ひとり

4週間に一度、ひとりで外出できる。

同居の家族の通院の為だ。家族の代わりに
クリニックにひとりで行って、先生と話をして、薬をもらう。

ごくたまに、本人も一緒に行くが、ほとんど私だけで行く。その間、本人をひとりにしておけないので、離れて暮らす父親、私にとっては元夫、に留守番に来てもらう。

そのついでに、私は、美容院や、買い物や、立ち読みをする。ファミレスで昼食をとったり、カフェでコーヒーとドーナツを食べたりする。

4週間に一度のクリニックの日、それ以外は、どこにもひとりで行くことができない。行けるのは、ゴミ出しと、郵便受けくらいだ。

こんな生活をあとどのくらい続けるのだろう。先生は、25歳になったらずいぶん違うよ、と言う。今は、その言葉に期待しながら、でも、期待しすぎないようにしながら、やり過ごしている。

こうやって、やり過ごす人生でいいのかなって思う。結局、誰もが、やり過ごしてるんじゃないの、とも思う。

来月、お兄ちゃんの結婚式がある。お兄ちゃんというのは、私の第一子のことだ。式と披露宴があるが、うちの家族は私と元夫と現在療養中の第二子のうち、私だけが、披露宴まで出る。元夫と第二子は式だけ。私は、自分の親族とは宗教上の問題で疎遠になっており、親戚などもだれも出席しない。そもそも、お兄ちゃんが結婚したことも知らせていない。だから、新婦側の親族の席に一緒に座らせてもらえることになっている。ありがたい。と同時に申し訳ないし、気まずいだろうなぁ、とかいろいろ考えてしまう。まあ仕方ない。そういう人生だったんだと言うより他ない。

私の家族は、まあまあの大家族だ。こどもの頃は、祖父母も入れると10人家族だった。大家族で不自由ってことは、特になかったかな。覚えていないだけかなぁ?宗教のことの方が面倒くさかったな。
宗教のことって、いつまでつきまとうんだろう?私以外、みんなその宗教を信仰している、もしくは、信じてないかもしれないけど、家族親族信者の人達と上手くやる為に、一応信仰している、みたいな感じ。面倒くさい。

宗教があるせいで、生きていくのがしんどい、面倒くさいって思っちゃうって、おかしいよね。何のための宗教だよって話じゃん。

次のクリニックの日、今日から4週間後には、お兄ちゃんの結婚式も終わって、何とか、日常をやり過ごして、また、カフェでコーヒーとドーナツを食べていますように。

第二子が病気になって、本人が一番つらいってわかってるけど、私もしんどくて、つらいって言うより、面倒くさい、って気持ちになっちゃう。

田中樹ってすごいな、えらいな、かっこいいな、って感情が、ちゃんと、私の中にあって良かったな。
本当に田中樹は。

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