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『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』第4巻原作者コメンタリー

 『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』第4巻の発売を記念した原作者コメンタリーです。
 第3巻のコメンタリーはこちら

第13話『俺たちの大混乱(後編)』
 †片翼の天使†との戦いを描く前後編の後半にあたる回です。月刊少年エース本誌ではじめて表紙をもらったのがこの回でした。
 回想シーンではじめと来島が読んでいるのは、『基本セット第五版』入門セット付属のプレイガイドとスターターデッキ付属の小冊子。小冊子のほうは渡辺謙もブチギレるほど字が小さく、当時『マジック:ザ・ギャザリング』をはじめた小中学生の約半数がここで挫折したとかしなかったとか。
 ターボ・ジーニアスのデッキレシピはThe Finals 1998で塚本俊樹さんが使用されていたものを参考にしました。《道化の帽子》がサイドボードに入っているところも同じです。

 場に出る土地やアーティファクトが一枚二枚増えただけで勝率が大きく変わるため、ターボ・ジーニアス戦はゲーム展開を考えるのに苦労しました。現代に生きる我々は、二度と同じ悲劇が繰り返されないよう、このデッキを後世まで語り継がなくてはなりません。

第14話『俺たちの餞別』
 運動会のエピソードです。第一期のエピローグ的な位置づけです。
 以前にもコメンタリーに書いたとおり、初期のはじめの人物造形には「もし桜木花道がオタクだったら」というイメージが入っていました。この回を最後に物語を一時退場する来島卓は、さしずめはじめにとっての水戸洋平と言ったところでしょうか。もともと退場させる予定はなかったのですが、なんか気づいたら転校してましたね。横田卓馬先生には、「ジャニーズ系のイケメン」というオーダーでキャラクターデザインをしてもらいました(一発採用でした)。

 体操服にブルマーが採用されなくなった時期は地域によってばらつきがあるようです。僕が通っていた中学校では、はじめと慧美の学年までがブルマー、それより下の学年はハーフパンツでした。
 え? だとしても作中の体操服をブルマーにする必然性はない? 逆に問いたいですね。ブルマーとそれ以外でブルマーを選ばないやつがいるのかと。

第15話『俺たちの狂宴(前編)』
 少年誌のラブコメにあるまじき合コン回です。罰ゲームのコールで使われている曲はおいなりーずの『青汁ファイト!』、店長の自作フィギュアは『魔法少女プリティサミー』の砂沙美です。
 初登場の藤宮彩夏はネームの段階ではもう少し髪が長く、艶っぽいビジュアルでした。「このお姉さんエッチすぎるので胸を小さくしてもらえませんか?」とお願いしたところ、担当さんから「胸は、でかいほうが、いいです」と迫真の待ったがかかり、正論すぎてなにも言い返せませんでした。もしかしたら再登場するかもしれませんし、しないかもしれません。

 八雲の学習机に置かれているのは『デッキ・エクスプレス』というフリーペーパーです。月イチ刊行で、かつて全国のカードショップで配布されていました。
 このエピソードは読切のころからぼんやりとしたイメージがあって、トリーははじめと慧美を合コンに連れてゆくためのキャラクターとして生まれました。モデルはとくにいません。彼はただ純粋に合コンのためだけに生まれてきた男です。

第16話『俺たちの狂宴(後編)』
 クリスマス回です。この回はなぜか筆が乗って、終盤のプロットは一気呵成に書き上げた記憶があります。
 スーサイド・ブラックとターボ・ジーニアスの戦いを描いたあとということで、デッキの色構成を差別化するため、トリーのエンプティ・ハンドロックは緑を足してやや創作的なレシピになっています。このレシピにご不満をお持ちのオールドプレイヤーのみなさまにおかれましては、まあ、その……強く生きてください。

 扉絵と「あんたに贈り物だ、マチルダからの」という台詞からの一連の流れは映画『レオン』のパロディです。《凶運の彫像》が出たあとのゲーム展開をどう盛り上げるか考えていたら、ふとゲイリー・オールドマンの顔が浮かんで、これですわ。
 この回ではモブにJR東海のテレビコマーシャル『クリスマス・エクスプレス』の出演者がまぎれこんでいます。このシリーズの第一弾が放送されたのは1989年ですので、九十年代のトピックにからめた小ネタというより、ただの遊びごころで横田先生に入れてもらいました。実は九十年代と同じくらい八十年代のカルチャーも好きでして。もし八十年代に『マジック:ザ・ギャザリング』が存在したら、この物語の時代背景も違っていたかもしれません。

こぼれ話
 本作は『マジック:ザ・ギャザリング』を愛する多くの人に支えられてできています。
 というわけで、全選手入場!

「監修は第二の編集者! 付録をつけてくれるえらい人! ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社、金子真実だッ!」
「カードの資料集めは俺に任せろ! 晴れる屋大阪店店長、笹井峰広だァーッ!」
「ルールが知りたい? 俺がルールブックだ! アノアデザイン店長、堀川優一が来てくれたッ!」
「エルダーの異名は伊達じゃない! トーナメントを知り尽くすドラゴンスター日本橋2号店店長、中島主税だァーッ!」
「インスピレーションの源泉はここにある! 第一次『マジック:ザ・ギャザリング』ブームの語り部、ムラサッ!」
「デッキの動きを検証するなら俺を呼べ! 貴重な飲み友だち、Uki-Ukiッ!」
(スペシャルサンクス掲載順、敬称略)

 ……こんな紹介のしかたで申しわけありません。
 関係者のみなさま、今後もどうかひとつよろしくお願いします。

 さて、この巻はダブルヒロインの片割れである慧美にスポットをあてた内容となりました。今回出番が少なかったぶん、次巻では八雲にがんばってもらおうと思います。
 ではまた次巻で。

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「スキ」ありがとうございます。カツラ感激。
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『キャッチャー・イン・ザ・トイレット!』(原題『オナニーマスター黒沢』) 、『ラストメンヘラー』、『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』原作者です。

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コメント (1)
伊瀬先生!あなたには、ちっぱいやスパッツの尊さが、わからんとですか!?w慧美ちゃんのぱんちら、出さなかったオトコが、なにいうとるか!w(褒めてますw)
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