕事では「フワフワしたことばっかり言いやがって…結局何が言いたいんだよ」となることや、反対に「各論すぎて話が進まん…!」と思うことがありました。
この、「伝えたいことがうまく伝わらない」というコミュニケーションの不和は、一体何が原因なんだろう…?とずっと疑問に思っていました。

しかし今年に入り、友人が薦めてくれた「前田裕二さんの『メモの魔力』」と「細谷功さんの『具体と抽象』」を読んで、その答えが分かりました(エビちゃんありがとう!)。

結論を先に言うと、

「抽象度の違い」によるものだということです。

は??

という感じだと思います。僕も最初は何を言っているのかよく分かりませんでした。

そもそも、日常には抽象という概念が溢れています。
例えば、「魚」という単語一つとってみてもそうです。
魚にはマグロやサバ、アジやサンマなど様々な種類があります。更にマグロは、キハダマグロやクロマグロ、ミナミマグロなどに分類することができます。
仮に「魚」という単語を使わずにこれらを言い表すとき、何万とある一つ一つの個体名をすべて挙げることになります。それはとても手間なので、キハダマグロやクロマグロは、まとめたら同じなので「マグロ」というカテゴリー、マグロやサバもまとめたら同じなので「魚」というカテゴリーに収められています。
ここでは、「魚」という概念を頂点として、マグロやサバを中層階層、キハダマグロやクロマグロを底辺としたピラミッドをイメージしていただけるといいと思います。※図1

画像1

また、「目的と手段」についても、同様に考えることができます。
目的はピラミッドの頂点に位置し、それに向けて様々な手段を実行していきます。
会社に例えれば社長が経営理念(目的)を示し、取締役がその理念を実現するために運営方針を決定し、以下責任職から平社員に至るまでが運営方針に従って実務を進めていきます(手段)。上流(社長)から下流(社員)になるにつれてその仕事の内容は、抽象的なものから具体的なものになります。※図2

会社

これらを踏まえると「抽象」とは、単なる悪ではなく「個別具体的な事実の上位概念」と考えることができます。

細谷氏によると、話がかみ合わないときには、この「抽象度」が食い違っている場合が多いというのです。
要するに、ピラミッドの違う階層で話をしている、つまり、
マグロが欲しい時に魚屋さんに行って「マグロを下さい」ということはあっても、「魚を下さい」とは言わないよね、ということです。

会社においては、その立場に応じた目線で仕事を進めていかなければならないため、上司と部下で視点が異なるのは必然です。
個別具体的な解決策やアイデアを提示したとしても、そのチームとしては問題を解決できるかも知れないが部署や会社全体の視点から見るとマイナスであったりする場合は、そりゃ意見は通らないですよね。

こう改めて文章にすると当り前のこと過ぎて、「なんだそんなことか…」と思われるかも知れませんが、僕はいざ仕事に没入すると極端に視野が狭くなるタイプなので、中々「物事を抽象的に見る」ということができなくなってしまいます。
しかし、この「話かみ合わない問題」を解決するためには「コミュニケーションをとる相手によって抽象度を変えて話す」ことが重要です。

そしてそのためには具体化と抽象化を使い分ける必要があります。
大概「具体的に話して」と言われることはありますが、「抽象的に話してよ」と言われることはありませんので、具体化に比べて抽象化は意識的に練習しないと身に付かない力です。

今僕が試しているのは、成功体験や具体的事実から「他の分野にも応用可能な気付きを得ることができるか」と考えることです。
例えば、前の記事で虹の話をしましたが、これも抽象化の一つです。

具体的事実:日本人が感じる虹の色は7色だが、「藍色」という言語が無いアメリカ人が感じる虹の色は6色である

↓ 抽象化

汎用的(他でも使える)概念:言語によって思考が制限される(仮説)

↓ 具体化

別の具体的事実:語彙を増やすと幅広い表現が可能になる(仮説)

しかし、この作業はその人の主観が入りやすく、定義を誤る危険性もあるため、あくまで仮説として検証を進めていく必要があると思っています。その時、別の具体的事実が立証されれば、晴れてその汎用的概念は「他にも応用可能」になるという論理です。


世の中の「頭の回転が速い」と言われる人や「一を聞いて十を知る」ことができる人は、この抽象と具体の往復を超高速で実行して相当の数の手札を持っている人…。と仮説を立てて検証していきたいと思います(物語を作る上でも大事な考え方だとも思うので)。


P.S.【AI・抽象化の話】

先日4/5(日)に放送された「DASHでイッテQ!行列のできるしゃべくり」をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?

その中で、松岡が『エビフライを揚げる時、わずかな音を判断して油から引き上げる技』を達人から伝授されるシーンがありました。
揚げている時、エビの中のわずかな空気が身から外に出る際に奏でる「パチッ」という小さな音を、達人は簡単に聞き分けて油から引き上げます。それを切って中を見てみるとエビの中心は見事に半生で、余熱により客に出すときには「火は通っているのに瑞々しい」状態であるというものでした。
最初は何度挑戦しても失敗の松岡でしたが、修行を積み重ね最終的にスタジオで披露した際は成功を収めました。

この時に僕が気になったのは、松岡の練習している横で、音声の波形を表す機械で「達人の判断」と「パチッという音」のタイミングが同じであるということを証明していたことでした(パチッという音は本当に小さく、揚げる音に紛れるため素人では中々判断できません。)。

これを見て、代替されるスペックがその機械にあるのに、達人の需要が未だにあるんだよな…。と思ったんです。

エビフライをものすごく美味しく作りたかったら、機械に音を判断させて半生の瑞々しいエビフライを作ればいいのに、それをしていない。
つまり、「ものすごく美味しいエビフライを作るためのコストについて、機械化するという対応が見合っていない(達人が作った方が安い)」んです。
ここで、「技術はあるのに、コストのせいで代替されない」という汎用的概念の仮説を成り立たせます。
これをAIに話を具体化すると、「AIが発達してもそのコストが高い以上は一般に普及しない」という具体的仮説が出てきます。

未来のことは分かりませんが、仮説を立てて、来る未来で検証することは無駄ではないな…と思っています。前々回の記事の追記でした!

今週火曜には非常事態宣言が出されましたが、岩手県は唯一感染者0とのことで、もし終息までそうであれば、そこから汎用性を抽出して次回の感染症対策に盛り込む必要がありそうですよね(人口が相対的に少ないので偶然の可能性もありますが)。

皆様におかれては睡眠をしっかりとって、体調にはくれぐれもお気をつけて過ごされてください。

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