JSPA氏家コラム2021年3月

今回はminimoogについてお話ししようと思います。
minimoogは私にとっては守護神のような存在で、ファーストシンセでもあります。

忘れもしない大学3年の秋。私はすでにプロ活動もしながら、シンセサイザー・キーボード教室の講師として都内のヤマハ吉祥寺店(今はない)、島村楽器本八幡店、シブヤ楽器(大井町)にて、ヤマハが運営するシンセサイザー・キーボード教室の講師として派遣されていました。
ヤマハの各店舗(渋谷、池袋、吉祥寺)にはminimoogが展示していて当時はヤマハがmoog製品の輸入代理店だった)当時の値段で45万円と大卒初任給の3倍以上の価格です。当然じっくり時間をかけて試奏しまくりました。
渋谷店と池袋店のminimoogは木目がきれいで見た目にグッときて、吉祥寺店のminimoogがダントツに音圧と深みがあって悩みましたが、結局吉祥寺店のminimoogを選びました。
信じられないかもしれませんが、当時のプロダクツはそれくらい個体差がはっきりしていたのです。
そのminimoogは今でも完璧に動いていて(ピッチベンドの狂いはあるが)、ライブにレコーディングに大活躍しています。

その私の極上minimoogはコチラ

<MOOG minimoog #1 Demo&Review>
https://www.youtube.com/watch?v=2xsHN3NTyk0&t=3s
<MOOG minimoog #2 Demo&Review>
https://www.youtube.com/watch?v=j5d0O8Sr_Vw

2年ほど前に本家Moog Musicから「minimoog model D」が復刻して発売されました。その時の比較ムービーがこちらです。

<Minimoog Model D Demo & Review>
https://www.youtube.com/watch?v=_kE-cPTQYj0
いかがでしょう?
minimoogにMIDIやUSB、そして独立したホイール用のLFOまでついて、値段も当時のまま。

そして多くのメーカーからソフトシンセ化されています。
衝撃的だったのはARTURIAの「miniV」ですね。
これも私の実機と比較したのがコチラです。

<Arturia miniV2 Demo&Review>
https://www.youtube.com/watch?v=xZPM2NXYhrU
バーチャルアナログ系ソフトなので、如何様にもアレンジでき、ポリでの演奏はもちろん、エフェクターやVOWELフィルター、モジュレーションマトリックスまで組めるという優れもの。もちろん音も肉薄しています。

<UVI UltraMini>
https://www.youtube.com/watch?v=pegNiHUk_rA&t=237s
実機の回路に忠実に再現するために膨大なサンプルをオシレーターに使用していて、モデリングフィルターとエフェクトによってDSP処理されています。

<GFORCE MINIMONSTA>
https://h-resolution.com/product/minimonsta/
音のパンチ力で見るとこのminimonstaはかなり優秀です。特にリアルタイムコントロールのためのパフォーマンスセクションは演奏表現にかなり役立つでしょう。

ハードウエアもminimoogのエミュレーションが増えてきました。
ベリンガーの「MODEL D」は、そのコスパはもちろん、音もしっかり再現されていたのに驚きました。
https://www.behringer.com/product.html?modelCode=P0CQJ

さらに発売された「POLY D」は4音ポリフォニックにまで増強され、エフェクトやステップシーケンサーも追加されています。
https://www.behringer.com/product.html?modelCode=P0D9J

最近では、1972年製のminimoogを忠実にモデリングした、Softubeの「Model 72 Synthesizer」も話題で、1972年のハードウェアユニットを細部に至るまでモデル化したコンポーネントで、すべての癖や非線形性をそのままに、原始的な状態で再現されているとのこと。
https://www.mi7.co.jp/products/softube/model-72-synthesizer-system/

ユニバーサルオーディオでもDAW「LUNA」で使用できるプラグインシンセ「MOOG MINIMOOG」を出しました。
こちらは本家Moog Musicとのパートナーシップによって開発され、Universal Audioの業界をリードするサーキットモデリング、シンセシス、シグナルプロセッシングの専門知識を活かして、オリジナルハードウェアのあらゆるニュアンス、不規則性、偶然性を徹底的にキャプチャーしているとのこと。
https://www.uaudio.jp/luna/instruments-extensions/moog-minimoog.html

このように、minimoogはシンセサイザーの代表として今でもハード、ソフトの両方で君臨しているのです。
でも……やはり、私の愛機が一番いいのだ(^^)/

氏家克典
www.sitekatsunoriujiie.com


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