見出し画像

私たちは作られた概念を開放できる?〜なにをシェアするハウスター〜

2020年1月25日(土)@赤坂RED THEATER

チームホッシーナの「なにをシェアするハウスター」。宝塚時代から応援しているそんちゃん(秋園美緒)が出演とのこと。小劇場最近言ってないし、歌もあるみたいだし、じゃ、観てみようかな…程度の軽いノリだった。でも観終わって

「あれ、意外に重い話じゃない?」

って、最後のどんでん返し含めて、いい意味で裏切られた。

未婚・子無しのお金持ち女性が大家の女性専用シェアハウスに、離婚したてのシングルマザーが思春期の娘を連れて入居してくる。そこに住むのはヨガの先生、アイドルオタク、お手伝いの男性、など。そして今夜、近所の人を巻き込んで、全住人強制参加の歓迎パジャマパーティが開かれる。にぎやかにパーティが続く中、有名お嬢様学校に通う娘が突然言い放つ、「私、ズボンで学校に通いたい」。この一言をきっかけに、パーティの雲行きは怪しくなっていく。。。(フライヤーより引用)

未婚・子無し、シングルマザー、こじれる年齢の娘、ルールを破ることに抵抗がある女性、そして「女ってさ」という役割意識が強めの彼、ゲイ、帰国子女の大家の弟、オタクコスプレイヤー…キャストの性格がクセが強すぎて前半はとっちらかった印象だった。ところが、全員参加のパジャマパーティの準備のあたりから、話がぐっと動き出す。「住人全員を縛る」ものに対して住人が反応し始め、縛り・縛られているもの・常識・概念が目に見える形になる。わかりやすかったのは「女は料理、掃除の仕事」っていうヨガの先生の彼と、もやもやしながら「好きだから、彼だからそうすべきなのかな」という彼女のやりとり。んな訳ないだろ!と観ながらイライラしてた私ですが(笑)

それでも、お嬢様学校に通う美咲が、ずっとスカートじゃなくて、ズボンを履いて学校に行きたい!とカミングアウトしていく下りを、母親が理解はできないけど受け止める。

結局、大事なことは「黙って察する」でもなく、やっぱり勇気を持って話さないと伝わらない。そして、それは真剣に受け止めたい。

シェアハウスのメンバーは、これまで築いた「関係」を信じて、ぶつかり合いお互いの違いと考え方を受け入れる…そんなこと、ずっと大事なことだったのに「こうあるべきだし、当たり前だし」っていうキラーワードで見えなくなっているのかもしれない。目の前にある正論を疑う勇気も必要なんだよね。最後、下着泥棒の展開が「は?」ってなったけど(笑)満たされていると思っている人も完璧な人間ではないかも、だよな。

この劇場、椅子の座り心地が良くて、どこからでも見えるミニシアター。赤坂見附駅から近い。今回、このキャパシティでしっかりオリジナルの音楽劇(ミュージカル、までではないかな〜)だったのも関心。宝塚の主題歌に慣れているので、あっさりと感じたりしたけど、歌上手のキャストが多かった。コメディ要素も重要で、シングルマザー役の上田さんの間が最強だった。

リーフレット観たらそんちゃんの宝塚退団って2003年って書いてあり、軽く目眩が(笑)あれ、そんなに経っちゃったか。でも細く長く応援してきて、いろんな作品で楽しめて、つくづく幸せだなと思った夜だった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?