ピンクな劇場に行ってきたのだが?

衣服をつけている女は、まさしく日常的世界の女であるが、男の視線にさらされながら、少しずつ衣服をぬぐ女は、すでに女ではなく、単なる肉体に移り変わろうとしている。この移り変りが、エロティックな想像上の欲望を刺激し、最初の登場から最後の幕がおりるまで(あるいは明りが消えるまで)の時間に、観客の期待がぎっしり詰めこまれるのだ。
                   ──「エロティシズム」澁澤龍彦

どうも、胴体トルソー鎖骨周辺デコルテにどこよりも美しさを感じる人間、ジオです。

 ストリップ劇場に行ってきました。結論から言うと来てよかった。ライトアップされた裸体にしか存在しない美しさがあった。躍動する裸体はそれだけで現実を圧倒する、秘められた美しさがあった。


 場所は伏せよう。JR大阪駅から一駅分離れた場所にある劇場に行ってきた。

 人目につかない入口から階段を上っていくと、愛想の悪い受付に入場料を渡し、ホールに入る。時に接客の悪さは安堵を生み出す。アングラな場に実際に来たという感覚があった。
 ホールはステージの中央から花道が伸びていて、花道の先端は丸くなっていて回転ができるようになっている。

 見た感じ客層は壮年~初老の男性が多かった。もしかしてここは枯れた人たちの回春としての場所なのかもしれない。そう、「行う」ことができなくなった者たちのための場。……いや、単に若者に認知されていないだけか。女性も何人か来てた。

 開始時間になると、ライトが消え、幕が上がって、演目が始まる。
最初に全体的な流れを説明すると、一人3曲踊った後、おひねりを渡す時間がある。それを5人分繰り返すという感じ。時間は2時間強といった感じ。

 1人目は、夏らしい短いタンクトップTシャツとホットパンツの恰好だった。おそらく地下アイドルが夏にライブするならこんな格好なんだろうなと思った。
1曲目はストリップせず、そのまま踊る。2曲目との間に衣装を脱ぐ。夏らしい衣装の下にはピンクのビキニを着ており、浮き輪を持っている(なお夏らしいね)。2曲目の途中で、ついにビキニを脱いて裸体を晒す。彼女の体を隠すのは浮き輪だけだった。脱いだパンツは腕に巻いたままに踊っているのは、とても官能的だった。時折、片足を天に伸ばしたりして足を大きく開いて陰部を曝す。
 ライトアップされた演者は影のない全身を映し、陰部も陰を失い、そのまま露わになる。間接照明で照らされた、暗がりの中の風俗とは異なり、光の中で開陳するストリップは対照的だと感じた。”実行”する風俗と”視聴”するストリップのあり方は真向から異なるのかもしれない。
 3曲目はまっさらブルージーンズ、MMDで幾度も見たあの踊りを現実で見るのはちょっと笑っちゃったな。でも実際あの振り付けは凄い。凄い煽情的だった。
 おひねりタイムは、演者がダボッとしたTシャツを着て、練り歩く。おじさんが1000円を渡すと開脚をして見せてくれる。ありがとう、見知らぬおじさん。そうして演者は下座にはけて退場する。

 2人目は最初はパンダの着ぐるみをきて踊っていた(頭だけしっかりとした造形で、体の部分は緩めなタイプ)。ロボットダンスも入れてて技巧派って感じ。曲が終わると着ぐるみを脱いだ。バンドが好きそうな、サブカルっぽい出で立ちをした格好の演者が現れた。
 2曲目の前に着ぐるみが暑かったのか脱ぐと水分補給を取る。一緒にお酒に飲む(素振りをする)。ついでに客にお酒をサービスで渡していた。
 2曲目が始まる。そうするとさっき飲んだ(ふりをした)お酒のせいで暑くなって来たのか服を脱いで下着姿になる。黒いレースの下着は、厭世観のある退廃的な感じがあった。脱ぐ最中に、脱いだスカートを蹴り飛ばしてステージ後方に捨てている仕草は、いかにもストリップで良かった。飛ばされて風を受けながら翻るスカート、本気マジ良かったぜ!
 3曲目も最初は下着だったが、やはり脱ぎ去り、乳房も会陰部も曝した。一応パンツは履いているが、襟? 輪郭? しかない感じのパンツで、局部が丸見えになっていた(パンツレスリングでカズヤが穿いてた奴)。インモラルだったぜ。

 3人目は最初は、果実のオレンジをコスチュームにした地下アイドルって感じ。ブリーチしたショートカットで、正しくギャルって感じ。
 2曲目にはシースルーのゆったりとした服ネグリジェ(アニメEDで美少女が着がちな例の服)。ワルツのような振り付けで踊っていた。静かで、情緒のあるエロティシズムがあった。
 3曲目になると、下着はスパンコールの紐がついた、金色のビキニだった。眩しいぜ。今まで金ビキニとかスパンコールとかってギラギラして良くないだけで、下品としか思えなかったけど、実際に見ると立体の輪郭が際立ってて良いかも……て思ってしまった。光沢があると違う。

 3人目が終わると、撮影タイムがあり、観客は演者と写真を撮ることができる。俺はツーショットをしてもらいました。──キョドってた自分にも明るくしてくれてありがとう。

 4人目は最初、ディズニーばりのしっかりとしたドレスを着ていた。ストリップってこんなのもあるんだ。こういうのもありだな……と思っていると、2曲目で、水鉄砲を携えた水着カウガールになって戻ってきた。なんでもありだな。と、思っていると客席に向かって水を発射。本当になんでもありだな!!!
 一番のダイナマイトボディで、広い肩から垂れる豊かな乳房にただただ圧倒された。存在するだけで強いものがある。
あとおひねりタイムの時にれおるの+♂が流れてた。

 5人目はゴスロリが踊っていた。黒を基調としたドレスで攻撃力が高そうな服。ビジュアル系バンドの曲に合わせて踊るのを見て、ストリップでオタク向きの演目ってあったんだ。オタクのみんなも行こう!
 2曲目で曲が英訳されたCatch You Catch Me(カードキャプターさくらOP曲)で呆気にとられていたら、白黒の入り混じった服を着てた。先が悪魔だとしたら、白い半身は天使なのだろうね。
 3曲目には、白い翼と黒い羽の両翼が生え、大きなつけ襟を装着した服装を身にまとってた。やっぱり天使と悪魔だ。アバンギャルドだったな。装飾の多い、属性モリモリな服装で、俺のオタク心は喜んでいた。演者ごとに演出が様々で面白かった

 2回目の写真撮影タイムを迎え、4,5人目の演者がステージに戻る。
チェキを取って終了。

 ストリップは初めての体験だったが、とても面白かった。演目のため強い光で照らされた体は、日常的な体ではなくなって虚飾の美しさを持つ。そこで私は”噓みたいに”輝く裸体を見て感動するのだった。


 演者のみなさんを検索したらAV女優で、俺はそれを見てシコって寝た。





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